そんなマチネの終わりに
今日まで「下北沢カレーフェスティバル2023」だったみたいだ。この間、友達と3人でヨーロッパ企画を観た帰り、本多劇場から徒歩2分のクラフトビール屋さんに寄ったら、その日がカレーフェス最初の週末だった。
おかげで15時台でも店内は結構混んでいた。満席ではなかったので待たずに入れて注文も取ってもらえたけど、提供スピードに期待しないほうがよさそうだったので、デイヴィッド・ホックニー展のお土産のキーホルダーを2人に配ったりして、長く待つ態勢をつくってみた。「行ったの!?」「『一緒に行こう』って言われた気がするけど!?」と一斉に怒られてやぶへびだった。
間もなく店は満席になり、それでもビールもおつまみも思ったより早く出てきた。わたしたちは3時間後に迫る晩ごはんに響かないように、カレーは我慢。紅芯大根の酢漬けやラム舌(タン)を茹でたものなどを噛みしめて味わった。
感動したのはお水を頼んだとき。さすがに優先順位が低いので、これはなかなか持ってきてもらえない。「もうセルフで汲みに行かせてもらえないものか」と焦れていたとき、ホールの女性が思い出してくれて、水の入ったジョッキを3つ、両手で持ってきた。ジョッキをテーブルに着地させながら彼女は朗らかに言った。
「お待たせしてすみません、下北沢クリスタルIPAです!」
一瞬、「うん? クリスタルなに?」と固まって、数秒して意味が分かった。分かった途端、とても和んだ。昭和っぽいセンスの冗談を、若い彼女が威勢よく言い切ったのがなんだかよかった。
ついでというか、平成中期に「今の仕事? 『サンデー毎日』だね」とか言っていたニートの知人を思い出す。彼も最近は、サンデーは日曜だけになっているかもしれないが、のんびりのほほんと暮らしているといい。わたしもそうする。
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