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悪女な張曼玉もええやん!映画「タイム・ソルジャーズ 愛は時空を超えて」

監督・霍耀良(クラレンス・フォク)、主演・元彪(ユン・ピョウ)の香港SFアクション映画です。ワイヤーアクションやVFXを多用した作品であり、なんとなくアクション系ハリウッド映画な雰囲気を感じさせます。80年代絶好調のユン・ピョウ、そして同じ七小福出身であり、その七小福で一番の身体能力を持っていた元華(ユン・ワー)のバトルアクションは必見です。

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「タイム・ソルジャーズ 愛は時空を超えて」
原題:急凍奇侠
英題:The Iceman Cometh
公開:1989年(香港)

あらすじ

時は明朝時代。フォンサム(元華)は皇帝のいとこである姫を乱暴した挙句、命までも奪ってしまう。皇帝は激怒し、同門でありフォンを取り逃がした責任者である近衛兵副隊長・チェン(元彪)を斬首刑にするように命じるが、20日以内にフォンを捕らえるよう猶予を与える。
自身とチェンの師匠から黒玉仏を盗み、輪廻盤を使い未来へ逃げようとするフォンを阻止しようとしたチェンは死闘の末、フォンを道連れに雪山の崖から身を投げてしまう。
時は現代。中国の研究者が雪山から凍ったチェンとフォンを発見する。解析のためアメリカへ向かう途中の香港で二人の冷凍死体が盗人により解凍・復活してしまった。
目覚めたら現代の香港、チェンは困惑しながらも売春婦のポーラ(張曼玉)と出会う。
ポーラにこき使われながらも、少しづつ現代に馴染んでいくチェン。そしてある感情が芽生え始める―。

主な主演

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チェン(元彪)
明朝皇帝の近衛兵・副隊長。フォンを捕えるために20日間の猶予を与えられ、死闘の末共に雪山の崖下へ身を投げる。タイムトラベル後の現代ではポーラの付き人となる。

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フォンサム(元華)
チェンと同門であり彼の兄弟子。黒玉仏と輪廻盤を使い未来へ逃げようとしたところチェンと共に崖下へ転落。タイムトラベル後の現代では強盗団の一員となっている。

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ポーラ(張曼玉)
借金ありのあばずれ売春婦。チェンを用心棒・付き人として、日々こき使っている。

元彪・元華の華麗なるカンフーアクション

共にブルース・リーの吹き替えスタントを務め、七小福最年少メンバーであったユン・ピョウと七小福一の身体能力をもつユン・ワーのファイトシーンに魅せられます。
特に動画のラストファイト。ソード・ガンアクションが多めのこの作品ですが、最後は2人の肉弾戦カンフーバトル。二人とも足技がすごく綺麗ですし、とにかくスピード感・キレが半端ないです。

現代に戸惑う元彪と現代に順応しすぎな元華

タイムトラベル物にありがちな、その時代の生活様式に戸惑うシーン。
当然この作品も描かれていますが、明の時代からきて色々なものに戸惑うチェン(元彪)となんか馴染みすぎちゃう?って思うくらい馴染んでるフォン(元華)が面白いです。

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ポーラの家に連れてこられたチェンは、初めて見る電化製品に興味津々。テレビに向かって話しかけたり、しまいにはぶん殴って壊しそうになったり。
また、トイレを見て電気井戸と勘違いするチェン。なんとトイレの水を飲んでしまったり顔まで洗ってしまいます。
でも最終的にはウォークマンを聞いたり、公衆電話やポケベルを使ったりとそれなりに順応できてる模様。というか、髪切って現代の服着た姿ってただのユン・ピョウじゃん。

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一方のフォンはサングラスとスポーティーなファッションをビシッと決めて登場。なんなら最後の方には車も運転しちゃうくらい順応した模様。しかも、明の時代に帰ろうとした時は銃火器のほかに電子レンジなども持っていこうとしたあたり、よほど現代の生活に味を占めたらしい(けど電源はどうするよ?)

どうしようもないマギー・チャンもいい

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売春婦で借金持ちで性悪などうしようもないヒロインを演じるマギー・チャン。日本で80年代のマギー・チャンと言えば「ポリスストーリー」シリーズでジャッキー・チェン演じるカク刑事の彼女・メイや、「プロジェクトA2」のサンサンといった清純派ヒロインですが、今回はそのド反対をいっています。劇中では、チェンをこき使うだけではなく、チェンと美人局まがいのことをしたり滅茶苦茶やってます。
しかし、煙草を吸うシーンが妙に様になったり(実際マギー・チャンは喫煙者らしいですが)、小悪魔どころか普通にどうしようもない悪女なのにどこか惹かれる魅力的なヒロインを演じられるのも、彼女の強みかもしれません。

総評

SFあり、カンフーバトルあり、アクションあり、ギャグあり、ロマンスありと欲張りなこの作品。
80年代、ユン・ピョウが絶好調の時の作品だったこともあり、とにかくキレ・スピードがあるカンフーバトルを楽しむことができました。
アクション面においても火花飛び散る剣道史の戦いや、クレーンによって宙づりになった車にぶら下がって格闘したり、走っている車から車へ飛び移るという危険なアクションをこなしたりと飽きさせません。
また、それまでの香港カンフーアクション映画にないような、どことなく現代のアクション映画を感じさせるカメラワークのお陰か、より一層ユン・ピョウ、ユン・ワーの華麗なアクションが映えていると感じます。ただ特殊効果が少し過剰気味(VFXの黎明期だから?)というか、観ていて目がチカチカするような、疲れるような物がありますのでそこは少し注意かなといった感じです。ポリゴンショックみたいになったら大変ですしね。
ヒロインであるマギー・チャンも今まで見てきた映画で演じてきたヒロインとは全然違う感じである意味新鮮でしたし、とても個性的で思わず惹かれてしまいました。
ただ、鑑賞者のご想像にお任せしますパターンなのか、もう少し最後のオチが丁寧だとよかったですね。