見出し画像

飯山市(長野県)に移住 【その1】

今年はどんな年になるんだろうと抱負のひとつも考えているときに地震があり、その翌日には飛行機事故、今日も今日とて山手線で通り魔事件……“平安であるはずのお正月” ゆえに平安でないことに意識が向いてしまいますが、たまたまお正月に連続しただけのことで、日常の一コマであることに変わりはないのです。

ずっと、「土のある場所で暮らしたい」と思ってきました。きっとこれは「東京を離れたい」という気持ちも含んでいたんでしょうね。だって、毎日のように人身事故が起こる環境は、やはり異常ですよ。「異常な日常」に慣れて、無意識のうちに感覚を閉じてしまっている……仕事も大事だけど、もっと優先すべきことがあるんじゃないか、って。

録音・撮影の仕事から一歩離れてみる

「録音家」を名乗っている通り、東京ではオーケストラや室内楽の録音・撮影などを生業としていました。コンサートホールに(現実的な所要時間で)出向く必要があるので、東京を離れたらこれら仕事の大半を手放すことになります。郊外の庭付き物件を探してみたりもしましたが、【東京都心】と【土のある暮らし】との両立は難しい……そう、「何かを得るには何かを捨てなければならない」のですよねえ。

さらっと書いていますが、これは一大決心なのです。

だって、それなりに信用をいただいて少なからず必要とされ、かつ好きなことを仕事にできているというのに、わざわざ距離を置く人はそういないでしょう?

20年以上音の仕事をしてきて、ありがたいことに「西沢さんがいてくれないと困る」と言ってくださる方もいます。顔パス状態のコンサートホールも少なからずあり、国内の主要オーケストラはほぼ収録しています。師から(私なりに)受け継いだ録音手法や哲学を、後世に伝えなければという使命感もわずかながらあるわけです。

舞台裏で録音中の筆者

何より、音の仕事が嫌になったわけでもないのに、お世話になった方々から一方的に離れるような形になってしまう……葛藤し迷い続け決断できずにいました。でも、業界で有名になることより、メジャーな案件を手掛けることより、【暮らし】を大切にしたいと思うようになったんですよね。羨望の眼差しでみられる仕事をしたとしても、例えば日に2食がコンビニ弁当だったら、それ、なんか違うなって。(コンビニ弁当の安全基準やクオリティは素晴らしいのですがね)

……あ、でも、録音・撮影の仕事を断つわけではありません。地元周辺で需要があれば応えたいですし、旅費交通費がかかっても構わないと言ってくだされば出張もいたします。遠隔で完結できる案件は大歓迎です^^

信越トレイルを歩いて変化した意識

信越トレイルを計画していた頃、「歩いたら何かが変わるかも」という淡い期待があったんです。で、いざ 110km をスルーハイクしてみたけれど何も変わらない。モヤモヤと考えていることの答えが見つかっても良さそうなものだけど、びっくりするくらい変化がない。

……と思っていたのですが価値観はバッチリ影響を受けていたようで、今になって思えば、信越トレイルを歩いたことが移住を後押ししてくれたような気がします。

信越トレイルで通過した集落

里山の集落を通ると、「ああ、今の東京暮らしは生殺与奪を誰かに委ねすぎているな」なんて考えるわけですよ。とはいえ、移住したばかりで自給自足にはほど遠いのが現実なんですが、身近に田畑があるだけで心強いし、少し遠出すれば湧水を汲むこともできる。いざとなれば庭先で火を焚くことも不可能じゃない……この変化は、想像以上に大きいですね。

龍興寺清水(木島平村内山地区)

【その2】では、気になる「仕事」についてお話しします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?