見出し画像

話せばわかる、と思っている人ほど話してもわからない問題について

話せばわかる。
いい言葉ですな。

でもこう、話せば分かるってのは

【そもそも、話せるかどうか問題が深刻】

って話でして。

基本的には、人は一定の条件が揃わないとそもそも会話にすらならないってことをまとめてみました。

えー、会話の特性をしっかり考察していれば至極当然の話なんですけども。

多くの人は、会話に対するあまりの便利さに、コミュニケーションに対する考察など一切行っておらず、盲目的に会話を信仰している例が結構あるよーということです。

で、困ったことに、そういう人ほど「話せばわかる」とかいい出しまして、周囲の人間や相手を混乱に陥れる状況になります。ぎゃー。

でもまあ、そういうもんです。


■話とは、お互いの協力が必要である

コレ、会話に限らず表現では常にそうなんですが。

話、というのは双方の協力があってはじめて成立します。

繰り返します。

【双方の協力があってはじめて成立します】

えー、たったこれだけのことなんですが。
これだけのことがほぼ認知されておりません。

多くの人が「話というのは自分が相手に伝えるものである」と誤解しております。

逆です。

会話というのは相手の話を受け入れるつもりがあるかどうかです。

これがないと、まったくもって会話でも何でもなく、単なる自己主張を繰り返すマシンになったり、そもそも話の完全無視が可能なんです。

その一番極端なスタイルが
「相手が話してきた時にぶん殴る」
など、話す余地を与えないスタイルでして。

これは話に対して応じないので、会話じゃないって思いますよな?

もう少し柔らかいパターンでは
「相手の話を一切無視する。いくら話されようと返事も応答もせず、話をまったく聞かずに、無視して行動する」
って感じになります。

これも話に応じていないので、会話じゃないですよな。

コレくらいまではみんなわかると思います。
でも、このパターンをもう少し進めてみるとですね。

「相手の話を一切受け入れず、自分の主張のみをひたすら繰り返して、相手が受け入れなければ許さない」

コレ、会話ですかね?

自己の一方的な主張の受け入れを要求し、相手の話は最初から無視し全却下することしか考えていない。
ってのは、相手の話に応じる気がないので、会話として成立してません。

単なる、強引で一方的な要求です。

相手には求めるけど、自分は一切応じる気はない。
一般的にはそれを【無視】とか【スルー】って言います。

実際、コレって最初の2例と、やってることはまったく変わってません。
ただ、手段が自己主張という方法に変わっただけです。

もう少し進めた例を出しましょう。

「自分を納得させてくれるなら譲歩するが、そうでない限りは絶対に受け入れるつもりなどない。自分は考えを変えるつもりはない」

これ、一見すると話を聞く気があるように思えますが。
実は一切聞く気はありません……ってことがめちゃくちゃ多いです。
おそろしいことに「これっぽっちも聞く気がない」のです。

なぜか。

納得というのはする気がない時に出来るものではないからです。

もともと自分がまるっきり賛成する気のない問題に対して、人は常に否定的に考えます。
そもそも全却下する気しかないんです。

それを覆すってことは、自分の人生観や思想、信条など、そういったものを覆すようなカルチャーショックがあったときだけです。

言うなれば。
阪神ファンに好きな野球チームを変更させるくらいの大事件が起こる必要があります。

……無理じゃね?_(:3」∠)_

「自分を納得させる話をしてくれたら理解する」って心構えには、結構な確率でそういう意味合いがあります。
そもそも納得って、したくなければ、事実と違ってようと完全に言い負かされようと、いつまでも納得しなくてもいいものなので。

そんな気分と胸先三寸で決められるものを引き合いに出す時点で、最初っから聞く気などなかったりします。
(特に対立意見のときや、相手に主張を聞かせたいと思ってるときはまず聞く気がない場合が多い)

やー、怖いっすね。
本人だけはそれで、相手の話を受け入れるつもりになってるとか多いので。

99:1くらいならまだいいんですが、実際は100:0でそういうことを言い出すことが多いです。

「本人が言い負かされることを望んでいてすら、無意識のうちにまるで話を聞くつもりがない」そういう場合は少なくないので。

なので、話をする前から能動的に受け入れる気のない場合、それは会話じゃなくて、単に要求の確認ぐらいしか出来ないと思ってていいです。

特にネットのやり取りでは、それすらもまともに出来ないことも少なくないので。

だってほら「自分が話すことは話すまでもなくそもそもわかるべきであって、話なんかしなくてもわかっていないのはお前が悪いせいだ」とか、よくそういうの流れてくるんですけども。

話し合いどころか自己の主張すらまとめらんない人に、そんなこと言われても知らんですよな……。

そういう、相手の話を聞くきどころか、自分がしっかり表現することすら放棄してる人も少なくないので。


■表現とは、単方向ではなく双方向である

まあそんな感じで。
表現っていうのは、基本的に「双方向」で成立します。

会話のあまりの便利さに、勘違いしている人が多いのですけども。
一方通行の応酬じゃないんですな。

よくある勘違いがコレ

Aは主張したい => 言葉 => Bが聞く
Aが聞く    <= 言葉 <= Bは主張したい
というのを互いに繰り返す

コレが会話だと思っている人がめちゃくちゃ多いです。
そんなの当たり前だろ何を言い出してるんだこの筆者、って思われかねないくらいに多いです。

実際には

AはBに伝える思いやり => 言葉 <= BがAを理解しようと努力
Aが理解しようと努力  => 言葉 <= BはAに伝える
思いやり
という、お互いの努力や思いやりによって成立する

という、双方向によるものです。

言葉ってのは単なる「そこそこアバウトな共通の取り決め」です。
なので「自分は言葉についてちゃんと話しているので、相手は100%それを読み取るべきだ」とするのはもともと間違いだったりします。

たとえば、美味いラーメンの味を100%伝えられると思いますか?
楽しかった友人との思い出は?
恋人との甘いひとときや、素晴らしい景色など、説明して伝えることが出来ると思いますか?
自分の悲しみや怒りを本当に理解してもらえるよう、言葉で伝えることが出来ると思いますでしょうか?

逆に、そういう話をされたところで、本当に相手が体験したのと同じ経験や想いを理解できますか?

……無理ですよな?_(:3」∠)_

そんなわけで、言葉ってのは案外伝えられないし、もともとあやふやなんです。

美味いって言われたって、なにがどれだけ美味いかわからないわけでして。
実際同じもの食べたって、本当に同じくらい美味いと思うかどうかだってわからないですし。

「青い」が、どれくらいの青かわからないし、なんならターコイズブルーくらいから紫くらいまで幅があります。

ましてや、他人の気持ちや、特に悲しみや怒り、悔しさなんて、わかりもしない他人に下手に同調されても、ムカつくだけってことまであります。

そんな感じで。
言葉って、日常的に伝達に使うから便利なだけであって、かなりあやふやですが、そこそこの共通性があるお約束です。
我々、この一定のお約束を使って、なんとか四苦八苦しつつ意思疎通をしてるってわけです。
(この文章が読めるのもそのおかげなので)

なので、お互いの共同作業として協力関係にある状態でしか、会話ってのは出来ません。

コレがなくなったとき、単に互いの主張による殴り合いが始まります。

ネットでよく見かける
「どんなにめちゃくちゃでも自分的に言い負かしさえすればよく、相手の話が正しいかどうかに関係なく、自分は負けてないことにすればいい」
ってアレです。

で、そういう人の大義名分はだいたい「話せばわかる」ってことです。
つまり、負けない私は正しいので従えって意味で使います_(:3」∠)_

世知辛いですね。

でもまあ、「会話ってのはお互いの協力によるもの」だってわかってる人は会話の成立条件を知ってるので、話してもわからない状況を理解してるのですな。

逆にいえば、片言の外国語だってジェスチャーだって、会話が成立するのはそのせいです。
海外の旅番組などで、ろくに話も通じないのに意思疎通が出来たりするのは、会話が不自由なせいで、かえって互いの理解を深めようとする行動が強まった結果です。

話せばわかるのではなく

「互いに相手を知る気があれば通じる」

のですな。


■話で事故りにくくするために

なので。
相手が聞く気なさそうとかずれてるなーと思ったら、まず話の前提条件の確認から始めたほうがいいです。

まず、カジュアルなのか、マジレスなのかでも結構な差があるので。

あと、無意識に自分の個人的な前提条件を入れ込んでくる人とかもいて、一般論の話してるのに、そんな個人的な話されても知らんよ!ってなることも結構あります。

なので聞き直しだいじ。超だいじ。

この辺がずれたまま話してるとかなり事故率が上がる上に、なぜか人格攻撃と揚げ足取りに発展することまであるので。
ひどいと、お互いに何も間違ってないのに平行線まであります。

また、上でも話したように話というのは結構アバウトなので、書き違い読み違いが結構な頻度で発生します。
(会話でも言い違い聞き違いは発生するが、こちらは訂正はしやすいのと、対面だと態度情報が明確なので行き違った時に判明しやすい)

時々おかしなことに発展して、なんかまるで違う意味に読んでるぞってことがあります。

なので、話を一度切って再確認、というのは結構な重要スキルです。
相手も、別になにか悪気があったり強い言葉を使う気が全く無い場合まであるので。ふしぎ。

書き読みによる齟齬は自動発生で避けられないことが多いので、時々再確認してください、マジで。

そしてもう一つ、コレめちゃくちゃ大事なんですけども。

相手に悪気がなさそうなときは、相手が訂正なり削除なり非を認めたりなど、受け入れて引いたらそこで終了です。手打ち。

そこで謝罪とかその先を求めちゃいけません。
だいたいこじれます。むしろ自分のが無茶言い出すまであります。

まあ「削除するけど非は認めません」とか言い出す場合があるのでそういうのは別ですけども_(:3」∠)_

ただ、そこで謝罪までになると、場合によっては火に油を注ぐ場合や、もともと無意識の悪気があったみたいに取る人も出てきて、結構エグい話になります。
当初話してる内容と全く関係ない部分で終始したりとか。

そもそもこの辺、人によって差がありすぎるし、中には「相手が非を認めたなら何を要求してもいい」みたいな人もいて、鬼の首を取ったかのようにめちゃくちゃ言い出す人が出てくるので。

まあそんな感じで

・前提条件やテーマの確認は大事
・読み違いと書き違いは誰にでもいつでも発生する
・たとえ相手に非があっても追い込まない、自分も変に謝りすぎない

このへん覚えておくと、事故りにくいんじゃないでしょうかしら_(:3」∠)_


追伸:
はじめて「みんなのフォトギャラリー」から画像使わせていただきました、感謝

サポートいただけるとすげえ喜びます! 励みになりますので、もしなんか役に立ったとか気持ちが助かったとかありましたら、ぜひぜひよろしくですう!