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『おちょやん』106 おおきに、お母ちゃん

 ラジオドラマ『お父さんはお人好し』収録開始。大家族の母として、千代は起用されます。

どういうネーミングセンスやねん
ちなみにこのドラマは、割と役名をほとんどいじらずそのまま採用しております。子どもはそのまま。そのネーミングセンスに「なんでや!」と突っ込んだ方もおられると思いますが、昔の人は今ほど名付けにこだわらんことも多かったのです。子どもが多いとめんどくさくなると。

京子(長女・京都)
乙子(次女・大津)
米太郎(長男・米原)
清二(次男・清州)
熱子(三女・熱田)
豊子(四女・豊橋)
浜三(三男・浜松)
静子(五女・静岡)
沼吉(四男・沼津)
横之助(五男・横浜)
品子(六女・品川)
新子(七女・新橋)

 牛鍋屋で大金持ちになった木村荘平なんて、息子は荘十二、娘は十七子なんてつけとりますからね。そら千代も「多すぎやわ!」と画面に向かって突っ込むわ。

 でも、これもあくまで幻の日本家族ということは考えておきましょう。
 確かに昔は子沢山。明治以降は「産めよ、殖やせよ」とされとりました。けれども、あくまでそれができたのは身体頑健な女性か。あるいは渋沢栄一のようにぎょうさん妾を持てた大金持ち。
 大勢子どもがいたとしましても、戦争で死んでしまう家もたくさんあった。
 そして戦後。今日は憲法記念日ですね。ベアテ・シロタ・ゴードンの尽力もあり、女性の人権に日が当たります。大勢の女性の願いもここに加わって、女性の権利として出てきたことが、【出産の抑制】です。避妊する。望まぬ出産はしなくてもよいようにする。そこから戦後は始まったわけやな。
 
 そもそも母を演じる千代は子どもがおりません。そういう千代が子沢山の母を演じる。昭和から“まぼろしの大家族”が生まれてきた。追い求められてきたとわかりますわな。
 これは大事やで。
 実像でなく、あくまで理想像。こういう昭和の家庭像はリアリズムによるものでないと。サザエさんもやね。フィクションで歴史を学ぶにしたって、そこは注意していかなあかんところ。

昭和のラジオドラマは大変なことになっとった

 それにしても、本作は黒子と犬ん子さんの絵によって、劇中劇をうまく説明できてええですね。大した工夫やわ。
 のみならず、12人の子どもも紹介されて、横之助くんなんか、鼻ホジってますからね。乙子さんや清二さんの髪の毛のいじり方とか、衣装とか。昭和ぽくておもろい。坊主にしている子もいるし、がんばってますわ。

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2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.com/

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