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幼き頃の夢

力の限りモクモク・ポコポコとふくらんでいる雲を見て思い出したこと。

私が幼稚園児だったころ、飛行機で飛んでいけば雲の上に乗れると信じていた。
トランポリンのような感触を想像していて、飛び跳ねるのが大好きだった私は大いに夢見ていた。
雲の上に飛び乗って、ポワンポワンと好きなだけ飛び跳ねて、
疲れたら雲を食べてお昼寝する。
雲は綿菓子の味だと想像していた。

自分が雲の上で飛び跳ねる空想は、夢のように楽しくて、ふわふわとした雲を見つけるたびに想像を膨らませていた。
早く大人になりたいな(大人になったら飛行機に乗れると思っていた)と
夢見心地で母に話したところ、
「雲には乗れない」
「雲はガス」
「遠くからは見えるけど、その場に行くと何もない」
とバッサリ斬られた。

見えているのに、ない?!というのが子供の私には理解できなかった。

サンタさんの時と同じく、「絵本で雲の上で遊ぶとこ見たもん」と反論しても「あれはウソ」「作り話」とバサ斬り。

うちの母は、私が未就学児の時分から夢を打ち砕きまくっていたが、
母としては「子供には正しいことを教えなくては」と謎の使命感・責任感があったのかもしれない。


それから十数年。
高1の合宿で山に宿泊した。
雨が降るわけでもなく、あたり一面がただ真っ白な霧に覆われて、謎めいた雰囲気にテンション高く外をウロついた。

宿に戻ると全身ぐっしょり。
ジャージを貫通し、インナーまで湿っていたことに驚いた。

雲の中に入るとはこういうことだったのか、と幼稚園の頃の夢が完全に消滅した、ちょっとほろ苦い思い出だ。

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