見出し画像

40代以降の転職は「自分のわかりにくい価値」を理解してリファレンスしてくれる社外の知り合いを増やす【こんな人と話した日記 #4】

「いまのまま働き続けてもいいのか診断」経由で話した記録を公開します。内容は本人確認済です!

最初にもらったコメント

IT系(自社サービス有)会社で働いています。中途入社で約10年勤務の40代です。 新規事業の部門に5年ほどいまして、チームの立ち上げや教育に全力投球してきました。仕事はそれなりにうまく行っていたものの、最近この部門から異動になりました。 大きな仕事を終えた感いっぱいで、あまり取れなかった有給を取ったり、自分と向き合う時間を増やしています。
この後今の会社で働くか、違うところで働くか考えていた時に、柴田さんの「自分の市場価値ってどうなんだろう、と他社の面接を受けたくなったら読む話」をたまたま読みました。 「いまのまま働き続けても良いのか診断」が斬新で、思わずフォーム入力してみました。

ここから、二人だけに限定公開されたgoogleスライドをつかって、文通のような形式でやりとりしました。直接話したことはなく、テキストのやりとりだけです。以下、Aさんとしておきましょう。

解決したい内容を特定する

柴田からの質問1:今の会社で「新規事業の立ち上げをやっていた」という話だけ聞くと、それが他の会社でも評価されそうですが、そうでもないのでしょうか?

省略した部分なども読むと、普通に仕事できそうだから、いろんな会社のニーズある気がする、と思ったので聞いてみました。

他の会社でも一定の評価は得られるのではないかと思っています。会社が変わっても汎用スキルで貢献できる面はあると思います。ただ、私のスキルと会社のニーズを実際にマッチングさせるとなったときに、以下の条件が入ってくることからちょっと難しさを感じています。

・ある業界に特化した自社製品ベースのソリューションを導入する仕事がメインであったことから、他業界に関する知識が乏しいこと
・地方在住のため、そもそも仕事が首都圏に比べ少ないこと

顧客企業は東京が圧倒的に多いため、スキルをストレートに活かす仕事は見つかりにくいと感じています。私としては違う業界でも良いとは思っています。

Aさんの回答

柴田からの質問2:上の回答とは別で「今の会社で働き続けない選択肢」を考え始めた理由を教えてください。違う言い方をすると「新規の立ち上げやって、また同じ会社で次の何かをやるぞ〜」とはならないものなのか?という質問です。

Aさんの回答:現在の仕事は「自社製品をベースにしたソリューションを販売・導入する」というものになります。販売資料や導入時のドキュメントをパッケージ化し、仕組みを作って人を教育してお客様に展開していく、という業務を行なってきました。(もちろん自分でもお客様を担当します)

仕組みがある程度できてしまえば、良くも悪くもルーティン化します。ある程度のところでスキルも頭打ちになってしまいます。私はこの状態を変えたいと思い、さらにお客様課題に踏み込んで提案活動を行う業務を自分たちで対応したいと上司に相談しました。

この相談の影響かはわかりませんが、私はその後、営業部に異動になりました。ある意味希望が叶ったのですが、営業はどちらかというと個人プレイで、これまで担当してきたチームマネジメント業務スキルを活かせるわけではなさそうです。

このまま営業でやっていくか、環境を変えるか、検討しています。今の会社に不満は特にありません。が、「次はこの仕事を!」と言う何かがあるわけでもないです。次の1歩をどう進めるのが自分にとってベストなのかを、フラットに考えたいと思っています。

Aさんのコメント

Aさんから追加でもらったコメント

実は2年ほど前にも、自分の市場価値を知りたくて、転職サイトでいくつかの会社を受けていました。最初は本当に軽い気持ちだったのですが、実際に動いてみると、とても魅力を感じた会社に出会い、内定をいただけました。

ただ、条件面で2点ほど引っかかった部分があり、悩みに悩んだ結果今の会社に残りました。その後まもなく、コロナ禍で転職活動は一旦やめました。
その後は仕事も充実しており転職のことは特に考えませんでした。

今回は、「2年間で自分がやって来た実績で、市場価値は上がっているのか知りたい」「(現状、仕事の切りが良いタイミングでもあるため)今の仕事を続けるか、環境を変えるかどちらが良いか考えたい」の2点の思いがあり、文通させていただこうと思いました。

なかなか、こういう壁打ちができる機会ってありませんので…

Aさんのコメント

なるほどー。東京以外だと一気に転職先の選択肢が狭まる、みたいなことはありそうだ。もうちょっといろいろ聞いてみよう。2つぐらい質問して、回答してもらう、というやり取りを続ける。

柴田からの質問:(同じ地域の似た職種を提示して)これ見てどう思いますか?

今の仕事からのピボットでできそうだなと思う一方で、間違いなくお給料は下がるだろうと思ってしまいました。(個人的には仕事の内容次第で1割ぐらい減るのは許容ですが、ぱっとみた感じ3割減もあり得そうです)

Aさんのコメント

柴田からの質問:「このまま営業でやっていくか」の話。ここにはご自身として「自分にどういう市場価値をつけるか」という意思の話も入ってくるかと思います。今の会社で営業職を続けたときには、どんな「社外から見た価値」がつくのでしょうか?

今の会社で営業を続けた場合、「営業経験」だけでは社外的な価値は特に大きく変わらないと思います。前職で法人営業を10年やっているため、汎用的な営業力自体は既にあると思います。ただし、営業マネージャーのポジションであれば、マネジメント経験のプラスになるかもしれないとは思います。もしくは何か画期的なプロジェクトの企画提案をした場合、その経験が価値になるかもしれません。

Aさんのコメント

Aさんから追加でもらったコメント

書きながら思ったのですが、社会人経験を積めば積むほど「この職種を経験した」というだけで価値が上がっていくことは少なくなるはずで、自分の市場価値アップ自体の難易度が年々上がってるのかもしれません。だから悩むのかも。
それであれば、おそらく職種の選択を考えても答えは出なくて、社会的ニーズのありそうな自分の強みを磨く事に徹した方が道が開けるのかもしれないです。

Aさんのコメント

この段階における柴田の感想

年収の話は、「自分の市場価値ってどうなんだろうと思ったら読む話」でいう「社内労働市場での評価」と「社外労働市場での評価」が組み合わさっている。長く働くほど「今働いてる会社の人にしかわからないその人の価値」が増えて、年収に付与されるはず。

長く働くと、社内労働市場の評価が報酬に反映される

となると、人材紹介会社とか、普通の転職方法は不利になってきて、「取引先とか、知り合い経由」など、「今働いてる会社の人にしかわからないその人の価値」を多少は理解してくれてる人が間にはいったほうが、明らかに価値も正当に評価されそう。

今すぐ転職する必要がないなら、先を見越して「社外転職市場の文脈における価値以外の価値を理解してくれる人」を増やす活動をして、「これだ」というタイミングで転職を決めるとかかなあ。

で、追加で質問してみた。

柴田からの質問:「社外転職市場の文脈における自分の価値以外の(社内でしかわからない)価値を理解してくれる人」で、転職先を探すきっかけになりそうな人、思い当たりますか?

いちばんに思いつくのが、今の会社から転職していった、元同僚の人たちですね。他には今の会社の取引先の人たち。私自身が実名でのネットでの発信活動を特にしていないため、一緒に仕事をしたことがある人たちになって来るかなと思います。
前職を辞めたときも何人かの方が声をかけてくれました。当時は、たとえ年収が下がっても、営業以外の経験を積んでスキルの幅を広げたかったので
、最終的には紹介ではなく転職エージェント経由で転職しました。
その結果、仕事はすぐに決まったものの、年収は前職の時の6割ぐらいに減り、元の年収までアップさせるのにかなり時間がかかりました。笑。
前回の転職時は、年収を下げてでも職種転換するという勝負に出ましたが、これを繰り返しても仕方がないので、今後はピボットでやっていきたいなと思っています。

Aさんのコメントより

でもこれで「課題をジレンマで表現する」はできそうだ。ちょっとやってみる。

解決したい課題をジレンマで表現してみる

希望年収と頭打ち状態を避けるを両立。まさに!と思いました。

Aさんのコメント

お、なら課題はこれで表現できそうだ。じゃあどうするかを考えていこう。

解決策を考える

まず、対立をなくす方法はいろいろあるけど、ここが基本かなとあたりをつけた。社内労働市場の価値を分かってる人経由での転職かなと。

いくつか質問を続ける。

柴田からの質問:自分の「わかりにくい価値」を理解しつつ転職の手助けになる人達を、もっと増やす方法とか、もっと手助けをしてもらうための方法は思いつきますか?

「もっと増やす」の場合は、今の会社で働き続けながらご縁を広げていく流れになると思います。
助けてもらえる可能性のポテンシャルは、上がっていくのではないかと。
「もっと手助けをしてもらう」の方は難しくて、今私が転職を考えているとは皆思っていないので、そもそも助けると言う発想がない状態です。
さすがに取引先には言えませんので、元同僚と話す時に「チャンスがあれば転職したい」と伝えておくのが良いのかもしれないと思いました。
うーん、ちょっと弱いかも。

Aさんのコメント

この質問をしたときに言語化できてなかった違和感がある。ここから先、どうしても「ブログを書く」とか「SNSで〜」みたいな解決策になりがちだ。でもそれしか解決策がないのは微妙だなーと思っていて、でもそれ以外にわからないからこの質問をしてみた。日々の仕事の中で自然にやる方法があるはずで、それを探りたい。

ここからは私もわからないので、「文通」のような、コメントのやりとりになっている。

柴田:ご縁の広げ方ですよね、たぶん次に考えるべきことは。それが仕事の中で自然にできる+αのちょっとした行動ぐらいだと望ましい。それが何かってのは、私にはわからず・・・!

漠然としていますが、何か自分から発信していくのが良いんだろうなと思います。私は少人数の人との丁寧めなコミュニケーションが得意なタイプなので、あまり集客に拘ったりして自分に無理をさせないようにしながら。笑。

「今の顧客から次の仕事をもらう」ことはできるのですが、単純に今の仕事の延長ではない仕事を射程距離におくなら、自分の存在を今やり取りしている以外の人たちにも向けていったほうが望む方向に進みやすいのではと思いました。

Aさんのコメント

柴田:自分の「わかりにくい価値」を理解しつつ転職の手助けになる人達の名前を具体的にあげていったら、どれぐらいになりますか?そしてそれを1年に1名でもいいから増やす、とかなのかなあ・・・

少しずつでいいのではというハードルの下げ方なのかな、というアイデア。

取引先会社で2名、元同僚で2名ほど、相談してみようかなあと思う人が思い浮かびます。
ただ実際に転職を切羽詰まって考えたときには、実名でやっているFacebookで呼びかけるのではないかと思います。その時に誰かが反応してくれるかは運とタイミングだとは思います。(わかりにくい価値をよくわかってくれている人もいますし、そうでない人もいます)

Aさんのコメント

Aさんの追加コメント

「発信」と簡単に書きましたが、何をすれば良いやらです。笑
発信といえばYouTubeがぱっと思いつきますが、YouTuberなんて程遠い…色々な方法があると思うので、ちょっと考えて挑戦してみようかなと思いました。
幸いなことに、今は仕事が少なくて時間はあります。時間に余裕が出たことで、自分自身のことに目を向ける余裕ができました。いつも「チームのため、メンバーのため」と頑張っていたら、こういう発想はでてこなかったと思います。過ごし方を変えると自分が変わるものだなと思いました。

Aさんコメント

でも、たぶんYouTubeとかじゃないはず・・・。で、ふと思い出したことがある。

柴田のコメント

雑談ぽくなりますけど、そして、ちょうど最近あった話を書きます。「40歳すぎたら報酬もいいけどリファレンスがほしい」と社員から言われて。その人の評判、仕事の成果が外部からわかるような支援を会社としてしてほしいと。
思いついたことは、「自分のリファレンス先」になってくれる人がどれぐらいいるか、それを増やすというのは一つの目安になるなと。働きぶりを理解してくれてる人がいて、働いている会社以外にそういう人が一定数いれば、何かしら転職に役立つと思うんです。「自分の転職を助けてくれる人を増やす」ってなんか微妙だなと。だからこれぐらいがいいかなーと思いました。

解決策の方向性:自分の働きぶりのわかりにくい部分を理解してくれている社外の人(リファレンス先)を少しずつ増やす

これならYouTubeほどハードル高くないですし。私の働いている会社の社員の希望に対する回答としても「その人の仕事ぶりを普段から外部に出せるような活動を会社として支援する」のがありかなーという発見にもなりました。

Aさんのコメント

なるほど!ハードルがぐんと下がりました!転職にこだわってしまうと、相手方が「人は良いと思うんだけど、今は採用のタイミングじゃない/自分には採用権限はない」となることも多そうで(だからこそ、人材募集をしている先に自分をぶつけにいくのが本来の転職活動なのですが)、リファレンスならもっと人が増えそうです。今もお客様や協業パートナー様からの紹介/リピートでもらう仕事の方が多いぐらいなので、リファレンスしてくれる人数なら多分困ることはなさそうです。
会社にも協力してもらいながら、実名でのプロモーション活動等していこうかなと思いました。リファレンスがほしいと思っている人たちはうちの社内にもいそうです。もちろん、この方法の場合は最初から転職目的にはできないですけど(笑)

Aさんのコメント

ここまで見えたら、少しずつ進めていくことができそうだ。もともとすぐに転職をしなくてもいいわけだから。

・機会が増える準備を日々の仕事を通じて行っておく
・年収維持&仕事の頭打ちを避ける仕事がみつかったら、転職を検討

ができるのでは!

と、現段階でのやりとりはここまでになっている。

この人と話してみたい人は連絡ください!

テキストで話すとかはOKとのことでした。興味ある方はこちらのフォームからどうぞ!

Aさんの感想

ひとりで悶々と考えるよりも、壁打ちができたほうがスーッと思考が進んで行くものですね!柴田さんと文通できて、本当に良かったです!(こんなにいい問いを投げてもらえるのに無償で大丈夫なのかと途中心配していました。笑)
自分の市場価値を伝えるための媒体となる転職エージェントや転職サイトはもちろんあるものの、こう言う方法だとどうしても「わかりやすい価値」がある人が有利になってしまうと思います。でも人には「わかりにくい価値」も存在していて、この「わかりにくい価値」を理解してリファレンスしてくれる知り合いを増やすと言うのは、なんとも人に優しい発想だなと思いました。
40代になると、昔は誰もが持っていた「若さ」というわかりやすい価値は目減りする一方で、一人ひとりの経験や価値が細分化されて多様性いっぱいなのでしょうね。だから、わかりやすい価値を持っていないと、自分の価値を職務経歴書だけでは伝え辛くなって焦っちゃうのだと思いました。(たとえ本当は価値があったとしても)
なのでこれからは「わかりやすい価値」以外に「わかりにくい価値」があることを認識して、それを周りに伝えていく動きを続けていこうと思いました。焦らずに!

ちなみにやりとりの面白いところは以下です!
・完全にある個人の事例なのに、匿名化をしたら、かなり他の人にも参考になる視点が出てくる
・即興的にやりとりをしているので、自分も想定してない答えがみつかる(今回だと、リファレンスの部分は着地が見えてなかったところ)

なぜこんなことをしているのか?それは以下の図が理由です。

公開することで、また誰かの応募があったりして、それが誰かの役に立てば、誰も損をしないループです。


今回は以上です。興味がある方はご連絡お待ちしております。









誰かが書いてたけど、サポートしてもらったらそのお金をだれか別の人のサポートに回すと書いていて、それいいなとおもったのでやります!