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映画「クライ・マッチョ」を観て。


原題:CRY MACHO
邦題:クライ・マッチョ

監督:我らがクリント・イーストウッド(2021)

あらすじ: かつてロデオ界のスターとして一世を風靡したマイク・マイロ(クリントン・イーストウッド)だったが、今は競走馬の種付けで細々とひとり、暮らしていた。そんなある日、マイクは元の雇い主からメキシコにいる彼の息子ラフォ(エドゥアルド・ミネット)を連れてくるよう依頼される。親の愛を知らない生意気な不良少年のラフォを連れてメキシコからアメリカ国境を目指すことになったマイクだったが、その旅路には予想外の困難や出会いが待ち受けていた。(引用)

感想:これほど優しい映画だとは。

「優しさ」を全面に押し出してきたイーストウッド作品。優しいから強いし、強いから優しい。

ラフォを強くなるよう自分で選択させる。それはある意味、自分で選ばさせた優しさというのも見えるわけで。

そして、動物と触れ合うときの優しい手つきと眼差しが、これでもかと映し出されて心に刺さりまくる。ヒーリング映画。

見せかけの強さはいらない。真に強くなれば自然と風格に現れるし、それをひけらかす必要もない。だから、マイクはいざというとき相手を殴って倒せる物理的強さもあったり、妻子を亡くしてから立ち直るという精神的強さもあったり(これは、もちろん周りの助けもあってのことだが、最終的に立つか立たないか決めるのは自分)、ハッタリにおじけつかない経験値の強さもあったり、大切な人を守りたいという愛の強さもあったり。

マイク(=イーストウッド)の強さは92年(映画の設定ではもう少し若いと思うけど、イーストウッドの実年齢で見ること、に)生きてきた経験の中で培われてきたのだろうと思う。そして、その中で彼はきっと自分で選択して生きてきたからこんなに強いんだろうとも思う。

だから、ラストでメキシコに戻ったのも自分の意志だから、きっとこの先も彼女と、その家を彼は強い愛で守るだろうし、ラフォと会っても優しい愛で包み込むだろうし。

マルタも、経験で強くなっていった女性なのだろう。娘や夫を亡くし、女手ひとりで孫たちを育てていき、店を切り盛りする強さには感服。きっと人に捧げる愛も慈悲深く、力強いのだろう。

強さと優しさ。そして強さと美しさ。それが体現されたダンスシーン。素敵すぎた。

ラフォは、マッチョ=自分と見立てて、自分は強いと思い続けてた彼が、最後はマッチョをマイクに託した。彼は本当の自分の強さと見つめ直そうとしたのかな。そして、自分で選択して父へと歩み寄っていって。その背中が、男らしい強さを表してくれていた。ラフォ、あそこでマイクも経験したこと全て血肉になり、強さになると思うから、まっすぐ生きて欲しい。もし偽りの強さを身につけてしまいそうになったらマイクに会いに行って欲しい。そう願わずにはいられない。

あ〜なんて素晴らしいんでしょう。イーストウッド、おん年92とは思えぬかっこよさと力強さ。彼にしかできない役だし、そもそもマイク=イーストウッドだし。

比べるにはさらさらないけど、「グラン・トリノ」とつくりは似てても、全然違うなあと。

マルタもとてもよかった。キャスティング抜群…。笑顔がとにかく素敵。

ラフォに関しては、今は大きくなって強い逞しい男になってるのかなあとか、もう現実世界の一人として応援したくなってしまう。それほど魅力的。

もちろんラフォ以外にもマルタとマイクも、あの後楽しく過ごせてたらいいなあとか、もう現実と混合してる。

もう!イーストウッド作品で癒されると思わなかった!



強さの秘訣は、自分で選択すること。そう感じ取れた。強くなれば、おのずと優しさと美しさが身についてくる。

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