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【#孤高の書】其の二:現代版先入観の起源

 じゃ、なんでネットに巣食うようになったんだろうか、人間は。今や多くの人たちが「現実逃避」の行き先にネットを選ぶ社会じゃないか。

 入口は、スマホやタブレット、そしてパソコン。そこからさらに、目には見えないWi-Fiなる無線LANから仮想現実の世界へとアクセスする。

 そういう薄い板をポチポチ触っている自分の姿、動いているのは指先で、視覚聴覚でいろんなコンテンツを楽しんでいる。

 でもさ、このリアルの世界では、どんなに仮想現実へ逃れようとしたとしても、リアルはリアル。オンラインコンテンツは脳内における体験領域の拡張ブースターであって、リアルで言えば同じ場所に居座ってポチポチやっているだけ。

 この世に楽園などないと断言する理由の一つに、地球の「重力」が挙げられる。

 人間は、地球で生きるというだけで重力に耐えている。今さら何を当たり前のことを言っているんだと思うかもしれないが、この事実こそ、地球上のどこにも楽園など存在しないことは45億年前から派手に続く常識。

 また、その誰もが否定することのできない科学的常識がズドーンと存在する以上、人間だけではなく、犬も猫もサルも昆虫も鳥類も魚類も、草木も、あらゆる生命体が同じく重力に耐えている。

 少し大地を蹴るだけで身体が宙に浮くほどの、月面のような重力だったなら、人類の骨格の進化は実現しなかったに違いない。人間の骨格は、地球の重力に耐え得るだけの進化を遂げてきた。

 それでもなお、身体を鍛えたり、歩く習慣が重視されるのは、運動をしなければ自力で歩くことすら適わなくなるほど不自由な生活を強いられるのが同じく地球で生きることの過酷さでもあるからだ。

 その上で、人間は老化が進むとまず膝が悲鳴をあげ、次に腰を痛める。ヒアルロン酸がうんぬんかんぬんと、潤滑油の役割を担う成分の健康食品がご老体の関節に必要になる。

 階段を上り下りするのが辛くなる。老化が進むということは、ただそれ単体でもこの世に楽園などないという重力耐性衰退の裏付け。

 ハムスターを飼っている人ならば誰もが持っている専用のランニンググッズ。ハムスターが乗ると移動することなく走り出してカラカラと音を立てて回り出すでしょう?

 重力があるからこそ運動をしなければ身体が衰えていくわけで、何もせずには健康には生きていけない。こうした、地球上で生きていくことの大前提に目を向ければこそ、この地球上に楽園など元より存在しないことがよくわかる。

 重力に耐え得るだけの体力が必要だし、気候変動に順応するだけの精神力だって必要だ。

 その上に、人間社会で生きていくためにはコミュニケーション力も不可欠。

 苦しみって一体何のことだ?「苦しみのない幸せな生活」?「苦しみのない」とはどういう状態のことだ?それでもって、苦しみがないということは幸せなことなのか?

 よくわからんな、その理屈。

 生まれながらに耐性を要求され続けるこの人生で、苦しみのない幸せな生活をおくることのできる楽園とやらを求めるという考え方は、自然の摂理に対し派手に矛盾または逆行した考え方ではないのかね。

 そんな場所、あるとでも思ってんの?

 はっはっは、これは傑作(笑)

 苦痛への耐性強化のためには、大なり小なり幾度とない苦痛を経験する以外に効率的な手段はない。

 同じ境遇の者同士で集まり、コミュニティーを作ってふれあい、互いに分かち合い、生きていく上での不安を解消しようとすることは、本当に必要な人には必要なことで、否定していいものではない。

 ただし、精神論ではなく論理として、至極当然とも言える「地球で生きる上で耐えるべき苦痛からは逃れられない」ということを無視して弱いままでもいいなどと屁理屈を垂れるのは、「人間を辞めたい」とほざいているのと何ら変わりがない。

 せっかく人として生まれたなら、それ故に経験する苦痛に耐えられるだけの経験の積み重ねは、それ故に体験できる喜びや楽しさに遭遇するためには必要絶対条件なのだと思うほうが理に適っていると思わないか?

 自分に降り注ぐ幾度とない苦痛は、自分を鍛えるための貴重な瞬間なのであって、悪いことだと勘違いしている人たちがあまりに多い。その上で理解だけはしてもらいたいと嘆くのは何か違う気がするよ。

 現代版先入観の起源とは、人は誰しも弱い生き物であるという前提認識がありながら、あらゆる苦痛から逃れようとする人ほど、自分に苦痛を与えるものは全て悪だと錯覚していることである。

 ここには、苦痛というものに対して、右か左かくらいに180度真逆の捉え方が見て取れる。

 ただ試されているだけなのに、ムキになって腹を立てたり逃げたり諦めたりする人に、元より楽園なんて存在しないこの地球で生きていく道さえ存在しないんじゃなかろうか。

 やれるだけやってみて、生きられるだけ生きてみて、トライしてみてから考えればいい。数々の苦痛を経験した者は、いつからか楽園なんて存在しないことには気付いているし、探そうともしない。

 「サンタクロースとかいうおじいさんは存在しないんだよ」といったことと同様の、現実、真実、事実、全ての人間はこのリアルという超巨大樹に実る果実しか食べることはできない。実らぬ果実を食えるはずがないのだからね。

 人は誰しも、日々何かに耐えている。生まれて以来乗り越えてきた苦痛や苦難が、あなたを強くしてくれたことは断言していい。

 それを裏付けている証明は何か。

 「あなたが今こうして生きているということ」


【次回予告】其の三:同調圧力の正体

お楽しみに!(・∀・)ノ


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