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五十五一六
2020年3月3日 17:03
ぼくは濡れた頭にバスタオルを巻いたまま、パソコンの前に座った。時間ピッタリだ。パソコンから呼び出し音が鳴った。マウスをワンクリックするとテレビ電話が立ち上がる。いつもの長い髪、変わらない妻の柔らかい笑顔が画面に表示された。 「あなた、元気?」 画面に向かって、ぼくは無理に笑顔を作った。 「今日もなんとか生きてるよ」 少し嫌味っぽくなってしまったか。画面の先の妻の表情が曇ったような気がした。