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男ともだち

私には大切にしている”男ともだち”が1人だけいる。きっとこれから先でも、男ともだちと呼べるのは唯一無二の彼だけだと思う。

彼とは高校二年生の時に出会った。共学の学校ではあったが昔は女子校だったこともあり私のコースは比較的女子が多かった。少ない男子の中で彼が私と話すようになったきっかけは何だったのだろうか。はっきりとは覚えていないが思い当たることと言えば勉強とアイドルだ。日本史のテストの点数や毎学期の成績順位を競いあっていた。いわば戦友だった。私はもともと勉強が大好きなわけではなかったが気づいたら彼に負けたくなくて必死で机にかじりついていた気がする。おかげで成績がひどく低下することはなかった。某アイドルグループに熱中していたあの頃は推しの話が尽きなかった。とにもかくにも、私と彼のつながりといえば勉強とアイドルだったのだ。

私と彼が一緒に話している雰囲気を見ていた友達はみんな「付き合ってるの?付き合ってないなら付き合っちゃえばいいのに〜!」と言っていた。友達曰く、私と彼が話している時には間に入り込めない空気が漂っていたらしいのだ。私や彼はそんなこと知らなかったし、みんなが言う恋愛感情的なものが関係を繋げていたとは思えなかった。好きとか嫌いとかの問題ではなく、私と彼はこころ置きなく話しができる異性同士だっただけだ。ただそれだけのことだった。彼が男でなく女だったらみんなから見て違和感なかったのだろうと思う。異性だからってすぐに恋愛のレッテルを貼り付けてくるのは鬱陶しいとまで思う。男女が2人でいるだけでみんなすぐに恋愛の視点で見つめてくる。それは一般的なことなのかもしれない。でも恋とか愛とかそんな言葉で簡単にまとめないでほしかったし、その気持ちは今も変わらない。

私と彼が付き合うことはなかった。大学が別々になった今でも彼とはこころ置きなく話しができる関係のままだ。恋愛感情が芽生えて関係が繋がっていたならば今の関係は存在しないと思う。私にとって彼は”本当に大切な男ともだち”だ。この言葉が一番しっくり耳にもこころにも響く。私は彼に悲しいことが起きないようにいつまでも願っているし、幸せになってほしいとこころから願っている。

”男ともだち”だなんてずるい響きだなんて言わせない。彼との間に共通の趣味なんか無くても、異性だったとしても関係ない。だって私たちはいつまでも対等で居られる、大切なともだちだから。

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