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ART THINKING[アート思考とイノベーション]

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「正解の見えない時代」「AIが多くの仕事を担う時代」ライフスタイルやビジネスにアート×デザイン思考を取り入れることが注目を浴びています。ロジカル思考>デザイン思考>アート思考を横… もっと読む
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記事一覧

【それは「思いつき」それとも「アイデア」?】

「思いつき」 検証されていない実現可能性の乏しい妄想に近い発想。 「アイデア」 文脈と目的があり実現可能性を伴った、ユニークな発想。 と仮に定義してみましょう。 新規事業のアイデアを生み出す上でこのバランスがむずかしいところです。 「アイデア」は実現可能性が高いだけに既に誰かが行っている可能性が高いと言えます。みんなが良いアイデアだね!というものはだれかが、どこかで良いアイデアと思っているため、すでに実行されている可能性が高いものです。 一方、直感的な妄想にも似た「思い

【AIの著作権問題、AIが生み出す世界は「表現」?「アイデア」?それとも、、、】

文化庁は「著作物」を"思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの"と定義しています。   一方でアイディア (作風・画風) に当たる表現は著作物に該当せず、著作権法では保護されません。つまり、○○風というのは著作権侵害とはしない。 なのでAIが描いた画像や物語はアイデアに当たるので、〇〇風にとかのプロンプトから生成された画像は著作権侵害には該当しないというのが文化庁の見解です。 また、AIが学習するためにWeb上で収集してきた膨大

【AIに踊らされて陥る罠】

メタバースからweb3、その次が生成AI、、世のおっさん達はついて行けなくなっています。 決裁権のある経営陣がどんどん理解不能になるというのは困りモノですがせめて興味は持って下さい。無関心は良くないと思います。好奇心があればけっこうおっさんでも楽しめますよ。 57才になりましたが、その辺使ってけっこう遊んでます。 ちなみに、タイトルの画像はBingのイメージクリエーターに”人工知能に踊らされて陥る罠 日本の高齢のサラリーマン”とプロンプトを入力して生成された画像です。 ビ

「弁天舎ブックフェア」

志茂浩和さんの「弁天舎ブックフェア」に行ってきました。TikTokやyoutubeで話題となり若い子達が殺到してました。 生成AIが作った表紙にタイトルをつけた架空の本<Fake Book>の展示と謎の弁天。 架空の本<Fake Book>の出版社(これも架空)である「弁天舎」についてお話しをうかがいました。会場で販売していた「弁天舎2百年史」のパンフレットによれば江戸時代、好評を博したとされる天女絵。浮世絵として展開するために工房が設立された紙時代からの人と人工生命が共

【AIとZ世代と芸術、、】

この動画とてもわかりやすいです。 AIと対話する時、プログラミング以上に大切になってくるのがプロンプト(指示)の出し方。それは人に対しても同じことで、人に指示出せない人にはAIも使いこなせない。とはよく言われてます。 なんとなくZ世代とのコミュニケーション(指示の出し方)と似ている気がします。 「わかってるだろ、とか、自分で考えて」とか、漠然とした指示ではなかなか動かない。いつまでになんの目的でなぜ必要か、それにはどうやるのか?こういう方法でやってください。みたいなプロンプ

【メディア(情報流通)の変化と社会の変化】

インターネット以前の情報源は一元的で一方通行のTV、新聞、ラジオ等のメディアでした。ネット世代の情報源は個人です。つまり、中央集権情報から自律分散情報を選択する時代になりました。映像情報はスイッチをいれて一方的に流れる時代(受動的な情報)から、自ら発信したい情報を自由に発信し、欲しい情報を選択して観る時代に大きく変化しています。この情報の流通の変化は、社会構造に大きく影響しています。 第二次大戦の頃、中央集権の最たるものが大本営が発表するラジオの戦果です。国民の士気を鼓舞す

【「自分軸」と「仕事は辞めたい時に辞めて良い」】

就活が近くなってきた受講生達に刺さった言葉は 「自分軸」と「仕事は辞めたい時に辞めて良い」でした。 コンサル会社バリュークリエイト(株)が主催するイノベーションに関心を持った、クリエイターを目指す学生に特化した就活支援サービス「Mirai creators」に登壇してクリエイティブ・マネジメント(アート×デザイン思考)の講義をしてきました。 武蔵美、多摩美、女子美の美大生と慶應、成城、津田塾といった一般の大学生の混合グループはなんと女子ばかり! 質疑応答でたくさんの質問

【リスキリングの課題】

おかげさまで、リスキリングがバズワード化することで「クリエイティブ・マネジメント(アート×デザイン思考)」のDX人材育成の為のリスキリング社員研修依頼が多くなってきました。   ある企業の研修で受講者からこんな質問がありました、「デジタル人材育成の研修に来たんですが、デザイン思考とかアート思考って必要ですか?」とてもいい質問です。むしろ、必須だと言えます。 講義のはじめに受講者に仮想通貨をやっている人いますか? と聞くと3%程度の人しか体験していません。国民の5%から10

【六本木クロッシング2022展:往来オーライ!】

森美術館が3年に一度開催している日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会「六本木クロッシング展」に行ってきました。気になった作品をご紹介します。  玉山拓郎さんの「Something Black」  玉山さんはインタビューで、作品の持つ意味やメッセージ、思想が前提にあって作品を作るというより、まずは作品を作ってみる事で自分自身も鑑賞者に近い視点から作品について思考していると言っていました。自分がこの真っ赤な灯に包まれた空間から感じた事は、こんな内装のレストラン創っ

【AIの衝撃、、冷や汗が出た】

2040年に来ると言われていた「シンギュラリティ」が2025年頃に始まる?!話題の人工知能の創造性をチェックしてみたら大変なことに、、 シンギュラリティとは、AIが人間の能力を超える時点 や、それにより人間の生活に大きな変化が起こるという概念のことですが、2015年にコンピュータ囲碁プログラムAlphaGoがプロ棋士を破った頃は、AIというよりコンピューター(電子計算機)の賢い仕事というイメージでした。ところが、今話題になっているChatGPT(https://chat.op

【創造性と脳の働き】

近畿大学医学部の脳科学者生塩研一氏の著書「究極脳のつくりかた」を読みながら脳の創造性と機能について考えていました。 例えば、将来の報酬に関わる「やるき中枢」である前帯状皮質の報酬系の機能。動物実験では、ご褒美が近づくほど前帯状皮質の活動は活発になり、ランダムに報酬が与えられると活動が変化しなくなるという研究結果からもわかる様に、やるき中枢を活発化させるためには期待感だけではなく目的(具体的な報酬)が必要だと言うことです。 これは個人にとどまらず、企業経営でいうパーパスやビ

【呼吸する世界:アートとテクノロジーの拡散と収束】

アートの起源について考えてみましょう。岡本太郎さんが最高の芸術だといった縄文式土器や土偶には、自然と自分、生命と自分といった内発的な視点から生まれ出る抽象的な造形が多くみられます。それが弥生期に入ると大きく変化します。わかりやすいのは土偶です。人型の造形として縄文の土偶は人間なのか特定できないほど自由な造形が多く見られ、弥生の埴輪は見るからに兵士を具象化していて、宗教的な儀礼や財産、地位や権力を象徴するものに変わっていきます。自由奔放とも言える縄文時代から、農耕文化が入り中央

【NFTはアートに何をもたらしたのか?】

"モノなしに流通させてもいいよねということこそ、NFTが見せた可能性であり、アート×NFTの本質だと僕は思っています。"現代アーティストのプロダクション事業を行う「HARTi」の代表吉田勇也さんは以下の記事でこう語っていました。 また、”資産としてアートを買う人たちは、作品を家に置いたり飾ったりしないことがほとんど。現物を見ずに購入することも多く、オークションで落札したら、そのままアートは倉庫に直行です。”とも語っています。 つまり、NFTによって芸術作品自体の価値より投

【瀬戸内芸術祭2020】

四国生産性本部のお誘いで高松でアート×デザイン思考のセミナーに登壇した後、4年ぶりに瀬戸内芸術祭に来ました。 今回は豊島をレンタサイクルで弾丸ツアーでした。 遭難したか?と思えるような山の中に忽然と現れる風鈴の森。クリスチャン・ボルタンスキーの「ささやきの森」です。静寂を抜ける風が音となり、風を聴き風を見ることができます。 建築なのか作品なのか?棚田の中に突然現れる真っ白な柱が1本もないコンクリートのドーム型の建物「豊島美術館」。建築物自体が作品となり鑑賞者はその空間に