『ちむどんどん』第101回 包丁を捨てなかった矢作
今回は矢作復活への道です。
房子が謝る、圧倒的な人徳「報怨以徳」
今日一日15分で矢作復活を説得力を持って描けるか? いきなりフォンターナで向かい合っています。相変わらず強がって、謝らないという矢作。
すると房子は先に退職金を渡し、気遣いが足りなかったと謝ります。そして自分も何度も店を出して失敗して、ときには良心に反するようなことをしたとまで言い切る。
房子は流石。
こういうとき、意地を張り合って攻めるよりも、かえってこちらから謝ったほうが丸くおさまりますよね。それが年長者の務めかもしれない。自分が受けた恩を下の世代に返す正義に、参ってしまう矢作。
ここでなんで房子が謝るのかというのは、わかってないんですよ。謝れる人間は強いし、徳があります。悪くないもん! そう意地を張ってすねるのはガキだ、ガキ。
佳代のためにも
そして、矢作の愛妻である佳代が出てきます。一方的に離婚届を出した夫。でも、離婚は成立していません。女房に逃げられたんじゃなくて、夫が逃げたと思っていただけ。
そして佳代は、夫が好きなんです。夫が調理人としていきいきとしているところが好き。そんな誰かのためにも、自分のためにも再起しろといわれ、矢作謝ってから再起を誓います。
料理人として信頼できる
ここで、暢子が沖縄そばを出してきます。矢作はおいしそうに食べつつ、「まあまあ」といい、佳代をハラハラさせます。でも、麺が太いって。もう1ミリか2ミリ、自分なら攻めると言います。料理人としての矢作が戻ってきました。
暢子は覚えています。初めて沖縄そばを振る舞った時、真っ先に「うめえ」と言った矢作のことを。矢作も覚えていて、前よりは良くなったと返します。
これぞ信頼できる料理人だ!
包丁を握る喜び
そして矢作が料理人として、暢子の元で働くことになります。ここで労働条件でも。
・給料は相場通りでいい
・休みは週一、残業なし
・給与は遅延なしに払う
なかなか。朝ドラの旧弊「お給料はどうでもいいから働きます!」「いつでもやります!」という悪しきやる気アピールはもう終わりでいい。
そして何より、矢作はこれがしたかった。パパイヤを刻むときのうれしそうな顔。包丁捌きも決まっているし、何よりもうれしそう。心の底から湧き上がる喜びの出た顔です。
よかった。こんなうれしそうな矢作が見られてよかった!
矢作の説得力は、沖縄そばを味わったときと、包丁を握ったときのこの顔あってこそ。
井之脇海さんの実力が発揮されてこその説得力です。
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