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#49「ありがとう、全てのエヴァンゲリオン」っつうハナシ

 2021年3月8日、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開された。当然、私は公開初日の朝7時上映の回に向かい、しっかり堪能させてもらった。全世界で最初に見たかった、というのもあるが、愛するアスカが入場特典で頂けるというので、眠気とかそういうのを無視して日本橋へ。

 上映開始前から上映後まで、歴戦の猛者たるエヴァファンの群れは、少しの物音も立てず、ただただその瞬間瞬間を目に焼き付けようとしており、まるでエンタメを楽しむとはほど遠い、自分とエヴァ、どちらかの命をかけて戦う武士のごとき面構えをしていた。

 細かい内容についてはあまり言えないと思う。ほんの弾みで、これから見に行く予定の方の目に留まってしまえば、恐らく私の命は無いだろうから。
 それでも、社会現象となり、ずっと追いかけてきた作品が一つの区切りを迎えたということなので、感じたことを少しばかり吐露させてもらう。

 庵野総監督のやりたいこと

 シンエヴァは、庵野総監督の趣味全開となっていた。庵野総監督といえば、特撮の大ファンであり、自身の作品に特撮の要素や小ネタを盛り込むことで有名だが、今回はそれが全面に出されていた。
 予告編にも使われていた映像で、ミサトさん率いるヴンダーと、NERVの戦艦同士の戦闘シーンでは、これまでのエヴァらしくないBGMが使用されていた。これは、昭和の特撮らしい音楽だったので、庵野総監督のこだわりだったのだろう。その他にも、様々なこだわりが隠されているので、まだ見ていない方ももう一度見に行く方も、注目してみると面白いかもしれない。

 全てのエヴァを見てきたアナタへ

 シンエヴァを見ての率直な感想は、「これ、全部見てない人からすりゃ意味分からないだろうな。」だ。全部、というのは、TVアニメ版旧劇場版貞本版新劇場版の4つのことだ。鋼鉄のガールフレンドやその他派生作品も多々あるが、最低でも上記4つを見ていないと、一部わからない点が出てくると思う。逆に言うと、この4つを予習してから行けば、「さようなら」と銘打っている理由なんかもわかるのではないか。
 シンエヴァという作品は、何もエヴァの全てを包括し終息させた作品ではないと思っている。様々な結末を迎えてきた、その中の一つに過ぎないのだ。

 少しだけ、大人になれた気がした

 初めてエヴァという作品に触れた時、衝撃を受けた。これは、自分の人生において大きな存在となるのではないか、と。TVシリーズ、旧劇、貞本版と新劇の全てを見終わり、派生作品にも興味を持ち始めた。小、中学生だった当時、初めてインターネットに触れて、二次創作というものにまで目を向けた。ネット上に存在するほぼ全てのLAS作品をほじくり出し、そこでREーTAKEなどの名作達とも出会った。
 それから10年弱、待ちに待ったシンエヴァという一つの結論は、当時の私だったら耐えられなかったことだろう。
「ヒロインは綾波だ!」「アンタバカァ~?アスカに決まってんだろ!」「カヲ×シン......!」とかなんとか散々騒いでいた無数のオタクたちをエヴァの呪縛から解き放ち、背中をポンッと押してくれた今作は、救済とも言える155分となっていた。

 シンエヴァを見終わった人達が、皆心の中に浮かべた言葉。「やっと一つの時代が終わったんだ。」およそ25年、四半世紀に及んだエヴァの迎えた一つの結末。それでも、爆発的に世界に浸透した作品だ。これからエヴァに出会うという人もいることだろう。
 もちろん、庵野総監督はじめ、エヴァに関わってきた多くの方々が、また新たな作品を生み出すことになるだろうし、どこまで行っても、ただの通過点に過ぎないのかもしれない。

 これから何度も見返しては、また新たな発見をし、その度に一歩ずつ前に進んでいける気がする。そう思わざるをえないほどの作品に出会えたことを、素直に喜びたいと思う。
 大傑作であることは間違いないので、一人でも多くの方に見てもらいたい。

父に、ありがとう
母に、さようなら
そして、全てのエヴァンゲリオンに

お疲れ様でした

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