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飲むべき定番クラフトビール #序論

ある人から「noteやってみたら」と言われたのと、それを踏まえて後輩にやり方を聞いたら「情弱野郎が(先輩のスキルなら別にすぐ始められますよ)」と教わったので、noteを始めようと思います。

と言っても、自分の如き凡庸ホワイトカラー、辺境出身者のアラサー男性に、世間様へ語れるような何かがあるのかと言えば非常に疑問が残る部分ながら、道は好む所によって安し、とりあえず今回から数回については「飲むべき定番クラフトビール」と題して、十年来の趣味であるクラフトビールについて紹介しようと思います。

正直に申し上げて、自分はクラフトビールファンとしても非常に中途半端なところがあって、例えば某協会のビアジャッジ(コンペティションでビールを審査できる資格!)は更新義務を怠り失効、某アカデミーのライター講座は受講だけして登録せずという体たらくなので、そのような人物が身勝手に語るビール評には疑問に思われるところ、聞き苦しいところがあるかもしれませんが、何卒お優しい眼で見守っていただければ幸いです。

さて、何故わざわざ「定番クラフトビール」について取り上げるか、というところです。

昨今のクラフトビール界隈を取り巻く環境について非常に強く感じるのは、マーケティング、特にSNS周りの影響力が非常に増していることです。このことは、シンプルに考えれば界隈の発展に資する良い傾向だと思います。イケてる流行発信者による、イケてるビールの情報がインスタ、Twitter、Facebookその他に載ることで、新たな需要が喚起され、新規ファン層が開拓されていく。今の、少なくとも国内のクラフトビール市場はまさにそのようなフェーズにあり、新規ファンが更なる新規を呼ぶ非常に好ましい状態にあると考えています。

一方で、自分の心配は、そういった消費パターンが広まることによって、歴史あるブルワー・伝統あるスタイルの定番銘柄への評価が、ある意味で後退していくことにあります。例えば、SNSで #クラフトビール を検索してみましょう。ヒットした多くの結果は、流行りのNE-IPAや実験的なコラボビールに関するものだと思います。それらは勿論実験的で、衆目を集め、クラフトビールの発展に非常に有意義なものです。

しかしながら、ビールの面白さとはそういった新味だけなのでしょうか。自分は、クラフトビールの魅力は新奇性ある味覚世界の体験だけではなく、千年以上に渡るビールの歴史の中で培われた、伝統的スタイルにあると考えます。そして伝統的なビール産地(欧州、米国)ではない日本国内にあっても、それらを定番ラインナップとして非常に高いレベルで継承しているブルワーは多数存在します。

また、そういった歴史的背景だけでなく、ジャンル的趣味としてそのクオリティを味わう上でも、定番ラインナップへの理解は非常に有意義なものがあると考えています。ロックを語る上でビートルズやストーンズの貢献を無視する論は、原則として有り得ないと思います。絵画を語る上で、ルネサンスや印象派に由来する文脈の影響を全く受けていない作品は、作者の自意識はともかく、実際のところ存在しないと思います。クラフトビールにおいても、数多く産み出される企画的、実験的銘柄の真価は、品質の高い伝統的ラインナップへの理解があって初めてその本質を知ることができるのではないでしょうか。大袈裟を承知で言えば、それらへの理解は、ジャンルを味わう上での一種の基礎教養とも言えます。

さらに言えば、目下の感染症危機で、国内の、特に地方のブルワーは非常に困難な局面に立たされていると思います。あくまで一消費者でしかない自分は、その生産者側の苦悩と試行錯誤を引き受けることはできません。しかしながら、上述の定番ラインナップを人口に膾炙させていく方向性は、飲食店を起点とした従来の消費形態に一石を投じ、クラフトビールが家庭での日常的食卓に加わるような「普段使い」の可能性を高め、ともすれば目下の苦境を打破する方策になると考えます。

前置きが長くなりましたが、要するに「SNS時代のクラフトビール消費のあり方に対して、国産ブルワーが磨いてきた品質の高い定番ラインナップを埋もれさせることなく、一種のスタンダードとしてファンに浸透させよう」というのが、自分の主張するところです。



ということで、次回からは「国産ブルワーが提供している定番ラインナップで、クラフトビールファンには特に飲んでいただきたい...むしろ飲むべき銘柄」略して「飲むべき定番クラフトビール」を、独断と偏見で紹介していければと思います。短縮の暴力。なお、定番の定義は、企画モノとか季節限定ではなく、買おうと思えばすぐに酒販店なり通販なりで買えること。基本的には一年を通じて販売されていること。そういう消費者基準で、クラフトビールファンの方、これからクラフトビールのファンになる方に、一種のスタンダード(ただし、あくまで私見)についてお伝えできればと思います。

めちゃくちゃ前置きが長くなったな...今回三銘柄くらい紹介する予定だったのに...。

次回、濃色ラガー編、よろしくお願いいたします。

以上

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