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それでも僕らが「灯す」わけ 〜"灯す"の意味を考えてみたら見えてきた大切なこと〜

みなさんには "どうしても諦めたくないこと" ってありますか?理屈ではなく、体が本能的に選択する何かだったり、あきらめきれない何かだったり。東京オリンピックが延期され、新型コロナウイルスの影響でワークショップなどの開催もできなくなって、なお諦めきれなかった私たちみんなの想火プロジェクトにとってのそれは【みんなであかりを灯す】ということでした。そこにどんな意味があるんだろう? 私たちにとっての "灯す" という行為の持つ意味を、徹底的に考えてみたら、私たちにとって一番大切なものが見えてきました。


【灯】の成り立ち・由来

灯

"灯す"というこの漢字は、火+丁からなる会意兼形声文字。「燃え立つ炎」の象形である「火」に、くぎを頭上から見た象形で "安定する" の意味を持つ「丁」を合わせ、火が安定する器具、すなわち「ひともし(油を入れて火をつける道具)」を意味する「灯」という漢字となり、元・明時代以降に「燈」の字に代用される形で使われるようになりました。(参考:漢字・漢和・語源辞典

"灯す"という行為でよく使われる単語に「灯籠」「行灯」「提灯」がありますが、それぞれ
「灯籠」…主に神社、寺院や旧街道などに多く存在する屋外の固定式のものを指す。(仏具としての室内用の灯籠もある)
「行灯」…主に室内を照らす、持ち運ぶもの、室内に置くもの、壁に掛けるものなど。
「提灯」…伸縮可能な折りたたみ構造の、携行できる灯り。
など、生活の中でそれぞれに違う役割がありました。

いずれの形式であっても、「灯す」という行為の主体も、その目的も、そこに暮らす "人" の存在を感じずにはいられません。


"あかり"が伝えるメッセージ

人が人に何か想いを伝えようと思う時、手段は色々あると思います。手紙を書く、声を届ける。ではもっともシンプルで、かつより遠くまで伝えることができる究極のメッセージとその手法とは何でしょうか?それはきっと、"あかり"を通して伝える「ここにいるよ」のメッセージだと私は考えています。

例えば灯台のあかり。そこに港があることを伝えてくれます。
なぜあかりを使うのか。それはそれ(光)がもっとも遠くまでメッセージを届けてくれるから。
そして船は灯台のあかりに引き寄せられて港へたどり着きます。
それは、そこに人がいるから。

そして何より大切なのは、あかり(火)のあるところには、必ず人がいるということ。あかりを灯すという行為そのものが、より多くの人と人とを繋ぐメッセージを持っていると思うのです。

例えばこのコロナ禍の状況下においても、人々はあかりを通して大切な誰かへのメッセージを届けていました。世界中でムーブメントが起こった、コロナの最前線で戦い続ける医療従事者のみなさんに毎週木曜日に青のあかりで感謝の気持ちを伝える「#LightItBlue (#MakeItBlue)」も、あかり灯すことで人と人のこころをつなぐ取り組み。より多くの人に届けたい、より多くの人に気づいて欲しい。そんな時、人は無意識に、あかりを灯すことでメッセージを伝えるということを選んでいる気がします。

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#LightItBlueKumamoto のブルーの竹あかり


体験を通して共有できた想いはコミュニケーションツールになる

では、伝えたいメッセージは、どうやったらその人の心にまで届くのでしょうか?想いを言葉にするのはもしかしたら簡単なことです。そしてそれを頭で理解することも難しくはないかもしれません。でも、頭で理解したことを、心で感じることのないままに自分たちの行動に変化は起こるでしょうか?おそらく、ほとんどの場合はNO。ここに、私たちが「みんなで」にこだわるポイントがあります。

「とにかく大切にしていることは、想いを共有したい仲間とは、体験を共有すること。特に何か感動する体験を共有していると、コミュニケーションに言葉はいらない。『あのときのまつり、すごかったよな!』これだけで何より大切なことが伝わり、自分たちの行動がかわる。体験の共有って、ものすごいパワーを持ってる」

これはみんなの想火実行委員長の池田親生の言葉ですが、とにかく一人でも多く「参加」して欲しいと願う理由はまさにここにあります。感動という体験の共有。日本全国端から端まで47都道府県、全てを感動で繋ぎたい。


一番大切なものは「コミュニティ」そのもの
そしてそのコミュニティを作り上げるそれぞれのまちを灯す意思をもつリーダーたちがいるということ

「みんなであかりを灯す」
私たちが譲れなかったこの点について、あれやこれやと考えてきました。みんなの想火プロジェクトが伝えたかったこと。成し遂げたかったこと。全てはここに繋がっていたんだと思います。

「あかり」の存在は、人と人を繋ぐ、「ここにいるよ」のメッセージ。
「あかりを灯す」という行為は、そのまちを灯そうと、人と人を繋げようという意思のあるリーダーたち(サムライたち)がそのまちにいるんだということを伝える行為。
「みんなであかりを灯す」ことで、その人と人の繋がりはコミュニティを形成し、日本の未来を明るく照らしてくれる。

「本当に困った時に人を救うのは、社会のインフラだけではなく、人と人との繋がり、すなわち『コミュニティ』が必要だということを、熊本地震の時に強く感じた。しかもそのコミュニティは、自分のまちのコミュニティだけでは自分のまちは守れない。自分のまちを守りたいと思い、行動を起こすことができる人が、全国規模に横の繋がりを持っていないといけない。だからこのみんなの想火プロジェクトには、そんな『自分たちのまちは自分たちで灯す』意思のあるサムライ全国47人を中心にたくさんの人が集まっている。このみんなが2020年7月23日、世界中へ希望の火(あかり)を届けるというミッションを通して感動体験を共有することができたら、日本の未来がきっと変わる。」

「自分たちのまちは、自分たちで灯す」

2020年7月23日、東京オリンピックが開催されるはずだった日の前夜。世界中がまだ長いトンネルを抜けている最中であるこの状況において、歓迎の火(あかり)から希望の火(あかり)に変えて、日本中・世界中のみなさんに必ず届けたいと思います。


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