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砂漠の奇祭「バーニングマン」2020年オンライン開催とその哲学に学ぶ竹あかりのこれからについて

“砂漠の奇祭”とも呼ばれる、アメリカのネバダ州の人里離れたブラックロック砂漠で毎年1週間に渡り開催されるアートの祭典「バーニングマン」という祭りをご存知ですか? 

世界中から7万人以上もの人が参加するこの「バーニングマン」も4月20日、新型コロナウイルスによる被害の拡大を防ぐため、2020年はオンラインにて開催するということを発表しました。彼らはどういった信念をもってこの決断を下したのか?「バーニングマン」というコミュニティの持つ哲学から、危機への立ち向かい方について、そして竹あかりのこれからについて考えてみたいと思います。

「バーニングマン」との出逢い

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「バーニングマン」と竹あかりとの出会いは、私たちみんなの想火プロジェクトの実行委員長でもある、CHIKAKENの池田親生がInstagramから受け取ったメッセージから始まりました。

「2019年のバーニングマン、僕のキャンプサイトで竹あかりを装飾してくれないか?」

とあるキャンプサイトのプロデューサーから、看板とDJブースの装飾を頼まれたんだそうです。もちろん返事は「喜んで!」。そこから「バーニングマン」という強烈なコミュニティへと、池田親生はぐんぐん惹きこまれていったわけです。

アートの祭典「バーニングマン」って何?
ブラックロック・シティのもつ基本理念

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「バーニングマン」は、アメリカ各地ほか、世界中から集まった7万人を超える参加者たちが自分たちで街を作り上げ、新たに出会った隣人たちと共同生活を営み、そこでアートや音楽などで自分を表現しながら生き抜いていく。そして一週間後、すべてを無に還すという世界でも非常に有名なアートの祭典です。

「バーニングマン」の開催される1週間の間は、現金を持ち込むこともできず、水道や電気といったインフラも提供されず、携帯電話などの通信機器も通じない。参加者たち(バーナー:burner)は自己責任のもとで、食料や水、テントや車など自分の身を守るものを用意して参加。医療なども自治において供給され、主催側から提供されるのは仮説トイレと食料の鮮度を維持するための氷だけ。

このような究極の状況下で、ブラックロックの市民ともいえる参加者たちはそれぞれにキャンプを組み、新しい知人を作って交友を広げ、隣人たちと協力し合って課題を乗り越え、コミュニティを形成していく。その実験的な地域社会の様相がまるで都市のようであることから、この街を「ブラックロック・シティ」と呼んでいます。街の各所では参加者自身による大小多数のアート・インスタレーションが立ち並び、その会場の中心には街の象徴の人型の造形物「ザ・マン」がおかれ、最終日にこの「ザ・マン」を燃やし尽くすことから「バーニングマン」と名前がつけられました。

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そしてこの"社会"を成り立たせているのは、この10個の基本理念。これらを"実践"できないと、このブラックロック・シティでは生き延びることはできないのです。

・『どんな者をも受け入れる共同体である』(Radical Inclusion)
・『与えることを喜びとする』(Gifting)
・『商業主義とは決別する』(Decommodification)
・『他人の力をあてにしない』(Radical Self-reliance)
・『本来のあなたを表現する』(Radical Self-expression)
・『隣人と協力する』(Communal Effort)
・『法に従い、市民としての責任を果たす』(Civic Responsibility)
・『跡は何も残さない』(Leaving No Trace) 
・『積極的に社会に参加する』(Participation)
・『「いま」を全力で生きる』(Immediacy)

(Wikipedia「バーニングマン」より抜粋)

そんなこのブラックロック・シティで何より魅力的だったのは、そこに暮らす人々の世界平和を心から信じる姿勢、そしてそれを最後までとことん楽しみきるという覚悟。池田親生はそれを肌で体験し、「世界平和を成し遂げた後の世界はこういう世界なんだな」と感じたといいます。

さてそんな彼らは、2020年の新型コロナウイルスの危機に対し、一体どんな決断を、どんな意思を持って下したのでしょうか。彼らのCEOのメッセージを見てみたいと思います。

リアルだからこそ強烈な体験となる「バーニングマン」が
2020年バーチャルでの開催を決定

https://journal.burningman.org/2020/04/news/official-announcements/brc-2020-update/ (以下「バーニングマン」公式サイトより抜粋・翻訳)

We look forward to welcoming you to Virtual Black Rock City 2020. We’re not sure how it’s going to come out; it will likely be messy and awkward with mistakes. It will also likely be engaging, connective, and fun.
バーチャル・ブラックロック・シティ2020へのお越しを心よりお待ちしております。私たちもどうなるかはわかりません。間違いだらけで非常に煩雑でやっかいなものになるかもしれません。そしてそれと同時に、非常につながりの深い、魅力的で楽しいものとなるでしょう。
We know how to face uncertainty and how to adapt to the changing world around us. We will tackle this challenge the same way humans across the globe are doing right now — by drawing strength and inspiration from one another. We are all Burning Man.
私たちは、不確実なこの時代への立ち向かい方、そして変化していく世界に適応していく方法を知っています。私たちはまさに今、世界中の人々が取り組んでいるのと同じように、互いの強みとインスピレーションを引き出しあうことでこの危機へ立ち向かいたいと思っています。私たちはみんな、バーニングマンですから。

バーニングマンのCEO、マリアン・グッデルが4月10日に発表したコメントの一部です。ここに、彼らの魂(スピリット)が込められています。

・不確実性や起こりうる間違いすら受け入れ、繋がりに変え、それを楽しむ姿勢を持つ
・人と人の繋がりから、強みを引き出し、互いにインスピレーションを与え合いながら、変化していく世界へ立ち向かう

きっとこの彼らの姿勢、そしてその決断は、彼らの理念に裏付けられたものでしょう。
『どんな者(状況)をも受け入れる共同体である』こと。
『与えることを喜びとする』こと。
『隣人と協力する』こと。
『「いま」を全力で生きる』こと。

そんな彼らの理念が、このあまりにも強烈なリアル体験に支えられているであろう「バーニングマン」という祭典を、“中止”ではなく、新しい“バーチャル”という形へ生まれ変わらせ、きっとリアルを超えた圧倒的なリアリティを持って今年さらなる人々を魅了していくんだと思います。そしてそのリアリティが、さらにまたリアルへの募る想いになっていき、また来年、再来年にブラックロックシティへたくさんの人が訪れるのでしょう。

「バーニングマン」に、竹あかりは何を学べるか

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竹あかりがきっかけで出逢うことができた、この宇宙最狂のアートの祭典「バーニングマン」。この心惹かれる住民たちが創り出すブラックロック・シティ。そんな彼らのこの危機への立ち向かい方から、私たちみんなの想火プロジェクトは、そして竹あかりは、一体どんなことを学ぶことができるのかを考えています。

どちらも人と人をつなぐ祭り。実際に手と手を取り合い、ひとつのアートをを共に創り出すことで生まれる一体感と、圧倒的な美しさがあるもの。でもその”リアルな繋がりの魅力”をバーチャルに。その変化すら楽しみ、協力しあい、互いに高め合い、さらなる進化へ。人と人の繋がりは、どんな形をもってしてもきっと築くことができる。そんな風に、竹あかりを楽しむこともできるんじゃないか?そんな風に考えることで、竹あかりもまた次のステージへと進んでいける気がしました。

あまりにも不確実で、まさにいま変化を遂げつつあるこの時代。それをありのまま受け入れ、彼らのように【世界平和を心から信じ、最後まで楽しみきる覚悟】をもって、私たちも今を乗り越えていきたいと思うのでした。


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