見出し画像

呼吸を乱される。

色々な方のnoteを読んでいるうちに、呼吸を乱されることがある。

こんな経験はありませんか。

私の場合、小説ならばパラグラフ、エッセイでは綴られているメッセージを読んでいくうちに段々引きずり込まれていく。

息を飲むともなんだか違う。

息継ぎのタイミングを逃し、吐き出す息が立たないようにさらに吸い続けてしまう。

面白い文のまとまりを読み終え、次の段落に差し掛かった時には息切れ。
ぜーぜー。

面白い文章に出くわした時に出る症状である。

彼女にその話をしたら共感してくれた。

彼女はミステリー読みなので、アリバイ工作や回想の場面に差し掛かるとインプットモードに入るため息を止めるという。

「苦しくないの?」と、実際没頭しているとそんなことはないと分かっていながら僕は聞いた。

「全然。むしろその時、息が整う感じがするんです。」

彼女の会話では時折敬語が入る。

案の定、苦しくないどころか止めどなく息を吐いたり吸ったりする動作を一旦リセットすることにより、リズムを整えているようだ。

人の読み方の癖を知るのは面白い。

家の隣に発熱外来を受け付けている内科がある。

最近のかつてない感染者の広まりに、家の前に朝から行列ができる。

猛暑のため、あるいは陽性疑いの隔離のためか、日陰となる駐輪場に即席の椅子を並べて患者は座って皆呼び出しを待っている。

中には咳き込む音も聞こえる。

家の壁一枚の向こうに陽性者がいるかもしれないという暮らしを、転居してきた当時想像できたであろうか。しかし責めるわけにもいかない。

誰しもなりたくてなったわけではない。

5月に私も咳と発熱をして頭が朦朧になったことがあった。
※PCRの結果は陰性で、風邪の症状だった。

意味合いは違えど、普通なら意図せず呼吸が乱れることの苦しさは耐え難い。

乱されるのなら、いい文章に出くわしたときに乱されたい。

今日も良い1日を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?