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『うっせぇわ』を聞いてテロリストから中学校を救っていたことを思い出した話

 最近話題の曲。何やら黒歴史を思い出して共感性羞恥を覚えるといったことで話題になっている。試しに聞いてみた。確かに言いたいことは分かるという感じだった。僕は音痴なのでこの曲の音楽的な評価はできない。しかしこの一連の流れを見て思い出したことがある。中学生の時分、僕はテロリストから学校を救ったことがある。
 黒板の前で先生がつまらない内容を話す授業中、僕は気怠そうに窓から校庭を見ていた。すると突然校門を顔を隠した集団がよじ登ってくる。10人はいるだろうか。彼らはどうやら武器を所持している。彼らの存在に気付いているのは僕だけのようだ。先生に言った方がいいのだろうなと思いつつ僕はそれをしなかった。授業中に突然「先生!学校に不審者が入ってきてます!」なんて言おうものならクラスの皆に変な目で見られるのは必然だ。僕は自分が特異な目で見られるのが嫌だった。そうすると5分もしないうちに銃声のようなものが聞こえてくる。これには先生含め皆、何が起きたのかとざわつきだす。事態の把握ができる間もなく事は動き出す。僕たちの教室がある2階に銃を持った男たちが2人組でやってくる。
「全員教室でおとなしくしろ!!廊下に出た奴は撃ち殺すぞ!!」
その発言と共に男の内1人が威嚇射撃を天井に放つ。それと同時に女子たちが悲鳴を上げる。今まで聞いたこともない音量だ。
「静かにしろ!!」
男がもう一度天井に弾を放つ。泣き出している子もいる。先生が震えながらクラスの皆に落ち着くように声をかける。
「教室の隅に固まれ!!」
男たちは僕たちに銃を向けながら指示を出す。皆動揺しながらその指示に従う。普段クラスの中心にいる野球部もカースト1位を張る可愛い女子も偉そうに教鞭を垂れる先生も冷静ではない。当たり前だ。こんな映画みたいなことが現実に起きているのだ。冷静なわけがない。冷静ではないのはきっと銃を持っているこの男たちもだろう。だがこの状況でも冷静な人間が1人だけいた。そう、僕だ。僕は冷静になって男たちの武装を確認した。男たちはそれぞれAKを手に持ちピストルを腰に装着していた。この階には2人いる。おそらく各階に2人組でいるのだろう。それを考えると3学年で6人、校門の時の人数を考えるとおそらく残りは職員室あたりを占拠しているのだろ。なぜそんな大人数でこの何もない中学校に乗り込んできたのかは不思議でならない。しかし今はそんなことよりもどうやったらこの状況を脱することができるか考える方が重要だ。
 クラスの皆が教室の片隅に固まる。そして男たちは階に2つある階段にそれぞれ着く。もし教室から出たらすぐにばれてしまう。どうしようかと悩んでいると事態はすぐに動いた。
「トイレ…」
女子の1人が尿意に耐えかねてそんなことを言い出した。先生がそれを聞き勇敢にも声を出しながら廊下に出た。
「すいません、女の子をトイレに行かせてください!」
「駄目だ!逃げる気だろ!」
先生と男の押し問答が始まる。しかしどちらも引かず遂に男が銃を持って先制を黙らせようとする。その時僕は動いた。
「僕が女の子が戻ってくるまで人質になります。彼女が戻ってこない時は僕を撃ち殺せばいい。」
周りが何を言っているんだという感じで見ている。僕は至って冷静だ。僕の勇敢な行動に押されたのか男はこれを了承した。女の子は2教室離れているトイレに、僕は男のいる階段に向かう。
 少しの沈黙があった。その後男がからかう声で言ってきた。
「おい、女子にいいとこ見せたかったのか。」
男は暇つぶしに僕に話しかけてきたのだろう。僕はそれに応じず
「そんなんじゃないです」
ただそう答えた。男はつまらなそうに「ふんっ」と言った。そして再び沈黙が訪れた。しかし男が次に喋ることはなかった。
 男は次の瞬間に宙を舞い気を失った。僕はすかさずに男から銃を奪い取り確殺を入れる。異変に気付いたのか反対側にいるもう1人の男がこちらに近づいてくる。僕は男から見えない位置に隠れる。男がこちらの階段にたどり着いた瞬間に僕はピストルで男の頭を正確無比に撃ち抜く。拳銃の使い方は名探偵コナンで覚えた。工藤優作から工藤新一へ、工藤新一から僕へ受け継がれたものだ。銃声におびえながら教室から同級生たちが出てくる。
「皆教室にいて。」
今度は男ではなく僕が皆に指示を出す。皆は僕の指示通りに教室に戻っていく。
 その次の瞬間だった。銃声に気づき下の階の男たちが階段を上がってくる。彼らは間髪入れずにこちらに発砲してくる。僕は回転しながら1人を撃ち抜く。そしてすかさずに傍にいる死体を盾にしてもう1人の銃撃を回避する。男は乱射する。そしてその音はすぐに止まった。男がリロードしようとするその瞬間に僕は飛び出し、階段の手すりを踏み台にジャンプする。男がリロードが間に合わないと悟り腰のピストルに手をかけようとする。僕はその隙を見逃さずにピストルで男の手を撃ち抜く。男は悲鳴を上げその場でしゃがみ込む。僕は男の傍まで行きその声を止めた。
 ここまでくると勢いのまま僕は職員室に向かう。思った通りに男たちの主力は職員室に集中していた。職員室の入り口2つに1人づつ配置されていた。おそらく中にも何人かいるだろう。校舎の外から職員室近くの窓に石を投げガラスを割る。それに気づいた男が窓から外を覗く。僕はその頭にヘッドショットを決めた。そしてその瞬間に急いで後者の中に入る。職員室は2階だ。階段を駆け上り撃ち抜かれた男に駆け寄っているもう1人の男にも引き金を引いた。そして残りの男たちが職員室から出てくる。4人はいただろうか。もうここまでくると乱戦だ。あまり覚えていない。気づいたらそこにあったのは積みあがった死体と返り血を浴びた僕だった。

 事態は僕の活躍により収束され次の週には学校が再開された。誰もあの事件には触れてこなかった。皆嫌な思い出に蓋をしているのだろう。誰も僕に感謝の気持ちなどは述べなかった。当時は少し不満に思ったが今思うと僕のことを怖がっていたのかもしれない。まあいいだろう。あの日学校の皆は救われた。僕のことなんて、どうだっていいぜ問題はナシ

もしあの日の同級生がいたら感謝の気持ちに投げ銭してくれると嬉しい。

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