塩母
僕の母は父を殺そうとしている。
腎臓病で。
僕は知っている、なぜ母が父の弁当箱に直接ご飯を詰めないでおにぎりにしてから詰めるのかを、
答えは塩むすびという名目で塩を投与することができるからだ。
ちなみにそのおにぎりにする為の米も塩を入れて炊いてある。我が母の抜かりない殺意に恐怖すら通り越しむしろ尊敬の念すら覚える
そこまでして殺したいくらいならいっそのこと離婚でもしてしまえばいいと思うのだ。
僕ももう高校生二年生になったし、弟も一つ違いだからこの春高校生になったから最悪バイトでもして生活していくことはできるのだ。
母も母で、たまにちょっとしたイラストを描いて挿絵としてネット上で売ったり、週に2日郵便局でバイトをしているので収入がない訳では無い
いつも家事も文句を言わずにこなす母が何故そこまでして父にだけ殺意を向けるのか…
休日の晩御飯、例の如く父の味噌汁だけ味付けが濃くて父が「なぁ慎也、しょっぱいよなぁ?」と聞いてきても「え、そんなことないんじゃない?」と返さなければならない。あくまで普通に、
父さんは母さんの隣にいて気付いてないけど父さんがしょっぱいよなぁ?と聞く時の母さんの目は稲妻が走ったかのようにギラっと光る。
もし、もしも、仮に僕がちょっとでも父さんに「うーん、そう言われてみれば…」なんて賛成しようもんならその稲妻のような10万ボルトの視線がビームを放ち僕を射殺すだろう
そして「あらやだっ真ちゃんのお味噌汁、爆発しちゃったわぁ、もう味なんて話じゃぁないわねぇ」とでも言うかな。
ふざけるな、そんなことあってたまるか!味噌汁は爆発しないだろ!
それが洒落にならないのが僕の母なのである
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