見出し画像

真冬のアート探訪~森アーツセンターギャラリー・麻布台ヒルズ~

のらりくらりと日々をこなしていたらあっという間に年末を迎えてしまった。

このまま寝正月に突入してはいけないと思い、
年末調整もやり遂げたご褒美に冬のアート探訪を行うことを決意。
今年の美術展巡りの総決算の意味合いを込めて回った。

雑踏を掻き分け東京の繁華街に降り立つわけだが、クリスマスムードをこれでもかと押し付けていたコロナ渦以前の同時期に比べたら比較的落ち着いているように思える街並み。

現在開催中のキース・へリング展へ足を運んだ。

キース・ヘリング展 アートをストリートへ KEITH HARING Art to the Streets (exhibit.jp)

キース・へリングはアメリカ・ペンシルベニア州出身の路上アーティスト。
性差別や人種・社会風刺を主として地下鉄や路上の壁にペインティングを行ってきた。
エイズのため31歳で亡くなるまで、絵画、ポスター・シルクスクリーン、オブジェなど多彩な作品を残している。

今回は山梨県にある中村キース・へリング美術館などの協力で多数の作品が集まっているので大変に見ごたえのある展覧会だ。

ストリートアーティストの先駆けであるキース・へリング
アンディ・ウォーホルとのコラボ企画として連作も発表している。
現代オークション市場では常に人気の的であり、インテリアとしても盛んに取引され続けている。
私がアート業界に在籍していた時も、飾りやすいシルクスクリーンは飛ぶように落札されていた。
エイズに感染後、常に死を間近に意識続けながら作品を創り続けていた。
人は死んでも作品は生き続けることを主張している。
本展覧会では図録販売がないのが残念であるが、
Tシャツやポストカード集などのグッズが充実していた。
わずか10年の製作期間の中で、常に社会問題への関心を訴え続けてきたキース。
日本では1988年に青山にてポップアップショップを開店。
表参道にて貴重な路上パフォーマンスをしている当時の映像も流れていた。

続いては六本木からほど近くの麻布台ヒルズへ。
今年の11月にオープンしたばかりの新スポットである。

麻布台ヒルズ - Azabudai Hills (azabudai-hills.com)

六本木、表参道、虎ノ門に続くヒルズシリーズ。
ここ十数年で都心のヒルズブームも随分と加速した。

ただタクシーの運転手に聞くと、ずいぶんと交通の便が悪くなったという。
この麻布台ヒルズの開業にあたり、付近に信号機を大幅に増設。
その結果、渋滞の時間帯が1日中酷いらしい。

休日より平日のほうが交通の行き来が多いとのことで、乗ったタクシーも信号の少ない道路へ迂回して到着した。

地下鉄日比谷線・神谷町駅からほど近くにそびえ立つ麻布台ヒルズ。
メインの森タワーはショッピング・レストラン・オフィスビルが入居している。

これから開業するブランドショップの建物もすでに完成していた。
中央のガーテンテラスからは東京タワーが近くに見え、夜はライトアップがひと際目立つようだ。
この日はクリスマスマーケットが開催されていた。
奥にクリスマスツリーが立ち、オーナメントグッズや温かいチキンやコーヒーなどの店に列をなしている。
奈良美智のパブリックアートがこの施設のために制作されている。
大きさは7mを超えるシンボル的存在だ。

奈良美智作品を観に来てみたが雄大なビジョンに圧倒された。
青森出身の奈良はこの作品を針葉樹のように見立て、アンテナを常に張っているようなイメージを重ね合わせて制作したという。

奈良美智|インタビュー「僕の彫刻が、麻布台ヒルズに集う人々の日常の一部になることがとてもうれしい」|ヒルズライフ HILLS LIFE

東京に来た際に気軽にアート作品と触れ合えるというのはとても大切なことだと思う。奈良の思いはここでも生きているので、ファンの方を中心に多くの人々に訪れてほしい場所である。

◆総括

年の瀬。
毎年の恒例として、1年間使ってきた手帳を初めから1ページずつ丁寧に見返す。

ああ、こんな展覧会に行ったな、この作品展は感動したなと日付を見るたびに記憶の引き出しを開けてよみがえる。

行ってみたいが日程や距離の関係で実現できなかった展覧会もたくさんあったが、これだけは行っておきたいという展覧会には行けたような気がする。(上野の国宝展はさすがに人気過ぎて各々の所蔵元に戻った際にじっくり見れればと思いあきらめたが。)

来年も質の高い、心をさらに豊かにさせる作品に出逢えたら幸いである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?