四男から夫が手渡されたもの
ある日のこと、洗い物をしてくれていた夫のもとに四男がトコトコと駆け寄り、「ハイ、ドーゾ」と夫に小粒の何かを手渡していた。
夫は洗い物の手を止め「お?ありがとう!何をくれたんや?」と手渡されたものの確認作業に入った。
「おやつに食べてたレーズンか?いや、違うな。何日か前に遊んでた粘土か?いや、違うな…」と色々想像を巡らし視覚・触覚で確認したていた。しかし、思い当たることがなかった夫は「なんやろな。ちょっとネチネチするな」と言いながら手渡されたその小粒のなにかを最後に嗅覚で確認した。
その瞬間夫は「うんこやないかー!!!!」とのけぞった。普段は割と冷静で滅多に取り乱すことのない夫がのけぞっている。こんな夫を見たのは畳の順目に乗ってツルっといきそうになっていたのを見たとき以来である。
夫は動揺しながらも惨事を最小限に抑えるため四男に「これはどこから持って来たんや?」と聞くと、四男は屈託のない笑顔で「オシリ」と答えていた。
そりゃそうだ。出所に間違いはない。事実のみを笑顔で伝える彼の前で夫は何も言えなかった。
次男も同じようなことをしていたので4分の2、2人子どもがいたら1人はやっているということだろう。そう思うと2,3歳のお子さんをお持ちの方にとっては誰しもが経験したことのある、あるあるなお話に違いない。
あれから4~5年が経過するが、今となってはフィギュアスケーターの如く反り返った夫の姿も四男の満面の笑顔もよい思い出である。