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クラフトビールの値上げ要因を考える

クラフトビールの値上げに関する記事が2本、立て続けに目に飛び込んできました。

いずれも共通して、原材料や資材の価格上昇、またエネルギー価格上昇や人手不足を含む輸送コストの上昇を指摘しています。生活に密着したところだと、電気料金の引き上げやガソリン価格の高騰などがニュースを賑わせました。うまい棒が10円から12円へ20%値上げに踏み切ったことも話題になりましたね。
リンク先では直接的に触れていませんが、上記の論点と同等以上に影響が大きそうなのが為替レート、具体的には円安を考えています。ということで今回は、ビールのお話というよりビールにまつわる経済のお話といった趣です。日本の経済運営は円安志向と考えていまして、キーワードは「輸出」と「観光」。以下、それぞれ見ていきましょう。

1.輸出

日本経済といえばモノ作り。例えば自動車産業ですと、生産台数のおよそ半数を海外に輸出しています。海外で製品を売り、その代金を仮に米ドルで受け取るとしましょう。現在のドルと円の為替レートは115円程度ですので、1万ドルの売上は円換算して約115万円。1年前は為替レートが105円程度でしたので、同じ1万ドルでも円では約105万円でした。外貨での儲けが同額であっても、為替レートが円安になれば円での儲けが増えることがお分かりいただけるかと思います。円安になると株価が上がる相関が強いのもこのあたりがネタです。

2.観光

コロナ以前、毎月100万人単位の観光客が海外から日本に来ていました。インバウンドですね。観光立国推進閣僚会議なんてものもある観光立国日本。改めて円安とは、日本円の価値が他の通貨に対して相対的に弱くなることです。つまり、円建ての値段が変わらなくても、円安が進むと外国から見れば値段が下がるのと同じ効果になります。前項と同じ為替レートで例を挙げましょう。アメリカから日本に遊びに来た観光客が、旅の軍資金として10万円ほど用意すべくドル札を持って両替にやって来ました。ドル円の為替レートが105円だとしたら、10万円を手に入れるためには必要な米ドルは約952ドル。レートが115円に変化した場合、約869ドルで10万円が手にはいります。円安になると海外の人が日本に来たり日本のものを買ったりしやすくなるわけです。

円安から値上げへの経路

なぜ円安がクラフトビールの値上げに繋がるのか。結論はシンプルに「輸入が多い」からです。ビールを醸造するにあたって使用するモルトやホップ、イーストなどの原材料にしろ、醸造設備にしろ、海外から輸入するケースが多数。また海外ブルワリーのビールはそもそも輸入しないと飲めません。
前項までに見てきた円安のメリットは、海外から品物を買う人々にとってのデメリットになるわけです。海外で製造・流通されているものを買うわけですから、その代金は外貨で支払うことになるでしょう。1万ドル相当の輸入品を考えた場合、為替レートが105円であれば105万円、115円であれば115万円。円安の進行はそのまま輸入コストの増加に直結します。

為替レートの決定要因は様々ですし、今後も円安傾向が続くとは言い切れません。まして、将来の投資成果を約束するものでもありませんし投資勧誘を意図したものでもありません。

ということで、ビールの値上げ要因になりうる要素として円安について論じてみました。分かりやすくするために話を単純化していますので、ツッコミどころがあるかもしれませんけれども。それでは。

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