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#69 シノヘぼっちの東京回遊録〜九段下〜

 今回シノヘが訪れたのは、シノヘ青春の地・九段下。大学4年間を過ごしたキャンパスと、多くの友人と出会った思い出のある街だ。

 もともとこの地には、九段の階段からなる徒歩でしか移動できない道があり、これを九段坂と呼び、その名残が地名もとい駅名となっている。江戸時代から明治にかけて花街や教育機関の集まる街として栄え、現在は靖国神社や日本武道館が近く、主要幹線道路の通る都内きってのオフィス街として有名だ。

 そんなもう用のない街になぜ訪れたのかというと、何を隠そう我が母校に訪問するためだ。
 偉大な卒業生として在学生の様子を拝見し、進路や勉学に行き詰まっているカワイイ後輩にアドバイスの一つでもと思い、馳せ参じたわけではない。同じ年に卒業し、地元へ帰った友人の卒業証明書を代理で発行しに参った。

 とは言っても、卒業証明書の発行なんてどうすれば良いのか。自分の取得単位数すらしっかり把握出来なかった私にとって、ポアンカレ予想の証明と同等に難解な問題にぶち当たり、母校のことだってのにググってみた。大学に向かう電車の中で調べてみたところ、どうやら教務課という場所に向かえば良いらしい。教務課。いかにもインテリモンスターが溢れていそうな課だ。

 インターネット上にはそれ以上の情報がなかったので、九段下駅に到着した後、教務課たんにTEL。すると優しそうなお姉さんが優しい声音で教えてくれた。「現在は窓口での対応はしていないので、郵送してくれればやりますよ~」とか言ってっけど来ちまったもんはしゃーねえ、行くっきゃねえわってことで突撃。

 あー来ちゃったかーと面倒くさがりながらも丁寧に対応して頂き、なんとか証明書の発行に成功。郵送Missionもclear。令和のスネークこと私の初の成果だ。

 大学の喫煙所で一休みしていると、就活生らしき男の子二名と女の子一名が面接の練習をしていた。「はい、じゃー最初からね」女の子の指揮の下、何度か詰まりながらも自分の名前や志望動機的な話を進めていた。
 彼らにも叶えたい夢があるのだろうか。それとも、未だ将来のヴィジョンが固まらぬまま社会に出ようというのだろうか。どちらにしても、彼らは人生における大きな一つの決断を下そうとしている。

 少し高くなり始めた空に夏の終わりが近づいていることを教わり、リクルートスーツを考えた奴はスケベ界の天才だなと思いながら帰路についた。

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