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美術館初心者が観たメトロポリタン美術館展

週1回の出社日のあと、せっかくの金曜日なので乃木坂まで足を伸ばして行ってきました。

メトロポリタン美術館展とは

メトロポリタン美術館(通称 The MET)はニューヨークのマンハッタンにあり、19世紀に建てられた歴史ある美術館です。緑豊かな広大なセントラルパークの一画にあり、横に延びる重厚感ある壮大な建物が目を引きます。

1870年に創立されたアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館は、先史時代から現代まで、5000年以上にわたる世界各地の文化遺産を包括的に所蔵しています。

本展では、同館を構成する17部門のうち、ヨーロッパ絵画部門に属する約2500点の所蔵品から、選りすぐられた珠玉の名画65点(うち46点は日本初公開)を展覧します。15世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派まで、西洋絵画の500年の歴史を彩った巨匠たちの傑作が、一挙来日します。
https://met.exhn.jp/

その美術館が2018年から長期の改修工事を行っており、この期間を利用して膨大に所蔵している名画の海外展示が実現しました。展示される65点の西洋絵画のうち、日本初公開が46点もあるのはそのおかげのようです。

この美術館展は、六本木・乃木坂近くの東京新国立美術館で2月9日から5月30日まで展示しています。

きっかけは#FUJIFILM生誕祭

今回のメトロポリタン美術館展は、こちらのこまめさんの記事を拝見して知りました。本当は#FUJIFILM生誕祭のnoteを巡回していたところ、偶然この記事を見つけたのです。


近頃なんとなく美術展に行くきっかけを探していたわたしは、「メトロポリタン美術館」の文字をみた瞬間にスイッチが入り、すぐチケットを予約しました。

実際に足を運ぶことにした理由は3つ。

  • 15世紀から19世紀の西洋絵画の作品を3つの時代に分けて展覧するので、分かりやすそうだった

  • 美術の教科書に名前が載っていたような画家の絵が観られる

  • 以前NYのメトロポリタン美術館に行ったことがあり、歴史的な有名作品を生で見た経験が楽しかったから

フランダースの犬で名前だけは知っているルーベンスとか、睡蓮のモネや、喫茶店とまちがいそうなルノワール、上野の東京都美術館にも来ているフェルメール、日本の浮世絵に影響をうけたゴッホなど、ミーハーなライト層には十分ぜいたくな名前が並んでいるのが魅力的でした。

フラ・アンジェリコ、ラファエロ、クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコから、カラヴァッジョ、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、 フェルメール、ルーベンス、ベラスケス、プッサン、ヴァトー、ブーシェ、そしてゴヤ、ターナー、クールベ、マネ、モネ、ルノワール、ドガ、ゴーギャン、ゴッホ、セザンヌまで、時代順に3章構成でご紹介します。
https://met.exhn.jp/

感想めいたもの

マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ (1868年没)

そこには、繊細で緻密な作品や大きなカンヴァスに描かれた見応えのある作品が、これでもかと並べられています。

展覧会のコンセプト通り西洋絵画の時代の移り変わりが見られました。まるで展覧会そのものが壮大な美術史ストーリーを描いた一冊の本のようです

冒頭の写真は、チケットや展覧会のチラシに使われたジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「女占い師」です。互いに牽制し合うような女性たちの目つきやくすねる手つきはとてもリアルです。

この記事のヘッダーはルーベンスの絵で、今回の展示作品のひとつです。中心の聖ヨハネや聖マリアの露出した肌は天から光を浴びているかのようでした。

フェルメールブルーは他の画家の青とは明らかにちがいましたし、浮世絵に影響を受けたゴッホの絵は花札に書かれていそうでした。

フランス革命のころのラ・シャトル伯爵夫人は、豪勢な白いドレスと相反するように儚く憂うまなざしが際立っていました。

作品が描かれた時代は、数十年から数百年の単位で離れています。ですが、身につけられている衣装はいつの時代もどれも凝っていました。織物技術や繊維、衣服の歴史の深さも絵画を通して気付かされます。

Wikipediaで事前予習していった

お目当ての画家がいるならWikipediaでざっと調べると現地での鑑賞の面白さが倍増します!これは本当です。

どんな時代背景で生きてきた人か、どういう画家の活動をしていたかが分かると、絵を描いた背景や描写の理解が深まります。

詳しくなる必要はないです。そういえばあんなことが書いてあったなあで十分だとおもっています。

わたしは美術に興味のない人生を送ってきました。それは知らないから楽しみ方が分からなかったんです。

スポーツといっしょで、ルールや競技のしくみがわかるとおもしろくなるのと同じなんだと思います。

現地では音声ガイドを借りた

その美術を見るしくみやルールを知るために音声ガイドを借りてみました。有料で600円。

安いんだろうけど、ワンコイン以上の価格にとまどうお値段…。ですが、せっかく行くなら必須アイテムです。

借りてみてわかったのは、わたしのように美術を知らない人こそ借りてほしい。作品の楽しみ方や見どころが分かります。絵の印象も変わるので、記憶にも残りやすくなります。

わたしはこれまでなら絶対借りないタイプの人間でした。

ところが、今回、わたしの直後に入場してきた女性が迷わず借りているのをみて、心が変わりました。まさに美術館に慣れている人のふるまい。この人に美術館の楽しみ方を習おうという気持ちでした。

鑑賞チケットと合わせると、合計2700円。ランチ3日分。いっぽう、NYにいく飛行機代やホテル代を考えると100分の1以下。

旅費の1%未満で世界有数の歴史的絵画を日本語の解説つきで観られるのは(たぶん)安いはず、と計算がはたらきました。

自分の目で見たままの印象を大事にしたい派の方もいるはずです。実際、わたしも解説のあった作品に記憶や印象が引っ張られたところがあります。

それを差し引いても、普段めったに行かない美術館を心ゆくまで堪能できたので満足でした。

カフェの閉店時間にご注意

コロナウイルスまん延防止期間中は、地下1階と2階カフェは17:30ラストオーダー、18:00閉店です。

せっかくメトロポリタン美術館展にあわせたメニューがあったのに行けませんでした。残念…。

ゆっくりじっくり観てからギフトショップでの買い物をして、1時間半ぐらいかかりました。

次はドレスデン?

今回の美術館展を見て、上野の都立美術館に来ているもう一つのフェルメールが気になってます。


今年はいくつか行ってみようかなと思えた経験になりました。

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