見出し画像

読書メモ:反逆する体〜1型糖尿病の発症メカニズム

というわけで前回に引き続き今回は免疫の話

前回

今回はまずはこちら
日経サイエンスの自己免疫疾患特集
「反逆する体 免疫が私を攻撃する」から

これは、入院してる時にお見舞い客が持ってきてくれた日経サイエンスを読んでたら目に入ったバックナンバー。
タイトルもすごくキャッチーで心惹かれた。

そういうお見舞いから生まれた不思議な縁ってちょっと大事にしたい。

反逆する体

雑誌なので免疫初心者に優しいところもありつつ、その一方「サイエンス」だからちょっと難しいところもあった。

まず知ったのは自己免疫疾患はおよそ80種類あり、1型糖尿病もその1つ。

膠原病や橋本病も自己免疫疾患なんだなぁ、とぼくはホントに無知。
ちなみに円形脱毛症も自己免疫疾患の1つなんだって!

そして、自己免疫疾患の患者の約8割が女性。
ただし1型糖尿病については男女ほぼ同割合、、それを差し引くとそれ以外の自己免疫疾患は本当に女性ばかりなのでは?

患者の多くが女性であることで、自己免疫疾患は歴史上軽視され、研究費があまり割かれてこなかった、という背景を知った。

ポジティブに考えるならば、伸びしろがまだまだある?

驚いたのは1型糖尿病の発症メカニズムについて

自己免疫疾患の代表例である1型糖尿病は、体内のインスリン工場であるベータ細胞が免疫系の攻撃によって破壊され、インスリンを十分に作れなくなるために引き起こされる。

日経サイエンス2022年3月号より

うんうん、知ってる知ってる!

科学者たちは長い間、免疫系がベータ細胞を攻撃するのは免疫系に問題があるためだと考えてきた。

日経サイエンス2022年3月号より

え、違うの?

だが最近、ベータ細胞が自ら誘因分子を作り出して免疫細胞を呼び寄せていることが明らかになった。

日経サイエンス2022年3月号より

はぁ?ちょっとベータ細胞!お前が誘ってんの!?
何とんでもないことしてくれちゃってんの!?
日常に刺激が足りなかったの?
ちょっとした火遊びのつもり?
おかげで大変なことになって、、

っていうかそのせいでお前だいぶ死んじゃったし、、とほほ

なんでベータ細胞が免疫細胞を呼び寄せたのか?
もちろん通常時はそんなことしない。

ウイルス感染やストレスによって、呼び寄せ物質を作り出すらしい、と書いてあった(仮説含む)。

ベータ細胞がウイルスに感染すると、死ぬのではなく問題を抱えているサインを出して自己免疫細胞を呼び寄せるんだと。

もしストレスが原因なら、たしかにたくさん心当たりあるなぁ。。
ストレスフルなぼくの体内で、ブラック企業のように働かせたせいで、
「こんなに辛いならいっそ殺してくれ!」と思うくらい辛かったならごめん、ベータ。生きてるうちに謝っておくね。

そしてその結果何が起きるのか?

自己免疫細胞はウイルスに感染してない似たようなやつ(正常なベータ細胞)をみんな始末し始める!

Oh My GAD

こわ!恐怖!これがスイッチが入っちゃうってやつか

ただ、逆に考えると・・・
もしウイルスの感染から解放されて、ストレスもなくなったら・・・

自己免疫細胞さんは別のことに取り組み始めてくれたりしないかな・・・
もうベータ細胞からはお引き取りいただきたい。。。

同じ自己免疫疾患の円形脱毛症は、何となくストレスが原因のイメージがあって、ストレスが無くなったら解消してそうな気がするから同じような感じならうれしいんだけど。

何かが均衡を崩して事件を起こし、免疫系の干渉を開始させるようだ。
その何かとは、一時的なウイルス感染または有毒化物質への曝露だろうと多くの科学者は考えている

日経サイエンス2022年3月号より

いったいぼくのスタートはいつ頃で、何のウイルスだったんだろうね。
あ、有毒化物質の可能性もあるのか。

1型糖尿病の原因として長年疑われてきたものの一つはコクサッキーウイルスというありふれた病原体だ

日経サイエンス2022年3月号より

コクサッキーウイルス!?ありふれてんの?それ誰?

https://family.saraya.com/kansen/teashikuchibyo/

手足口病の原因ウイルスの1つなんだぁ
たぶん、少なくとも大人になってからはかかった覚え無いよ!?

でも知らず知らずのうちにかかってたりするのかもしれないし、別のウイルスが原因なのかもしれない。

通常コクサッキーウイルスは一時的な皮膚の発疹や口内炎といった軽い病気を引き起こす。
基本的に自己抗原と炎症、自己免疫疾患の3つが必要だ。そしてこれらの要因が同じ場所で同時に揃わなければならない。私たちはみなそうした要因にさらされているが、条件がそろわないと発症しないからだ

日経サイエンス2022年3月号より

残念ながら3つが同じ場所で同時に揃っちゃったんだなぁ。

予防的な意味で考えるならば、
・体内になるべく炎症を起こさない
・ウイルスにできるだけ感染しない
によって発症確率は下げられるのかもしれない。

ウイルスがいくつかの標的細胞を殺して炎症を引き起こし、その過程で一部の免疫細胞が瀕死状態の細胞のたんぱく質に感作されるという考え方が広く受け入れられるようになった

日経サイエンス2022年3月号より

これが1型糖尿病の免疫的なメカニズムってことか。。(ゴクリ)

新しい免疫入門

そして、もう一冊「新しい免疫入門」についてもすごーく軽ーく。

ごめんなさい。「入門」って書いてあったけど、今のぼくの知識では難しくて、図書館の返却期限までの斜め読みではほとんど理解ができませんでした!

ただわかったのは、一度免疫細胞が敵と見做したら、その記憶は他の細胞にも受け継がれていく、というところ。

たしかにアレルギーも何もしてないのに突然なくなる、なんてことは普通ないよね。

そう考えると一度ベータ細胞を攻撃対象と見做した自己免疫細胞に、過去のことを水に流してもらうのはそう簡単ではないのかもしれない。

それでも

糖尿病、通風、動脈硬化、アルツハイマー病など慢性炎症がからむ病気は、免疫システムによって引き起こされる自然炎症が原因とする説が有力になりつつある

「新しい免疫入門」より

できるだけ炎症を抑えることで、自己免疫細胞さんに何とか大人しくもらいたいな、と思った。

この記事が参加している募集

#読書感想文

187,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?