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マルチプロダクトを加速させる、SmartHR カスタマーセールスの役割

SmartHRのカスタマーセールス部でMgrをしている吉村(@446)です。

SmartHRにおけるカスタマーセールスとは
・すでにSmartHRを利用している企業様へ、アップセル/クロスセル等で新しい価値を提供します
・メインのKPIは、機能追加による純増CMRRです
・導入済み機能のCMRR維持(= churn CMRR)はカスタマーサクセスが担っています

カスタマーセールスが組織化しはじめてからおよそ3年が経過し、エクスパンションフェーズにおける役割分担や職種の新設が進み一定スケールすることができました。しかし今後も、以下のような内的要因・外的要因により、さらに難易度・範囲の大きな変化が求められています。

<内的要因>
・プロダクトの増加(幅)
・プロダクトの成熟(深さ)
・カスタマーセールスの人員増(スキル習得)

<外的要因>
・ 顧客フェーズの多様化(複雑性)
・既存顧客の増加(数)

これからの変化は、エクスパンションフェーズのみ・カスタマーセールスのみの「改善」ではなく、新規セールスやカスタマーサクセスなども含めて課題を定義し、新しい職種や組織改編を行う「改革」に近いものです。

個人的にも「いままでとは全く違うフェーズに移っていくんだな」という感覚があり、このタイミングでカスタマーセールスの現状とこれからを整理したいと思います。

この記事でお伝えしたいこと

  1. 現在のカスタマーセールスは、幅広い提案スキルを持った方にご活躍いただきやすい環境です

  2. マルチプロダクト化の加速に伴い、カスタマーセールスだけでなくSmartHR全体の改革が進みます

  3. 既存領域においては、マルチプロダクト化の影響が顕著なため、ご経験・強みを活かしやすい + 挑戦の場も尽きません


カスタマーセールスの役割

水色で囲っている部分がカスタマーセールス部の職種

上記の立て付けではありますが、顧客体験の観点で対応を明確に分けきれない場面もあるため、カスタマーセールスが解約リスク回避や活用支援を担う場面もあります。

CIS(カスタマーインサイドセールス)の役割

  • メインKPIはCSQL(エクスパンション商談の創出〜クロージングへの引き渡し)

  • 主に電話・メールを利用した顧客コミュニケーション

  • 顧客の状況に応じて適切な部署へエスカレーション

    • エスカレーション先はCS、契約管理部署が主

  • 内容によってはCISから契約内容や機能仕様についても回答

  • クロージング施策に連動するための各種調整

  • マーケ施策実施後の反響フィードバック

  • 一部顧客について、更新意向の確認

クロージングセールスの役割

  • メインKPIはエクスパンションCMRR(既存顧客からの純増CMRR)

  • SmartHRプロダクトのアップセル・アップグレード / SmartHRグループ会社のプロダクトのクロスセル / 法人拡大・利用アカウント増

  • CSMと協働し、解約リスク回避のためのエクスパンション提案

  • 顧客の状況に応じてCSMへ活用支援を依頼

  • 内容によってはエクスパンション提案の一環で、導入済み機能の活用提案・機能説明も行う

  • 顧客の機能要望を社内へフィードバック

  • 新規プロダクト拡販促進のためにPMM・開発チームとの連携

新規セールスとカスタマーセールスの違い

カスタマーセールスが向き合う顧客には以下のような特徴があります。

・お客さまがすでにSmartHRの機能を理解している
・解決したい課題の範囲がコンパクトなため、要否の判断や機能検証のレベルが高い

上記の前提により『顧客状況・ニーズの解像度をあげて具体的な課題を特定し、機能仕様・運用フローまで詰めた詳細な提案が求められる』ことが、新規セールスとカスタマーセールスの大きな違いと捉えています。

また、現在SmartHRにおけるエクスパンションのボリュームゾーンはタレントマネジメント機能の提案です。

SmartHR サービスサイトより

タレントマネジメント機能は、お客さまの課題解決に直接寄与する機能ではなく、組織・人材課題の解決に向けた打ち手を実行するための手段の立ち位置のため、顧客の上流課題から具体までを整理するコンサルティング提案のスキルも必要になります。

これらをまとめると、以下の提案スキルを全てバランスよく備えている方はカスタマーセールス向きと言えるかもしれません。

・より深いプロダクト理解が必要 ⇛ プロダクト提案(機能売り)のスキル
・より深い顧客・業務理解が必要 ⇛ ソリューション提案のスキル
・商材特性が異なる場合、複数の営業スキルが必要 ⇛ (タレントマネジメント領域だと)コンサルティング提案のスキル

※予算獲得、顧客折衝等のスキルももちろん必要💪

これから

前提1)難易度や必要リソースの濃淡はあれ、価値提供のためにやることは変わらない

プロダクトや組織フェーズ、また手段や役割はどうであれ、以下の実行力をいかに上げるかのみと考えています。

・新たな価値の認知拡大(リードナーチャリング)
・新たな価値提案のきっかけを掴む(オポチュニティ創出)
・新たな価値提案をする(クロージング)
・導入済み機能の活用促進により価値を提供する(オンボーディング・アダプション)
・関係性を構築する(リレーション)

前提2)既存領域ではプロダクト毎のPMF度合いの難易度差がより顕著になる

既存顧客の場合、すでにSmartHR基本機能という土台があるのでプロダクト戦略がハマっていればSmartHRを選ぶほうが合理的なはずです。そのため、プロダクトによっては平均30-40%の受注率となります。

一方、まだPMFしてると言い切れないプロダクトや、導入決定にセールスが影響を及ぼせる度合いが少ないプロダクトの場合は受注率が10%台と、顕著な差が生まれます。

「SmartHRというサービス全体」でアプローチする新規セールスに比べて、より具体的な課題を個別機能で解決する場面が多い既存セールスのほうがプロダクト毎のボラティリティが顕著になりやすく、短期視点では効率が落ちやすく成功確度の見えない新規プロダクトに及び腰になり、いわゆる『イノベーションのジレンマ』に陥りやすい領域とも言えそうです。

「土台があるからこそ新規プロダクトの拡販実績をいち早く作る役割」 vs「イノベーションのジレンマ」こそが、カスタマーセールスもといマルチプロダクト化における難しさの最大要因とすら思います。

前提3)SmartHRのプロダクトめちゃんこ増えます、ものすごいスピードで

以下図のようにこれまでも継続的にプロダクトを拡大してきたSmartHRですが、今後もさらなるスピード・範囲で拡大を進めていく予定です。

SmartHR会社紹介資料より

その上でカスタマーセールスに求められること

  • すでに受注率が高いプロダクトをさらに伸ばす・・・①

  • 新規プロダクト提案の打席を担保⇛受注率を上げて、①のプロダクト群に押し上げる・・・②

  • ②を①に移行させるにあたり案件数・CMRRも増加するため、組織化・安定化も進める・・・③

  • プロダクト・領域ごとに①〜③を進めると、プロダクト別セールス組織に近くなるため、面での顧客接点を担う職種・役割を設ける・・・④

各項目について補足します。

①で注力すること
> すでに受注率が高いプロダクトをさらに伸ばす・・・①

すでに一定の組織化、体系化はできておりスケールのために人員拡充をするフェーズです。
人員が増える = セールススキルのボラティリティが生まれ、何も手を打たないと組織の平均値は下がる構造です。
ナレッジ化やイネーブルメントへの注力や、トップラインを維持・上げ続けられる人員配置が重要になります。

また、顧客群もアーリーマジョリティからレイトマジョリティに移行してくることを念頭に、潜在課題への提案スキル向上による受注率のキープも重要テーマのひとつです。

②で注力すること
> 新規プロダクト提案の打席を担保⇛受注率を上げて、①のプロダクト群に押し上げる・・・②

仮説構築(※) ⇛ 顧客へ提案 ⇛ フィードバックを元に良かったことは横展開・伸び代は即改善 ⇛ 顧客へ提案

このサイクルを高速で回して、成功事例(受注実績)を積み上げることが最重要ミッションです。

ただ、※印の部分はなかなか要注意で、作戦・武器作りに時間を費やして結局スベってお蔵入り(しかし仕事をした感は出る) ⇛ さらに作戦・武器づくりに...... を繰り返すと、 打席数が上がらずいつまでも結果が生まれない状態に陥りやすいです。

また、セールス自身もある意味プロダクトを一緒に育てる役割であり、このフェーズでは以下の素養が求められます。

・モノがなくても動ける(前述の※印に時間をかけすぎない)
・今後の開発も見据えて、プロダクトのビジョン・価値を信じられる(盲信はしなくてもよいが、「機能不足で売れない」となったら話にならない)
・プロダクトを信じつつも、フラットに顧客と対話しニーズを拾い社内に還元できる
・なによりも結果にこだわる

③で注力すること
> ②を①に移行させるにあたり案件数・CMRRも増加するため、組織化・安定化も進める・・・③

①と②では、求められるマネジメントやリーダーシップのスタイル、KPI設計がまるで異なります。

「人数が◯人以上になったら」「対応案件数、CMRRが◯以上になったら」など一定の軸を起点に、会社・チームとして「これから①に移行してきますよ〜」という共通認識のもと、チームの役割・意義の再定義や、IN・OUTともに他部門とも連動した採用(異動)検討ができると良さそうです。

また①へ移行する前の②ではかなりの成長率を叩き出しているはずなので、KPI設計も威勢がよくなりがち ⇛ メンバー・チームの負荷が高くなりすぎるケースが予見されます。まずは営業戦略・営業企画部門と連携し、他チームと行動量・生産性を比較してみると良いかもしれません。

もちろん「未だしばらくは②のフェーズ」という意思決定もアリで、その場合は人を増やしすぎない・負荷を下げるための仕組み化などができると良いと思います。

正直に言うと私自身はこのフェーズでとても苦戦した反省がありますが、自戒も含め今後の教訓として振り返ってみました。

④で注力すること
> ①〜③を進めると、カスタマーセールスがプロダクト別セールス組織に近くなるため、面での顧客接点を担う職種・役割を設ける・・・④

(絶賛模索中で確定事項ではないため、仮説を含んでいます)

プロダクト毎の難易度差だけでなくプロダクトの領域が離れる・扱う範囲が広くなると、①と②を同じセールスが担うことは難易度が増し、プロダクト別セールス組織への移行可能性が高まります。

しかし顧客としては各プロダクトではなく「SmartHR」全体に信頼をおいてくださっているわけであり、また具体業務でもSmartHR全体の活用相談や更新時のプラン替えなど、(プロダクト視点での表現だと)横断した顧客対応が必要になります。

プロダクト別セールス組織への移行にあたり以下の役割を人(専任役割)でカバーするのか、仕組み(データ連携・業務オペレーション)でカバーするかの意思決定がキーになりそうです。

・顧客を正しく理解する
・顧客体験を断絶させない
・プロダクト毎に価値・メッセージが分断されないようSmartHRの全体価値を届ける
・業務分担で明確に仕分けられない、いわゆる「落ちているボール」を拾う

まとめ

  1. 現在のカスタマーセールスは、幅広い提案スキルを持った方にご活躍いただきやすい環境です

  2. マルチプロダクト化の加速に伴い、カスタマーセールスだけでなくSmartHR全体の改革が進みます

  3. 既存領域においては、マルチプロダクト化の影響が顕著なため、ご経験・強みを活かしやすい + 挑戦の場も尽きません

既存顧客へより広い価値を提供する・収益を最大化していくSaaSビジネスにおいて、カスタマーセールスは今後さらに存在価値が増してくるはずです。

そしてなにより、顧客志向 × プロダクトが好き × 本質思考な人にとってカスタマーセールスは特に能力を発揮いただきやすい領域と断言できます。

カスタマーセールスの認知・市場価値が上がりセールスキャリアの一つの選択肢として、またセールスの理想像の一つになると良いな......という個人的な野望をもって、本記事を締めさせていただきます。

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