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カナダのトロント市で日本語教師をしている田中恵美子と申します。3月14日から自宅待機をしています。カナダでどんな生活をしているか自分への備忘録として、振り返りながら日記を書きたいと思います。

3月30日 自宅待機17日目 :感染者が7448名 死者は89名(24名増)

午前:今日は休み。仕事はこれまでよりずっと少なくなっている。月曜日はもともと半休で夕方よさこいの練習をする日だった。もちろん今練習はない。来週末ぐらいからZOOMで練習を始めようかと思う。

昨日、よさこいの国際チームメンバーへ出したアンケートの回答が続々とやって来る。質問も多く、一人一人へ対応する。私たちのチームは世界14の国と地域から100名以上の踊り子が参加している。国よって置かれている状況が違うため、考え方も様々。食料調達以外は外出できない環境下で日々沢山の方が亡くなっている中で生活している踊り子と、感染者はいても外出が自由にできて友達や家族に会える環境にいる踊り子、真逆な環境にいる踊り子が同じチームのメンバーとして活動している。そしてお互いの国は画面を通してしか見えない。完全に理解し合えというのは無理だと思う。日本人であり海外に移住している私でも分からない事だらけで、それを言葉が通じない国の踊り子同士理解しろと言ってもなかなか難しい。そのため、少しでも交流ができれば、情報交換ができればと先日ZOOMで国際ビデオチャットを行った。時差もあり欧州の踊り子は参加できなかったが、アメリカ、カナダ、マレーシア、日本から30名程の踊り子が参加してくれた。その中で印象的だったのは「海外に住んでいる皆さんから見て、日本の今の状況についてどう思いますか?何か感染を防ぐためにアドバイスはありますか?」という質問だった。これまで私は何度も何度もカナダのや海外の環境を伝えようとして来た。ただどんなに伝えても、見えない物、目の前にない物を現実として捉えることはとても難しく、対岸の火事の様に感じている人が多かった。そして、私自身も一カ月前までは同じように捉えていた。先ほどの質問を東京の踊り子がしたとき、それまで黙って聞いていたカナダの踊り子が口を開いて「家にいてほしい。桜が咲いていても今はそれを大勢で楽しむ時期ではない。」と伝えた。彼女はまだ20歳。カナダの大学生だ。若い彼女でも今の問題と自分がやるべきことを理解して、行動している。日本人が活動を自粛できないのは本人たちだけではなく、仕事だったり、学校だったり、行政だったり、様々な問題があると思う。そうしたくてもできない人が沢山いる。そんな中で世界中の踊り子が集まったミーティングを通して、生の声を届けられたのは本当に意義があることだったと思う。私も彼女と同じ国にいて同じ環境下にいるけれど、踊り子が自らの言葉で懸命に伝えようとしたことはとても意味のあることだった。少しでも世界の状況を理解し合える様に、皆が自分のことだけではなく他の国の踊り子のこともケアできる、そんなチームになって欲しいと思う。そうなるためには代表の私が皆のことを理解していくことが必要で、声に耳を傾けることが何より大事だと思う。

私が住んでいるカナダは現在感染者が7000名を超えている。世界で16番目に感染者が多い国である。他の国に比べて非常事態宣言が出るのが早く、ロックダウンまであっという間だった。感染者は毎日増えているが国民が外出を控え感染を拡大しないように努めているように感じる。(実際は外に殆どいないので情報は殆ど報道から得ている)殆どの人が仕事を失った。我が家もパートナーはピアニストの為、今は完全に職を失っている。そして私も普段の2割ぐらいまで仕事が減った。以前あった当たり前の日常は当たり前ではなくなり、今は外に出るのが怖い。食材を買いには行くけれど日中は出ないで深夜までやっている近所のスーパーに閉店間近に行くようにしている。人に会うのが怖いからだ。私も彼もこの生活で暗くならないように気を付けて生きている。以前にも書いたけれど、彼はもともとポジティブな人なので多分まだストレスにもなっていないと思う。私はそういう彼の姿勢に本当に救われている。でも、いつ彼がストレスを抱える日が来るかわからないし、そうなった時は私のストレスも計り知れないだろうと思う。正直な気持ちを書くと、外に出られない生活に不満がある訳でもないし、仕事がなくなったことに対して不安を感じている訳でもない(0だと言ったら嘘になるけれど、そこまで今は心配していない)。それは何かあってもある程度は生きていけるように常に節制して来たからだし、幸い私のビジネスは営業できなくても損失するものが殆どないからだ。蓄えさえあれば生きていける。今は我慢の時だと思う。一番怖いのは私が彼か感染した時だと思う。私は家族がカナダにはいないし、海外に13年住んではいるけれど英語が母語ではないので分からないことも多々ある。そんな時にどちらかが感染したら、どう対応して行くかのか。私が倒れたら100名以上いる踊り子のケアやチーム運営はどうなるのか。周りの人にできるだけ迷惑をかけたくないし、誰にも辛い想いをして欲しくない。そのためには自分が健康でいる必要がある。この生活がいつまで続くかはわからないけれど、今はとにかく自分を守ることが家族やよさこいチームやパートナーを守ることに繋がると思う。その気持ちを忘れずに一日を大事にして行きたい。

写真は世界中の踊り子とZOOMでビデオチャットを行ったときのもの。最大で30名程参加してくれた。



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