集団での意思決定が優れているとは限らない
今日は、コーチングの視点から組織マネジメントコンサルを少し。
会社や集団で仕事をしていると、意思決定しなければならない場面が必ずあります。
その時によくある傾向として、こういうことってないですか?
「みんなで議論して決めたらいい決定ができる」
「大事なことだから、みんなで議論して、納得のいく決定をしよう」
つまり
集団は個人よりもより優れた決定ができる!
これ、大いなる勘違いです!
昔のヒトラーやムッソリーニのようなファシズムは悪だから、独裁主義、個人主義は悪だ!という観念にとらわれているんでしょうか。
あるいは、みんなで決めることこそが民主主義だ!と思ってしまうのでしょうか。
僕は必ずしも集団の決定が個人の決定に勝るとは思いません。
なぜなら、集団には「プロセス・ロス」が起こるからです。
例えば、こんな実験があります。
ある課題に対し、5人グループでその問題を解いてもらうとします。その場合、グループの中に正解者が一人でもいれば、集団による協議の答えも必ず正解にたどり着きそうなものですが、実際は27%の正解率でした。グループに正解者が4人いてはじめて、正解率100%になったという結果があります。
これ、何が起こっているかというと、集団であるが故の弊害が必ず生じるということなんです。
1人がベストの意見を持っているとしても、集団になると、それをよいタイミングで発言できないということがしばしば起きます。
そうした機会ロスが思考停止を招いたり、スピードロスにつながります。
また、「他の人に任せておけばいいか」という意識が働きやすくなり、立場や声の大きさ、力関係で“諦め”や“忖度”が生まれたり、「同調圧力」が必ず起きます。
そして、なんといっても最大のデメリットは、
責任の所在が曖昧
になるということです。
結果がどういうことになっても、私ひとりの責任じゃない!みんなで決めたことじゃん!
って意識が発生する。
これ、その決定に従わないといけない人にとっては、とても無責任な判断として見え、信頼が欠如します。
信頼が欠如した決定は、いいパフォーマンスが発揮されません。
逆にどうでしょう。
とても信頼のおけるリーダーが、「全責任は私がとる!」といって決定した事項。
部下はどっちが高いパフォーマンスを発揮するでしょう?
集団での議論が悪いとは言いません。
ブレインストーミングは、メソッド化されています。
このブレインストーミングは多くの人が勘違いしていて、単なるアイディア出しの手法だと思っている方がいますが、正しく使えば、全員参加納得型の合意形成がつくられるWinWin解決の手法です。
いずれにせよ、集団であることの弊害を排除した意思決定のしくみをあらためて見直しましょう。
そして、その決定に際して責任を負うのは誰かは、一貫してはっきりさせておくこと。
違った意見を言えば、仲が悪くなるかも。嫌われるかも。
そんなふうに思いながら、意思決定会議に出席している人がいるとしたら、その組織は職員の人材育成もうまくいっていない組織です。
あらためて見直してみませんか。
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