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苗場山麓で【2つの秘湯】を味わう、2泊3日の山旅

昨年の信越トレイルでは雷雨に見舞われた苗場山。定休日で入湯できなかった小赤沢の楽養館……ぼっち登山日和の苗場山の回をなにげなく観たら改めて訪れたくなりましてね。せっかくならばと、山頂を挟んでほぼ反対側にある赤湯・山口館にも足をのばすことにしました。

概要

Day 1:小赤沢まで移動、民宿(丸山荘)にて泊
Day 2:小赤沢から苗場山山頂を経て昌次新道で赤湯、山口館にて泊
Day 3:鷹ノ巣峠と林道経由で平標登山口に下山、バスで越後湯沢へ

YamaReco より

2023年7月下旬、今回は音ではなく写真を撮りながら歩きました。そんなわけで写真多め。コースタイムは山と高原地図の標準に近かったです。あと、フジロック開催期間は色々と要注意!!!

Day 1

初日は公共交通機関を乗り継ぎ、小赤沢を目指します。帰路での複雑な乗継は時間も読めないので、最初に済ませてしまおうというわけです。

まずは新幹線で越後湯沢へ。バスで津南を目指したほうが乗継効率がいいのですが、今回はほくほく線で十日町、JR飯山線に乗り換えて津南に出ました。新幹線では味わえない旅情(鉄分)を補給するとしましょう。

※越後湯沢から津南(津南役場前)までバスの場合は、南越後観光バス「湯沢 ~ 清津峡 ~ 津南 ~ 森宮野原駅 線」の時刻表を参照ください。土地勘がないので、どの路線を見たらいいのか迷いますね……
http://www.minamiechigo.co.jp/right-muikamachi.html

ほくほく線・直江津行き
ほくほく線の車窓から

ほくほく線からJR線への乗継切符の買い方がわからなかったので(その存在があるのかも不明)十日町までの切符を買い、十日町でJR区間の切符を買いました。

JR飯山線・長野行き
飯山線の列車内
飯山線の車窓から
なんだチミは?
夏ですねえ

12:09 津南駅着。実は、津南の駅舎にも温泉(リバーサイド津南)があるのです!……が、14時からなんですよね。うまく計画すれば入湯できるかも知れません。

バスの時刻まで2時間ほどあるので、バス停周辺でランチをいただくとしましょう。「JR津南駅」と「津南バス停」は 1.5km ほど離れていますのでご注意くださいね。

津南役場からほど近い「たからや」さんで「大名かつ丼」をいただきました
津南バス停からすぐ、まちなかオープンスペース「だんだん」

バスを待つ間「だんだん」でトイレを借り、しばし休憩。冷房も効いて快適、観光案内のパンフレットも充実していて飽きません。数名の学生さんが勉学に励むなか、怪しいオヤジが場の空気を乱しますw

14:10、津南から見玉(みだま)行きのバスに乗ります。津南病院などを経て(遠回りをして)「津南役場前」も通過するので、そちらで乗っていただいた方が楽かも知れません。

※時刻表は、「津南 ~津南病院 ~ 津南役場 ~ 見玉 線」を参照。http://www.minamiechigo.co.jp/right-tsunan.html

さて、ここからが本題。見玉からは定期運行のバスがないので、「デマンドタクシー」に頼ります。利用前日の午後5時までに電話予約するという、難易度高めに感じる交通手段です(信越トレイル事務局の方に色々教えていただきました)。万一路線バスが遅れても、乗継を待っていてくださるので心配ありません。

↓ 秋山郷線乗合タクシー時刻表
https://www.town.tsunan.niigata.jp/uploaded/life/11207_41338_misc.pdf

信越トレイルのアクセスマップが、全体像を掴むのにとても便利です^^

そんなこんな、見玉からデマンドタクシーで小赤沢へ。特に決まったバス停はないので、宿泊先の丸山荘さんまで運行いただきました……が、運賃300円也。乗り合いタクシーとしても採算があうのか心配になる額です。“地方” が抱える問題といえましょう……そうそう、ドライバーさんが、「インスタとかやってますか?」とチラシをくださいましたよ。
https://www.instagram.com/okushinetsu_com/


チェックインの前に、翌日の山行に備えて水を補給。福原商店さんの軒下に「苗場の名水」が開放されているのです(とち餅大福を食べたかったのですが、残念ながら営業していませんでした)。

苗場の名水
昨年の信越トレイルでもお休みだったのです……嗚呼
小赤沢集落にある民宿のひとつ「丸山荘」

約1年ぶりの再訪となった丸山荘、ご主人も女将さんもお元気そうで何よりでした。チェックインして楽養館に行く旨伝えると、タオル入りのカゴを持たせてくださいます。手ぶらでオッケー、楽ちんです。宿の裏手から近道で楽養館まで徒歩5分くらいかな?

近道の途中にある謎の道祖神? 供えてある水入れの結露に優しさを感じます
google map に載っていない、小赤沢川にかかる橋
トンボ(アキアカネ?)
小赤沢温泉・楽養館

いいですか? 楽養館は【水曜定休】です。昨年の信越トレイルでは旅程の都合から立ち寄れず、1年越しで入湯が叶いました。

鉄サビというか、10円玉の匂いがします

一番風呂では湯膜ができていて、パリパリと膜を割って入るそうです。浴槽の底には、パリパリのかけらが溜まっていました。

2階の休憩所で、にんじんジュース

丸山荘にもどり、山菜を中心とした夕食をいただきます。お腹がはち切れそうになるほどに豪勢! 朝食はお弁当にしていただき、追加で昼食用のおにぎりをお願いしました。

Day 2

06:30 丸山荘を出発、まずは三合目の登山口を目指します。歩きたくない(時間を短縮したい)場合には、小赤沢集落から三合目までの「山タクシー」があるそうです。詳しくは民宿に訊ねてみてください。

ブナの森を歩くと「信越トレイル懐かしー!」って心持ちに
沢沿いは涼しいぞい
信越トレイルハイカーのための「数取器」、今回は押しません(笑)

8時頃、三合目登山口着。ここでトイレ休憩を済ませ、必要なら水場で水を補給します。さ、しばらく写真が続きますよ。

三合目 写真右奥に水場があります
40℃にせまる猛暑だが、森の中は日陰で歩きやすい
かわいいけど、名前わからず
サンカヨウ(山荷葉) 味はサクランボに似ているが、タネが多い
オニアザミ(鬼薊)に群れる
チングルマの綿毛
キンコウカ(金光花)
『天空の白 ナエバ』
「池塘」の読み方、ちと分からない
池塘とワタスゲ
ワタスゲの綿、すげぇ
夏らしさを少し取り戻した、天空の白ナエバ
池塘に生える、ミヤマホタルイ(深山蛍藺)
アカミノイヌツゲ(赤実の犬黄楊)の実
続『天空の白 ナエバ』
九合目までくれば、ほぼ平坦
いいわね
午前11時のゴゼンタチバナ(御前橘)
苗場山の高層湿原は広さ約700ha、東京ドーム約150個分!
オオシラビソ(大白檜曽)
2023年7月28日 苗場山(2,145m)2回目登頂(2022年は7月12日に登頂)

11時過ぎ、苗場山山頂。写真を撮りつつゆっくり登って休憩含め5時間弱かかりました。しばし長めの休憩、お弁当をいただきます。

丸山荘でこさえてもらった(朝食の)お弁当(内容は時々で変わる可能性があります)

日程に余裕があれば是非とも山頂ヒュッテで一泊、ひろい高層湿原を満喫するのがオススメです。午後の雷を心配せずに済みますしね……

山頂に咲くヤマブキショウマ(山吹升麻)
体裁をギリギリ保っていたコバイケイソウ(小梅蕙草) 山頂の花はほぼ終わっていました
もうちっと池塘
池塘推し


12:20、山頂を出発。昌次(しょうじ)新道にて赤湯・山口館を目指します。

昌次新道は地元二居集落の富澤元吉さんという方主導の下開かれたそうです。元吉さんは山口昌次の猟の親方であったそうで、この山系の地理に明るく赤湯でも”モトキチジィさん”と親しまれていた方でした。
赤湯を基点に開削を進め、完成に至ったのは昭和六年(1931年)。奇しくも満州事変の起こった年でもあります。その後元吉さんから名付けの承諾を受け昌次新道と名付けられたとの事です。

出典:赤湯温泉 山口館 ホームページ
ここをくだるのか
岩に黄色が映える
シモツケソウ(下野草)
君の名は? 花の中に雀がとまっているように見える……
マルバダケブキ(丸葉岳蕗)

14:40、フクベの平。遠くに雷鳴がきこえ小雨ぱらつくも、ブナの葉が雨よけになってくれるのでひとまず進みます。

フクベの平(七合目)は広く休憩適地、ビバークもしやすい

がしかし、雨は激しさを増し、ツェルトのポンチョでは防ぎきれなくなり、慌ててレインの上だけ着て保温。下は諦めました。靴もしっかり濡れました。一応は想定していたのですが、いやはや……

カエルたちが喜び勇んで出てきた

もはや写真を撮る余裕はありません。土砂降りのなか、山口館まで1時間半ほど歩いたでしょうか。稜線ではないので雷直撃の心配はありませんでしたが、側撃を避けるために、高い木にはできる限り近づかないようリスク回避。嗚呼、あと1時間早く動いていれば……昨年(2022年)の信越トレイルのアプローチでも雷雨にやられたのでした。

(六合半にある水場は豪雨で確認する余裕がありませんでした。ただ、苗場山山頂からは遠いし、赤湯を通過するなら赤湯で存分に補給できるし、出番はよほど困った時になるかと……)

鉄橋のあるサゴイ沢?は豪雨のためすでに濁流

昌次新道、道迷いの心配はないと思いますが、崩落しかけているところが3箇所ほどありました。祓川コースと比べて登山者も少ないでしょうから、登山経験が浅い場合は複数人で歩かれることをオススメします。携帯もほぼ圏外です。別ルートとしては、頂上から苗場山神社を経て、龍ノ峰、赤倉山とまわるのも良さそうです。ただし尾根続きになるので、雷の心配がある時は避けたほうが無難かも知れません。

小屋に近づくと、河原づたいに歩くことになります。

鉄橋から河原(清津川)におりて
ペンキを頼りに進みます 川が増水したら大変かも……
迷うことはありませんが、滑るので気をつけて
山口館、見えた!

↓ 赤湯温泉・山口館のホームページ

「index」とかならまだわかるのですが、なぜに「エノキ」? この謎を小屋番さんに訊ねましたが、理由はわかりませんでした。

エノキ?

それはともかく、誤解なきように言っておくと、山口館は旅館ではなく山小屋です。電気もありませんし、携帯も圏外です。でも部屋は何だか旅館っぽいのです。んでもって、ご飯は魚沼産コシヒカリだそうです!

秘湯めぐりをされている方には説明不要と思いますが、赤湯温泉・山口館へは登山を伴います。十分な装備と計画をもって訪ねてください。

いい感じなのです

お湯は、玉子湯、薬師湯、青湯の3種があります。車で行けない秘湯ですから、ここで多くを語るのはよしましょう。夕食は18時でした。

ランプの宿
この明かりで一晩を過ごします

Day 3

朝食時刻は、混雑状況によるでしょうが、わりと融通がきくようです。

8時頃、宿を発ちます。帰るだけなので、ゆっくり目の出発。まずは、携帯が通じる「見返りの松」へ!

見返りの松まで約40分、その道は平坦ではありません
清津川(きよつがわ)の清流は、そのまま飲めるとのこと
赤湯一号橋の先(山口館から近い)には、テントサイトがあります
赤湯一号橋から山口館側を眺める 左手に見えるのが「青湯」の囲い
赤湯一号橋からの眺め

赤湯一号橋を過ぎると、まもなく急登となります。

08:40、見返りの松。しばし、電話の折り返し、ツイートなどに励みました。未読メールは件数が多すぎたので無視、デジタル・デトックスの効果を実感します(笑)

ていうか、松はどこに?
赤湯温泉道

09:40、赤湯林道終点。つまり、ここから林道歩きですね。

10:10、小日橋。付近に駐車場があります。平坦な林道が続いたので油断していましたが、しばらくすると再び山道に。

途中、ドラゴンドラと登山道が交差します
藪っていて登山道が見えにくい可能性あり、リフト道を進まないよう注意

ちょうど「フジロック」の開催時期で、会場を横切ることになりました。登山道がロープで封鎖されていましたが、無視して通過します。

11:30頃、元橋バス停(もしくは平標登山口)着。この17号線(三国街道)手前の「火打峠」は、最後の最後で結構な急登になります。

※越後湯沢までのバス時刻表は下記URLの「湯沢 ~ 三俣 ~ 貝掛温泉 ~ 浅貝 ~ 西武クリスタル 線」を参照ください。
http://www.minamiechigo.co.jp/right-muikamachi.html

気持ちや体力や時間に余裕があれば早発ちして、平標登山口から越後湯沢方面にある「二居共同浴場 宿場の湯」や「貝掛温泉」まで足を運ぶのもいいですね!

装備

小屋泊のみでテントがないので、ビバーク用にツェルトと SOL / エスケープライトヴィヴィを持参。軽くしたいので火器は省きました。

保温着と着替えを兼ね、山と道 / Light Alpha Tights、axesquin / SHINOGI ハヲリモノ octa、OMM / Core Tee、予備のメリノ靴下と下着をドライサックに準備。雨に降られたので大変有効でした。

行動着は、モンベル / スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツをベースに、patagonia / SELF GUIDED HIKE SHIRT を羽織る毎度おなじみのパタン。下はメリノの下着に Trail Bum / Thru-hiker Zip Off Pants と、昨年の信越トレイル時と変わりません。靴は XeroShoes / メサトレイルで、濡れたとしても歩きながら乾かす作戦としました。

水は、1.5リットルの水袋と 500ml のペットボトル。保険で水袋をもうひとつ持ちましたが使いませんでした。浄水器携行。

山行日程:2023年7月27〜29日

※植物の名称が間違っている可能性があります。コメントにて教えていただけますと幸いです。

おまけ

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至福の温泉

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