閉じた輪

仕事場でパソコンとにらめっこしていると、ケータイがけたたましい音を立てた。
ケータイが鳴っているのはぼくだけじゃない。そのフロアにいる全員のケータイが鳴っていた。まるで音の洪水のようだ。
「ミサイルが来てる!」
男の叫び声が聞こえた。
ぼくはケータイの画面に目を走らせた。
画面には、レーダーが日本全土に降りそそぐミサイルを感知して警報を発しているとだけ書いてあった。
逃げなければ。あと時間はどれくらいあるのだろう。ぼくはイスから立ち上がった。
窓の外が光り、ぼくたちはその光に飲み込まれた。

気がつくと、ぼくはいつものように仕事場の自分のデスクに座っていた。周りのデスクでもみんないつもと同じように仕事をしている。

夢だったのか。
ぼくは座ったまま伸びをして、いつものようにパソコンの画面に集中しようとした。

ケータイがけたたましい音を立てた。

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