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「今日ここを通ってよかったぁ」

毎月毎月ウインドウの書き替えをさせてもらっているクライアントが何件かあります。

そのうちの一件、今日はパティスリーのウインドウを書き替えた。

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毎月毎月消して拭いてを繰り返す事
約4年半。
同じ柄は一度も書いたことはありません。

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お店の顔となるウインドウ。
季節を感じさせる模様を描いています。

ここは小学校が近くにあることと、商店街になっているので
とにかくいろんな人が通ります。

小学生にはよく話かけられるんですよね。
「え〜これ、手で書いてるの〜?」
「私も書いてみたい!」
「うちにもポスカある!ぼくも絵を描くの大好き!」

などなど。
お母さんと一緒に見学されたこともありました。

それとよく言われるのが、
「これってシールだと思ってました!書いていたんですね!」
です。

これを言われた時に
「あまりきっちり綺麗に描きすぎると、手描き感が出ないんだなって
学びました。
シールと言われてしまうと、ちょっとがっかりしたことを覚えています。

その時、完璧ではなくても良いんだな、と学びました。
(手を抜くという意味ではありません)

今日もウィンドウを描くこと3時間くらいでしょうか。
通りを歩いているかたに、
「いつもいつもここの前を通るのを楽しみにしているんですよ。
毎月変わっていますよね?ここの窓ガラス。
すごいなぁって。人の目を楽しませるってすごく良いなぁと。
心が豊かになります。
書いているところを見れるとは思わなかったから、
今日はここを通って良かった!」

いやぁ〜〜もう、感激しました。
知り合いでもないかたにそうおっしゃていただけて。
本当にこの仕事してきて良かったと心から感じました。

ここのウィンドウは、日中でも日陰でとても冬は寒いんです。
ガラスの枚数も多くて、時間もかかりますし
夏なんてずっと外にいたら危険なくらい暑くて
本当にここの仕事は自然との戦い😂なんです。

けれども、今日いただいたこのひとことで
本当に自分が目指していた
「自分の手で書いたもので誰かに喜んでもらう」
に、近づいてきたなと感じました。

その後も、今日は何人かのかたに
「いつも毎月変わるのを楽しみにいています」
とお声かけていただきました。

そう、どんな模様を描くかよりも
変化させてお客様に気持ちをあげてもらうこと

大切なんです。

私はそれを現場で学んできました。

どんなイラストを描くか、を目的とすると
絵を勉強してきた人ではないと
なかなか描けないよね〜という発想になってしまいます。

でも大切なのは絵ではなくて
「変化させること」

だから、消すことが前提なんです。
消さないといけないから、精巧な絵を描く必要はない。
もちろん技を磨くことは大事だけれど
絵が上手くなってから描きます、ではないんです。

まず変化させる。
だから何回も何回も描くことになる。
描いているうちに、もっとこう描けば良かった、
もっとこんな工夫をすれば良かったが見えてくる。

沢山かくことが大切。
消すことが大切。

こちらのお店で、相当窓ガラスを磨いてきた(笑)

磨いて磨いて、絵を専門に勉強したわけでもなかった自分が
「今日ここを通って良かった」と言ってもらえた。

奇跡ですね(笑)
全て三菱鉛筆さんのポスカで描いています。


いま私にできることは
仕事の相棒であるポスカを使って
人の気持ちを明るくすることです。

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