結局、ヘッドホン & イヤホンは、どう選べばいいのか?
レコーディングやマスタリングを仕事にしていることもあって、「おすすめのヘッドホンは?」「どんなイヤホンを買ったらいいの?」と訊かれることが度々……そこで、【ヘッドホン&イヤホンの選び方】を簡単にまとめてみました。
1.良い音とは?
これは正解のない問いで、その定義は十人十色なのですが、私は「疲れないのが正義」だと思っています。“音質を聴く” のでなく “音楽を聴く” のが目的なら、「ストレスなく長時間楽しめる方がいいよね?」という方針です。
数分間の試聴で「良い音!」と感激して大枚はたいたものの、長時間聴き続けたら「ただ派手なだけだった……」と落胆した経験のある方は少なくないはず。ところが、数時間の試聴は現実的でなく、購入前に疲れるか否かを見極めるのはとても難しいわけです。
2.ヒトの聴覚の性質
では、「疲れる音」とはどんな音でしょうか――ヒトが聞き取れる音の周波数帯域は、20Hz 〜 20,000Hz というのが通説。とはいえ、すべての帯域が均一に聞こえるわけではなく、極端に低い音と高い音については感度が低く、話し声や生死に関わる情報を多く含む帯域については感度が高くなっています。下のリンク先のグラフを見ると、
だいたい 500Hz 〜 4000Hz あたりが、“よく聞こえる音” ということがわかります。裏を返せば、「感度の低い帯域がよく聞こえる」=「ヒトにとって不自然な現象」と言えます――つまり、重低音や超高域が誇張された音は、ヒトにとって “疲れる音” なのです(疲れる音は傾向として迫力ある派手な音になるので、映画館などでは非日常感を味わえます)。
3.フラットな音質?
「フラット 音質 イヤホン」で検索すると、実にたくさんの製品がヒットしますが、何をもって “フラット” と言えるのでしょうか。これは業界裏話として有名ですが、音質調整をするノウハウを持っていないがため、単に何もしていないことをフラットと称し、デメリットをメリットであるかのように喧伝している製品も見受けられます。
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