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なんで黒板なの?

どんな仕事しているの?と、とにかく聞かれた時に
サービス業?というべきか、アーティストというべきなのか
迷っていた時があった。

「黒板描いています」と答えると
「黒板?こ・く・ば・ん?」

そんな職業あるの?と答える度に言われた。

そもそも黒板の仕事で起業するとは
これっぽちも考えていなかったから。

当時の文部省認定レタリング検定資格を取得しました。
文字を書くことが大好きだったので、専門知識など持ち得ていなかった
のですが、この資格は取りたいなと10代の頃から漠然と考えていました。

資格を取ったからと言って、そんな専門の仕事につけるわけもなく
ただただ月日は流れて途中、篆刻とかカリグラフィーの
おけいこにも通ったりしていました。

その後、どうしてもスターバックスで働いてみたくて
パートナーとして勤務していた時に、黒板を書く順番が回ってきて
たまたま描いた黒板を、ものすごく店長に褒められ
その後何度も黒板を書く機会に恵まれた。

日本にスタバが上陸してまだ店舗も少なかった頃
黒板はチョークで描いていました。
外資系の先端を行く企業でしたが、アナログである
黒板をとても大切にしているのが素晴らしいなと
感じていました。

黒板はすぐに消すことができます。
当たり前だけど。
タイムリーにその時に売りたいもの、
例えば飲食店は天候に売り上げが左右されますが
雨が降ってきたら、売れるもの、売りたいものなども
変わります。

商品を臨機応変に書き換えるようにと
よく言われました。
それは本当に当たり前なんだろうけれど
すぐに発信できる黒板はすごいな、と。
そこに黒板を使うスタバもすごいな、と
働いていてよく感じていました。

お客様の反応も、黒板に合わせてほんとに
変わりましたし、購買意欲を掻き立ててくれる力
ポテンシャル高いなって勉強になりました。

お客様にも「このお店の黒板上手ね」なーんてお褒めいただくこと
もあったりして、黒板描くのがすごく楽しかったんですよね。

あまり大人になると褒められることも少なくて。
社交辞令だったかもしれませんが、素直に嬉しかったですね。

その当時飲食店を経営している知人に
「お店オープンするので、メニュー黒板を描いてもらえないかな」と
頼まれました。

素人ながら描かせていただき、お店に置くとオーナーから
「ホームページやチラシやらお金かけたけれど、お客様は黒板をみて
来店下さるし、メニューだって黒板に書いてあるものが
やっぱり売れてる。お店のスタッフが黒板描けるといいんだけど
日々の業務でなかなか黒板まで手がまわらない。
けれど、飲食店でこういう黒板があったらすごく助かるし
こういう仕事してくれる人がいたら、絶対喜ばれるんじゃないかな?」

と、言われました。
そうかなぁ〜なんてその時は感じましたけど、
なにより、自分の手で描いたもので人に喜ばれるって嬉しいなぁ〜と。

その後も、コンサルのお仕事をしていた方から
「黒板面白いね」と言っていただき、最初は本当にお試しみたいに
とにかく夢中で黒板を描いていました。
飲食店さん、美容室さん、整体院さん、ネイルサロン。

ただ、自分の場合は「文字」から入っているので
イラストは全く専門的な勉強をしておらず、
飲食店さんで「パスタのイラスト描いてもらえますか?」
とか「成人式の着付けのイラストを描いてもらえますか?」と
美容室のかたにオーダーが入った時には
さすがに困ってしまいました😂

けれど「描けません」とは言えないので、
デフォルメしてなんとか形にしました。

「黒板描いています」というと、必ず「美大出身ですか?」と
聞かれますが、全く専門の勉強はしていません。

けれども、黒板一枚で売り上げも変わるし
客数もあがることを、現場で描いてきて実証できているので
自分が絵を専門に勉強していないから、これは自信持って
言えるんですけど、黒板に関していえば
「絵の上手下手はそれほど関係ない」ですね。

だって、消して書き直しするんですもの。
タイムリーに発信するためのツールですから。
消すことが前提です。

人の手で書いたものは、温度が伝わるって思っています。
綺麗なデザインを作れるスキルと
稼げるデザインスキルとは別物なんじゃないかなって
ことでしょうか。

もしかしたら、殴り書きでかいたものでも、
「急いで知らせたかったから殴り書きですみません」
なんて一言があれば買いたくなったりするかもしれませんし。

だから、黒板ってすごく面白いツールです。

何度も書き直しできるから、
ある意味「この言葉は響かなかったのかな〜、次はこんなふうに書こう」
と、どんどん発信する言葉を改良できたり。

黒板という限られたスペースの中に、伝えたい言葉を短くまとめて
書くわけですから。
発信力を鍛えるにも、もってこいです。

なんで、黒板?
発信ツールとしてはアナログだけど、ポテンシャル高いから。
お金かけないと、時間かけないと、イラストの技術がない、
と感じている人にもっと届けていきたいです。


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