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「アポロンの嘲笑」という本を読みました。


読み終えた後…

んん…

唸りましたね。



中山七里という作家は、ディープな社会問題をとりあげ、私たちが何気なく見過ごしているへぇーマジでヤバいやん!知らなかったわー、そんなに不幸な目にあったり、理不尽な目にあったりしてる人がいるんや~という社会病理に痛切に切り込んで物語を展開していくので、サスペンス的な面白さと、現実社会の闇を知れる2つの価値を提供してくれるので、僕は好きなんです。


で、今回の作品は東日本大震災と福島原発事故が起きた直後の話を背景にしているんですが、政府が原発至上主義で推進してきたその裏側で、私たち国民に知らされず、とんでもなく命の犠牲を払ってきた人たちが今なおいる原発政策の闇。


そして、阪神淡路大震災と東日本大震災を経験し、被爆し、あまりにも悲しき運命を生きた人の絶望的な人生があまりにも過酷で、後半は悲哀の涙で本を濡らすほどでした。


そして、事件を追う刑事もまた、家族が被災し、息子は津波に流されて行方不明…



もう、とにかく重いんですが、次の展開が知りたくて知りたくて、思わずページをめくってしまいます。


描写がとにかくリアルなんです。



そして、読み終えて…



なんでしょうか、この後味…



決してハッピーエンドではないですが、ズシリとくる重すぎる話でした。



ただ…、これはフィクションではなく、僕たちはこれと酷似する人たちがむちゃくちゃいることを知る義務があると思っているし、この社会の現実をも対峙していくためには、みなさんに読んでもらいたい1冊です。




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