米:倫理観のない話です。ご注意ください。

近未来、繭と呼ばれる量産型少女がいた。
それはスーパーリアルラブドールとして発売され瞬く間に富豪の間で大ヒット商品となった。
それは蚕のように白く美しい、人間の為だけに家畜化されており1人では生きていくことが出来ない、また目、口、鼻などの人間と同じパーツはついているものの装飾で、それは食べる、嗅ぐことが出来ない。食べることが出来ないから、もちろん排泄もしないが生殖機能は備わっており、交尾をするためだけに生まれてくる。
性器は最初から濡れており、生まれた瞬間から使えるようになっている。
繭の体内の30パーセントの水分はそこに集まっている
寿命は持って3日半
声も出ないので女を買うより静かでいいと趣味の悪い富豪の間で評判になった
繭は最初の販売時は大きさ100cm程の卵として売っており、卵を50℃のお湯に1時間つけておくだけで簡単に孵化する。
バスタブが最適だろう。
価格は200万円と高いが1度手に入れれば半永久的に増やし続けられるので全財産を賭すつもりで手に入れブリーダーになりたがる庶民も多い
死んだ繭はしばらく放って置くと徐々に水分が抜けてゆき3日程でカラカラの死骸になり燃えるゴミに分別される。灰のように軽くなるという。
そもそもが交尾をするだけのために生まれてくるから体の作りももろい。
骨は交尾に必要な最低限度の強度しかないので叩いたり抑えたりすると簡単に砕ける。
髪の毛も白く毛はカサカサしていてプラスチックの作り物の人形のようだ
瞳の色は薄いグレーでほとんど見えていないため耳と触感で物を探るしかない
富豪の性欲処理のためだけに生まれてきて相手のDNAを取り込むことなく精子の構造のみを利用し子孫を産み遺して死んでゆく

繭が普及し始めてから少子化も進んだ、
どんな男もたかが性欲処理のためだけに知らないブスと誤って子供を作ってしまうリスクを背負うくらいなら自分の好きにできる繭との交尾を選ぶだろう
そんな影響もあってか風俗も廃り、身体を売る仕事もあまり流行らなくなった。
少なくとも風俗店に「繭コース」という繭のように調教された生身の人間が奴隷のように扱われる残虐なコースも非人道的だなんだと言われないくらいには人間同士での性交もすたっている
そのため、世界中で売春目的に誘拐された少女(少年もまた被害者)達はまず薬に漬けられ髪の色を抜かれ肌も白くするため漂白剤に漬けられ、目を焼かれ、本物の繭そっくりに仕上げられた。
ホテル街や風俗街の路地裏には茶ばんでカサカサになってしまった繭の死骸が山のように積み重なっているという。

繭のモデルになった子は繭の開発者の実の娘である。
父は繭を開発するに当たって顔の美しい儚げな女性を孕ませ子を造った
それからその女性の子宮から卵子を取り出し次々と禁忌といわれる遺伝子実験を行った。不幸な事に父親は遺伝子研究、資金の工面、隠蔽工作、人心掌握、あらゆる面において天才というに相応しい頭脳を持つ男だった。
長い年月を掛け繭が完全に完成した時には既に王都に特許も申請、取得しており世界で唯一の繭製造権を手にした。
売り出し当初は1体1000万だったが10年経った今の世の中には裏ルートから入手した格安の繭や不正に増産したニセモノの繭などが横行しており
もはや使い捨ての繭に1000万円という大金を積む富豪もいなくなってきた。

そんなことから徐々に繭の市場価値は下がっていき、元値の5分の1の200万にまで値を落とすこととなった。
もはや闇ルートからの密売が主流となった。これに激怒した開発者は繭の権限をどうやって取り戻すかと考えた。
単純な答えを思い付く、
王室に繭を流し、裏を取り弱みを握って擦り寄ればいいのだ。
正規で買ってもらわなくてもいい、そもそも王宮の経理は憲法で1円単位で国民に知らされるよう決まっているためそれはできない。
だから一つだけでも宮廷内に卵を置いてくれば、あとは日々のお堅い任務続きで欲求不満であろう憲兵がこっそりと回収し、繭は王宮に蔓延するだろう。
時を見計らいその弱みを握り、強引でも王宮に正規の繭を認めさせ、非正規の繭を厳重に取り締まるのだ。
もともと繭は性的な目的の為に販売を許されているのではなく、あくまで医学的な研究の為、限られた学者にだけ流して弱みを握り利用するための資材だったのだ。
馬鹿の性欲処理の為に生涯をかけて人の禁忌を犯し遺伝子研究をしてきたのではない。
繭の最期はなんとも酷い。

受精すると二時間ほどで精子から遺伝子情報や構造を胎内に取り込み始める為出産(?)に向けての栄養剤を注射してやる、三時間ほどで母体の持つ成分を胚に移し始め、その後五時間ほどで母体は急速に劣化を始め繭のようにうずくまった態勢と成る。全身の肉が一つにくっついてかたまり、表面から水分が胎内へ移動する為繭の状態になった表面は灰のように乾き軽くなり無機物化していく。
その状態で20時間ほどするとうずくまったヒトの形の繭の卵が完成する。
その状態の体温は15〜25度で50度の湯で直接温めることによりその水分を体液へと変換し孵化する。
つまりはフリーズドライのようなものなのだ。

正しい道徳教育を受けたものであればたとえ何かの間違いで繭を手に入れて孵化させてしまったとしてもそこで思い留まるだろう。

博士はインタビューでこう答えた。

「幾度とない実験を繰り返し、初めて完全といえる繭を作り上げた時、私はこれまで向き合ってきた複雑すぎる生命の神秘を、娘を、今まで誰も成し遂げる事の無かった事を成し遂げてしまった興奮と疲れ魔羅で貫いた。その時私は気付いたのだ。私が作っていたものは新しい命などでは当然なく、命の真似事によって人類を終わらせるための害虫だったのだと。遺伝子組み換えで人を作っていたと思っていたのに完成したのは蚕だったのだ。私が大きな欲と才能をもって生まれてしまったが為に犯した世界の禁忌の代償に人々の虚無につけ込み、人類を滅ぼす為の、美しく、儚く、意思を持たない、使い手によってだけ害を為す害虫を作り上げてしまったのだと気付いた。」

「5回目の孵化に成功した時サンプルを残して卵の状態の中身を割ってのぞいてみた事がある
中身は食パンのような粗い骨格らしきものとそれにまとわりつくボソボソに詰まった肉であった。密度は発泡スチロール程度でスプーンで解せそうな硬さであった。隙間の空き具合と乾燥度合いからしてフリーズドライの要領で成分を凝縮して水分と熱エネルギーによって活動を始める細胞なのだろう。
色は鈍色にくすんでおり繭の美しくも不健康そうな皮膚の内側に詰まっているものとして納得の色だった。
骨を割ってみるとなるほど流石に神経や重要な血管は大まかに人間と同じようで血に代わる体液やなんやが滲み出てきた。繭の状態でも最低限度の生命活動の維持には呼吸と体液の循環が必要らしい。外観に目立った呼吸口とみられる穴が見当たらないことを踏まえるとおそらくこの状態では皮膚呼吸だろう」


続きはもし思いついたら書きます。

ちなみにあなたはどんな続きがあると思いますか?書いてください。

気持ち悪い話でごめんなさいね

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