最近読んだ少女漫画

太陽が見ている(かもしれないから)/いくえみ綾

潔く柔くのいくえみさんの最新作(?)で、つい先日完結した本。中3で仲良くなった主人公の岬と楡は高校に上がると同時にフラットハウスで2人で住み始める。友達として。そこに楡と小さい頃仲良かった日帆も現れて、3人の関係性が複雑にぐるぐる…という。ん?こう書くとありきたりな三角関係みたいだ。主人公の岬の、明るくてめんどくさくて他人に心を開いてなくて楡に一人で依存していて、他人に何かを押し付けたり求めたりできないところに感情移入しすぎて読む度に苦しくなっていた。誰とでもうまくやっていけるんだけど本当に大事に思ったりもしているんだけどやっぱり基本は1人で、楡だけが特別なんだよなあ…いくえみさんの作中に出てくる台詞や心情は文字数が多くてなんだか余裕がなくて苦しいので、そこがあーーわかるなあと思ってしまう。嫌なところも残酷なところもめんどくさいところもそのまま淡々と感情的に(どっちだ)描く、けど最後には現実的に救ってくれる。

22時のバカンス/市川春子

宝石の國の市川春子さんの短編集。すごく語弊を恐れず言うと入ってる三つの話は近親相姦と百合とBL(それぞれの言葉の定義について考えるとそう言っていいのかわからないのでとりあえず読んだ私はざっくりそう捉えましたと言う話)なんだけど、それぞれちょっと異形なかたちをした人と人の話。市川春子さんの作品自体すごく目に見えて生々しくて危険性のある、うーんなんだろう性欲とか、男臭さみたいなものと離れたところにあって、イラストの綺麗さから見てもそうなんだけど…登場人物はみんな綺麗だし…だけどもしかしたらゾッとさせるかもしれないような異形を、綺麗でなめらかなタッチで描いている。その異形の美しさも。最後の話がすごく好きです。月から来た王子と地球の天才少年の話。

失恋ショコラティエ/水城せとな

水城せとなさんはゴリゴリの同性愛を描いた窮鼠シリーズを初めて読んで心情の言語化がうまいなと思って、それからあああのドラマ化されていた失恋ショコラティエはこの人だったんだなって読み始めました。今や人妻になった憧れの先輩に10年近く懸想を続けるイケメンショコラティエの爽太を中心に、その周りの人たちの恋愛も描いております。その頃の自分がしていた恋愛とも重なって、本当にあ〜わかるよ爽太〜!って、自傷のように繰り返し読んでいました。片想いのフィクション性、不安とかしんどさとか、あと仕事に対する意識みたいなものも頻繁に描かれていて、最初にも言ったけど水城せとなさんは本当に心情の言語化がうまい…あーっそうそうそういうことにしんどくて嬉しくて悩んだりしているのよ!そう!よく言った!となる。

STAY/西炯子

西炯子さんの本はほぼほぼ全部持っているくらいに一番好きな少女漫画家さんだと思う。絵が上手い。漫画も上手い。というかエッセイみたいなものを読んでもわかるが西炯子さん自身が雑でロマンティストで頭が良くてめんどくさくてセンスの塊なのがたまらない。一巻は九州の田舎にある高校の演劇部の5人の恋愛やら成長やらなんやらを描いている、短編集になるのか?一 二巻はそのうちの一人の視点からまた違う人間関係を描いていて、三、四巻は一巻で描いた一人の続編、その先を描いている。視点は彼女ではなく彼女の恋人…なのか…友人なのか…わからないけど進学校に通う男の子である。この男の子がまたいい。ラサールと開成を混ぜているんだろうと思う。「田舎にある男子進学校」の描写がリアルすぎて流石だ。10代の男女が何を考えているのかなんでこんなに覚えているんだ西さん…「田舎にある女子進学校」で育ったので、高校時代などを思い出して死にそうになった。絵が可愛い。最後は絶対に泣く。

あげくの果てのカノン/米代恭

きっかけは忘れたけれど今すぐ読まなくてはという焦燥に駆られてAmazonプライムで頼んだ翌日一気に読んだ記憶がある。メンヘラというかヤンデレ気質のカノンと世界を救うヒーローである憧れの先輩の不倫、なんだろうけど世界軸がSF。人類は突如出現した「ゼリー」から絶えず攻撃されながら暮らしている、そのゼリーから人類を守るヒーローが先輩だ。メンヘラとかヤンデレの類の女の子を見るとわかるなあとなる反面スッと心が冷める。そうして素直に他人に欲望を押し付けるのは絶対、自分にはできないことだからなのかもしれない。羨ましさもあるんだろう。不倫なんだけど純愛で、あーもう本当先輩はクソ男なんだけど、まあ世の中の男誰しも見ようによってはクソ男だし、寂しさとか葛藤とかまで描かれたらまったくもうとしか思えない。恋愛感情自体、非現実的だし、いろんな人を傷つけて特定の世界を崩壊させる、ことを考えると別に世界軸もSFじゃないのかなとも思う。変化を恐れて絶対的なものを求めて、絶対的に自分を愛してくれるカノンに惹かれる先輩の気持ちもわかるんだよだけど絶えず変化する現実世界で生きている以上不変なんてフィクションを追い求めるより変化の可能性を受け入れることが大事だったんじゃないかなと今は思う…




というわけで最近読んだ少女漫画を5作?感想と紹介みたいに勢いのまま書いてみました。何故か百合とBLと不倫ばかり読んでいる私は、どんな形であっても年頃の自由な男女が近くにいて恋愛関係になるのは当たり前すぎるので、普通に考えたらそうならないよという状況でそれでもこの人と、というところに「恋愛だーーーーーー!!!!これこそ理屈理性ぶっ飛ばしてどうにもならない恋愛感情だーーーーーー!!!!」となるのかもしれない。


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