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オーセンティックプラモデル

タミヤの1/35 SASジープを作った。こういったキットの情報を得るのは難しく、調べても「作ってみるか」と素直に思えることは少ない。

理由は古さをどう語るかにあると思う。このキットの素晴らしさは自身のはてなブログにも書いたが詰まるところはオーセンティックな、あるいはトラディショナルな模型であると言うことに尽きる。それを自身の感じた気持ちのままに記したのだけども、模型はただ切って貼るだけではなくて、その周りのボックスアートや説明書、解説なども大事だと言うことと、たとえ技術が進歩しようとも風になびく頭巾を描写しようという作り手の思いがなければこれを超える情感豊かな人形は、どんなにかっこいいポーズのものが現れたとしても出てこないということ気づかされる。

模型は古くなる。これは当たり前だが余り気がつかなかった。たしかに私も作り始めてしばらくは「せめて2000年代のキットが良いな」と思ったものだ(一度古いキットで痛い目を見たというのもあるが)。だが、2000年代といってももう20年。古い話だ。

こうして古くなったキットは、なんと言われるか。私よりもご存知の方が多いだろう。「ディテールは不十分ながら……」「当時のものとしては造形はしっかりしており……」と、今の水準でないことを語られる。そこから追加工作の作例や最新のキットからパーツを持ってきて改造するとかそういう話が多い。

なぜ、そのままの良さを伝えないのだろう。

模型は古くなるがそれでも今もなお発売されている。これが最高に素晴らしい。SASジープは1974年に生まれているが、それを今も同じように作れる。なんなら道具の進化で昔よりもはるかに簡単に作れる。そういう話はまるで出てこないし、この古くも伝統的な由緒ある模型をそうであるように語るものはほとんど見受けられない。

洋服には発売当初から今もなお愛されるものがあり、それは「定番」と呼ばれ、そのままを愛す風潮がある。また、定番でありながらも姿形は多少アップデートされるため新しいものが愛され、古いものは唾棄され……ないのだ。古いものはむしろ「オリジナル」としてリスペクトされ、それをそのまま用いたりすることも多く、そうして「オーセンティック」「トラディショナル」「クラシック」と渋いオーラを纏う。先程、模型は古くなるという話をしたときに「古いキットも負けてない」と思ったのならそれは、このような感覚があなたにあるということだ。

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