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今回は(まるでホントの?)姉妹設定です 映画「夢醒血未停」

監督・魯俊谷(ルー・ジンク)、主演・李賽鳳(ムーン・リー)・胡慧中(シベール・フー)・大島由加利の香港ガンアクション映画です。日本未公開・非日本語ソフト化作品ですのであまり知られてないかな?ムーン・リー×シベール・フーの組み合わせといえば、ラストの爆破アクションの失敗で二人とも大火傷を負ったあの「群狼大戦」を思い起こさせますね。ちなみに今作の監督であるルー・ジンクはその「群狼大戦」の監督を務めていたわけですが・・・。今作も「群狼大戦」に負けない?くらい危険でハラハラするアクションの連続です。

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「夢醒血未停」(日本未公開)
原題:夢醒血未停
英題:Dreaming the Reality
公開:1991年(香港)

あらすじ

孤児であった銀狐(ムーン・リー)と黒猫(大島由加利)は、マフィアのボス・フォック(エディ・コー)に幼いころから暗殺者として教育をされてきた。
ある日、フォックにインターポール捜査官が持っている犯罪の証拠が入ったフロッピーディスクを奪うよう命令された二人は、タイで任務を遂行するも失敗に終わってしまう。さらに銀狐は、警察からの逃亡中に頭を強く打ちながら川に転落してしまった。
バーの店主をしているラム(シベール・フー)とその弟・ロッキー(ベン・ラム)の手によって銀狐は九死に一生を得るが、自分が何者かすらわからない記憶喪失の状態に陥ってしまっていた。

主な出演

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銀狐(李賽鳳)
孤児として引き取られ、幼い頃からフォックに殺し屋として育てられてきたが、自分が行ってきた事の大きさに気づき苦悩する。警察から逃走中に頭を強く打ち、ランとロッキーに助けられるも記憶喪失となってしまう。

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黒猫(大島由加利)
銀狐と同じく幼い頃からフォックに殺し屋として育てられてきた。任務に忠実で殺しをいとわない。

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ラム(胡慧中)
タイでバーを営む元香港警察の警官でロッキーの面倒見がいい姉。常に咥えタバコをしている。

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ロッキー(林國斌)
ラムの弟で将来有望なボクサー。とあるジムに見込まれ契約するも、そのジムは裏社会と繋がりを持っていた。

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フォック(高雄)
銀狐と黒猫を引き取り、殺し屋に育て上げた張本人。二人にインターポール捜査官が持つフロッピーディスクを奪うよう指示する。

女武打星たちの肉弾戦も見逃せない

90年代初頭、香港映画界ではガールズウィズガンアクション映画が流行っていたため、この映画ももれなく銃撃戦でのファイトが多かったですし、結構ガンアクションとしてもワクワクさせるような内容でした。しかし、ムーン・リーと大島由加利の女武打星2名が出ているので華麗でキレものある肉弾戦のファイトも見逃せません。2人のスピード感・キレ、そして何よりも足技の綺麗さを今作でも十分に堪能できるかと思います。

ラストファイトでは自らを暗殺者として育て上げたエディ・コーとの一騎打ち。周りには線に触ると手榴弾が爆発するとトラップがありながらのファイト。1:24~の回し蹴りはゾクゾクしますね。

自重なし?強烈アクション

シベール・フーとムーン・リーが大火傷を負った「群狼大戦」と同じルー・ジンク監督の今作。流石に今回は2人ともいるし多少は自重するのでは?と思いきやなかなか強烈なアクションをぶっ込んできました。

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任務に失敗し、タイ警察から逃走する黒猫。オフロードバイクで空を舞い、警察車両を3台も交わす豪快なアクションは、まるでジャッキーの映画みたいですね。さすがにこのシーンはスタントマンによるものでしょうが、それ以外ではオフ車に駆る大島由加利、そしてムーン・リーの姿を拝むことができます。

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上にも動画を貼りましたが、銀狐・ラン×フォック一味とのラストファイトは手榴弾を使ったトラップによるアクションが展開されます。こちらも一歩間違えたら大怪我しそうなハラハラアクション。もうとにかくあちらこちらで爆発しまくりなあたり、ルー・ジンク監督は火薬が大好きなんですかねぇ。

総評

幼い頃から殺し屋として育てられ、自分の罪深さに苦悩するムーン・リー演じる銀狐と、育て親に忠実で殺しをいとわない大島由加利演じる黒猫。銀狐が殺しの世界から身を引きたいという思いとそれを引き止めようとする黒猫の様子から、まるで本当の姉妹のように一心同体で様々のことを乗り越えてきた来た2人にとって、大きな分岐点となるすれ違いに感じました。
ファイトアクション面においても、ムーン・リーと大島由加利の二人の息の合ったファイトは流石なもので、特にレストランで襲撃されたシーン、空港でインターポール捜査官を襲うシーン、そしてムーン・リーとエディ・コーのラストファイト は大胆で緊張感あるアクションシーンを堪能することが出来ました。
ただ、ロッキーのボクサー の設定いる?って私は思いましたけどね。無駄にボクシングシーンが長かったってのもありますけど、普通にシベール・フー演じるラムと仲のいい兄妹をやっていて、記憶喪失の銀狐を助ける→銀狐とロッキーが惹かれ合うって感じでいいような・・・。ロッキーのボクシングファイトシーンも(長いけど)なかなか熱いですのでこれはこれで良かったかも知れませんけどね。
ちなみに私が大好きなムーン・リーは、今回デコ出しでクールで大人っぽいけど繊細な感じがして非常に良かったです!銀狐は戦う女って感じだけど、本当は平和に普通に暮らしたいって思いが滲み出ています。記憶喪失状態でのラムとロッキーの暮らしはある意味願いが叶った状態ですよね。
先日紹介した夜魔先生同様、日本未公開・日本語非ソフト化作品ですがムーン・リーファンの方にはぜひ見て欲しい作品でした。