悪夢

夢の話

去年の夏に僕は電車に乗ってて秋葉原に着いた途端に急に前にいた少年が熱中症で倒れた。
僕と周りの人で直ぐに救急と駅員に連絡して事なきを得た。

その後1年経って僕は愛知県岡崎市で職場の寮に住んで働いていた。
その日は大雨で雷がすごかった。
そしたら急に不在着信が入ってきて基本でないから出なかった。
その時急に職場のLINEに上司から、
《寮の周りを「人が1人もいない、、誰か助けて!!!」て言いながら徘徊してる奴がいる。》
と連絡が来た。
僕は気持ち悪いと思ってシャッターを閉めて電気を消した。
そしたらまたその数分後に不在着信が掛かってきた。
でもすこし好奇心があった僕は恐る恐る着信を受けた。
するともしもしと言う前にすぐに「この世界に誰もいないんで助けてください!!!」
と大声で電話の向こうの男の人が叫んでいた。
僕は気持ちが悪くなって直ぐに電話を切った。
間違いなく外にいる少年だ。これはヤバイと確信した。
そして窓の外にいるというその少年の姿をカーテンの隙間から慎重に確認した。
その瞬間、ものすごいカミナリが落ちて辺りが一瞬だけ昼間のように明るくなった。
そして僕は見てしまった。
僕と目を合わせる、ずぶ濡れの男の顔を。
その男は酷くぐしゃぐしゃに泣いているようで、笑っているような顔をしていた。
間違いない。去年助けたあの少年だ。
急いで窓から離れ、トイレに逃げ込んだ。
そして僕は急いで上司に連絡をした。
この寮は幸いオートロックが着いていたので侵入してくることは無いだろうと思っていたが念の為を思って上司を呼んだのだ。
すると直ぐに状況を察知した上司がやってきて、トイレにいた僕と一緒に恐る恐る部屋に戻った。
そして部屋のドアの前に立った瞬間さっきよりも雨の音が極端に強くなっていることに気づいた。
僕は最悪の結果を考えながら上司と一緒に一気に部屋に突入した。
部屋に入ると、窓は割られカーテンは引き裂かれ、床はずぶ濡れで私物が部屋中に散乱していた。
だがそんなことは僕の頭には入ってこなかった。
部屋の真ん中に男がいる。
ただそれだけが僕の頭の中を駆け巡った。
幸い男は後ろを向いている。
上司は暗闇中ですごい勢いで男の腕を取り羽交い締めにした。
男はなにか奇声を発している。何を言っているかはわからない。
いや、何か言っているのだろうけどそんなことは僕の頭には入ってこなかった。
僕は部屋の電気を付ける。
そして上司が羽交い締めにしてる男を見る。
僕の姿を確認すると男は急に落ち着いた口調で僕に話しかけてきた。
「やっとみつけた!!探すのに苦労したんだよ...!!」
屈託のない笑顔がそこにはあった。
悪気とかそんなものを感じられない純粋な顔に僕はさらに恐怖を覚えた。
「これでやっとひとつになれるね。僕を助けてくれたのも好きだったからでしょ?」
この男は僕が助けた時に僕のストーカーになっていたのだ。僕はただ一言だけ、
「気持ち悪い」
とだけ呟くと警察に連絡してトイレに引きこもった。
その間も男はなにか叫んでいたが今度は本当に全部奇声だった。


僕はその後直ぐに仕事をやめて愛知でも東京でもないところに引っ越した。
今でも天気の悪い夜にはあの時のことを思い出す。
窓から外を覗けばアイツと目が合うんじゃないかって。

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