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【対談】~噛み合わないふたり~①〈制作秘話編〉

introduction…

こちらの記事は「着れる小説」の企画を立ち上げるにあたって声をかけさせていただいた、漫画家兼、イラストレーターであるスガノヨシカ(以下、スガノとする)さんにメールで質疑応答を行い、もらった返事を元に僕がまとめた対談記事もどきです。

着れる小説についてはこちらから
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読んでいただけましたかね?
それでは、はりきってどうぞ!



Q1;
制作秘話について教えてください。


>スガノ
企画立案当初、Tシャツにプリントされるデザインは1パターンだけの予定だったんですよね。はじめは黒版だけを作ってくださいとのお話でいただいていて。そこからいつしか野凪さんの方から「白版も作れませんか」とのリクエストが飛び出しまして、2パターン出させていただけることになったんです。

個人的なイメージとして黒版は野凪さんの作品に出てくるキャラクターを正面に大きく設えたり、これから事件を起こしていくぞ、という爛々とした夜のニュアンス、白版の方はもう一つの仕掛け人であるkishclothingさんをイメージしてモードに、夜のけたたましさは鳴りを顰めた精悍な昼下がりの空気を意識して作ってみました!

黒版

📨送信中…
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>野凪爽
そうでした・・・。
いや、今回は僕のわがままに付き合ってくださり、本当にありがとうございます。

今回のTシャツに収録されている物語の主人公、リコちは二面性がある性格だったため、「せっかくならビジュアル面でも差別化できたら面白いんじゃないか?」と思いついてしまい、ダメ元で頼んでみたところ承諾いただけました。
おかげで物語の解釈の幅が広がったと感じています。また「kish clothingというアパレルブランドの指針を素材にした物語を書く」という依頼目的についてもヨシカさんの助力によって物語という垣根を飛び越えてビジュアル面でも示せたと感じています。

白版

📨送信中…
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>スガノ
あと、制作中にメールでやり取りさせていただく中で印象に残っていたのは、「ヨシカさんが可能な表現の幅はそこまでということでしょうか?」という、個人的にパンチラインだと思っているメッセージです。

この人には私が今以上に力を発揮できている姿が見えているんだとわかったときは、感動と同時にものすごく自分を恥じました。
そのほかにもたくさんの学びや実りあるお仕事をさせていただきましたし、今回はとてもいいものができた実感があります。

📨送信中…
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>野凪爽
改めて、あの時に交わしたメール内容読み返したのですが、僕、だいぶ煽ってますね・・・コレ。
すみません。
それをパンチラインとして受け取ってくださるヨシカさんの器量に改めて救われてます。いや、あの時はほんとすいませんでした。

これを送っちゃったのは、3月の初め、ちょうど黒番のデザインをしていた時です。
僕が撮った背景写真に対してヨシカさんがイラストを描き込むことになっていて、その際、「私の作風が線画だからこれでいきたい」というヨシカさんの意見と「漫画の一コマみたいに作ってもらいたい」という僕の意見が対立していたんですよね。

僕はこの時、自分で初めて夜ロケをして撮り終えた達成感があり、ヨシカさんに選択の余地は与えたものの、頭の中ですでに選定する写真も何となく決まっていました。

今思えばどんだけエゴイスト・・・。

そんな僕に対してヨシカさんの返答は理想と全く違い、そのギャップに苛立ちながら「なぜ、この人は線だけで描こうとしているんだ?」と疑問に思い、ずいぶん不躾な返信をしてしまいました。

ですが、「線が風景に溶け込むことによって都会に紛れる主人公という構図が生まれ、それによってこの作品のキーとなる言葉、TRY TO FIND IT.の文言が意味を持ってくる」という返答をヨシカさんからいただき、納得せざるを得ませんでした。

いやあ、ほんとあの時は「あ、これはコンビ解消かもしれない。終わった」と思ったので、対立しつつもコラボイラストを仕上げられたことを嬉しく思います。


「噛み合わないふたり」の対談は
まだまだつづく・・・
TO BE CONTINUED ▶︎▶︎②



ちなみに・・・

僕の方の制作秘話は…

今回、僕は小説の制作だけでなく、コラボイラストの背景写真も撮らせていただいたのですが、そのロケハンの際に明け方の渋谷を彷徨っていると訪れた路線橋(四反道路線人道橋)に「will you be my yellow? / Nah That's sixs」というタグが階段を上り切った通路に記されていました。

それを見て僕は『これは僕らが黄色人種であることに対するメッセージか?』と邪推し、Google翻訳にかけてみると・・・

「あなたは私の黄色になりますか / いや、それは6だ」という意味不明な訳文が出てきました。

それでは納得いかず再度ネットで検索をかけてみると・・・

とあるアーティストのアルバムがヒットしました。
それがBakar(バカール)というノース・ロンドン出身のシンガーソングライターで彼が出しEPの名前が「Will You Be My Yellow」でした。

きっとこれは偶然で、あのタグを書いた人物がこの曲をお勧めしたかったのかはわかりません。
ですが、そのEPを帰り道で聴き始めると、夜明け前からあちこち駆け回った疲れた体に妙に沁みて、それからは体が疲れてるなぁと感じるとよく聴いています。

なにかを創りあげるにはもちろん机に向かうのも大事ですが、思いがけない出会いや閃きは、やっぱり現場に落ちているのだと改めて思い知った出来事でした。



OFF SHOT

夜明け間近の渋谷

当初は⇧の写真をコラボイラストの
背景にしようとしてました。
不採用でした! 残念!


credit



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