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【社内報】Magazine or Web?

流行りに乗るな!

「社内報」といえば、最近では紙以外でもウェブ社内報というものもあり、経団連の推薦社内報審査でもウェブ部門ができたくらい浸透してきたかと思います。

スマホの普及でウェブ社内報は市民権を得つつあります。大手企業の社内報は軒並みウェブ化しています。私が知る限りでは、資生堂、大阪ガス、ブリヂストンはウェブに移行していたはずです。

でも、「紙なんか古いからウェブで社内報をやれ!」なんて声を聞くと、ため息しか出ません。そういう人がいたら、楠木建教授の『逆・タイムマシン経営論』を読ませたいほどです。(楠木先生の本は面白いので、皆さん、読んでいただきたい。『ストーリーとしての競争戦略』は500 ページもありますが苦痛を感じません。必読です!)

なぜ、私がそういう思いになってしまうか……それは「社内報に戦略がない」からです。

まず、社内報は誰に一番読んでほしいのでしょうか? 「現場で働く人たち」ですよね。そういう人は往々にして、常時デスクに座りながら仕事をしている人ではありません。客先に言って商談をする、あるいは工場のラインに入って働いている、店舗で接客をしている……そういう人が仕事中、スマホ片手に社内報を読みますか? また、デスクに座っている人でも同じです。仕事中にインターネットのブラウザを開いたままに画面をじっと見ている光景を傍から見ると(おい、あいつ、仕事してねーじゃん)と思われるでしょう。

2000年代初頭、IT革命の名の下、紙の社内報は風前の灯になりました。みんな、ウェブに移行したんです、実は。でも、数年後、紙回帰したんです。なぜか? それは「会社の考えが浸透しにくくなった」からだと言われています。営業マンは車や電車で外に出て、工場で働く人はラインに貼り付きっぱなし。接客業の方だって店頭に出ています。

誰が、ウェブの社内報を読むのでしょうか?

大切なのはツールではなくそのツールを使ってどうあるべきかという“戦略”なのです。ツールはあくまでも“戦術”。戦略なき戦術はありえませんよね。

「紙なんか古いからウェブで社内報をやれ!」という人に言ってやりたい。「流行に乗るな」と。

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紙とウェブの両面で

紙(印刷物)に対する信頼というものは、古来、ずっとあります。また、紙の社内報は見開きでA3にもなりますし、奥の手(=観音開き)を使えば、ものすごく俯瞰性に優れたものになります。携帯性も記録性も確かですし、脳科学の研究ではパソコンの画面に映し出された文字、人間の脳はドット、あるいは「画像」としてしか識別せず、頭にずっと残らないそうです。

一方で、紙の場合、印刷という工程を挟むために情報の鮮度は格段に落ちます。また、動画などを入れ込むことはもちろんできないので、メディアをミックスさせることが難しいことは確かです。

ウェブの良さはその反対。情報の鮮度は抜群で、速報性に優れており、動画をリンクさせたりもできますし、アンケート機能もつけられる。さらに読者がどんな記事を読んだかという、アナリティクス機能もつけられるので、その傾向値を掴むこともできます。

だからこそ「戦略」なんです。社内報をどのようにしていきたいか、どのように利用すべきかという企業としての「戦略」を持たせることが重要なのです。だから「紙vsウェブ」ではないのです。ましてや「絶対ウェブ」でもないんです。

もし仮に「社内報は絶対にウェブ!」と盲目的に言いはる経営者がいたら、そんな会社、辞めたほうが良い。一事が万事、戦略がありませんから、経営戦略なんてもんも考えつかないはずです。泥舟が沈んでしまう前に、とっとと逃げ出しましょう。

良いとこ取りを

紙のいいところ、ウェブのいいとこ。そこをうまく使いこなすことが大切です。

例えば、紙は「信頼性」「俯瞰性」「記録性」に優れている一方で「速報性」に欠けるのであれ、紙の社内報には「じっくりと考えてもらうような内容」を掲載するとか。ウェブには、動画もアップできるということで全国に散らばる営業所紹介を動画で掲載する、とか。考えたらたくさんアイデアは浮かんできます。

つまり、Live or Die的な二者択一ではなく、「and」で考えてみましょう。そもそも社内報を通じて何を伝えたいのかという「戦略」がありきで、「媒体」(=紙かウェブ)をどう活用していくかだけなんです。これが逆になるから話がややこしくなるし、頓珍漢な使い方になってしまうのです。

紙の社内報でもQRコードを載せて、ウェブと連動させることは容易ですし、メディアミックスの手法でそれぞれの媒体の特性を生かして、一つの情報を多角的に発信することも可能です。そんなことできたら、めちゃくちゃ面白いですよね。新聞社、出版社、テレビ局を手中に収めた感じですね。まさに社内のメディア王です、あなたは!(編集者、記者、カメラマン、レポーター、校閲さんなども一手に引き受けなければいけませんけど……)

今回の結論!

・「or」ではなく「and」で考えてみる

・紙の良さ、ウェブの良さのいいとこ取り

・まずは社内報の戦略を考えよう(スタイルはその次の話)

・あなたが社内のメディア王に!


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