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アフターコロナにクリエイティブの夢をみる

新型コロナウイルスの影響が、日本でも3月から4月にかけて甚大なものになってきたと思う。
特に4月に緊急事態宣言が出てからは、「自粛」の世の中になり、「おうち時間」が求められるようになっている。

まさに、日本中、世界中が大混乱の中にあり、経済は停滞し、人々は気が滅入る一方だ。

そんな中、今まさにその力を発揮しているのが「クリエイティブ」であると僕は思う。

今回は僕が考える「アフターコロナ」と「クリエイティブ」について、その夢と懸念点を述べていこうと思います。

コロナ禍でのクリエイティブへの希望

アフターコロナにクリエイティブの夢をみる_02

コロナ禍では、多くの不安や恐怖が語られ、人々を負の感情が支配している。
しかし一方で、それに抗うかのようにSNSでは日々、皆で手を取り合い助け合うことを呼びかけるような動きが盛んになっている。

それが、様々なハッシュタグの流行だ。

#COVID19
#COVID19に僕らは負けない
#おうち時間
#想像力で世界を救え
#家で過ごそう
#コロナに負けるな
#stayhome

など、日本だけでもたくさんのハッシュタグが盛り上がりを見せている。
そのハッシュタグの中には、数多くのクリエイティブな作品が登場し、人々を元気付けている。

例えば、星野源さんの「うちで踊ろう」はその最たるものだと思う。

他にも著名なクリエイターやそうではない人まで、幅広い人々が創作活動に打ち込み、それを世界に向けて発信する動きが起こっている。

この動きを見て、僕は
ジャンルを横断したクリエイティブのコラボレーションと、表現者の増加・活発化を感じた。

今、改めて世界からクリエイティブやアートの持つ力が再確認され、リスペクトが拡大しているのではないだろうか。

家の中で不透明な未来に悶々と過ごす中、創造的なコンテンツや活動に心の拠り所を求めている人が増えているのではないか。

実際、「おうち時間」の増加で、絵を描いたり、音楽を奏でたり、工作をしたり、はたまた工夫してオンライン飲み会をしたりと、心のベクトルが”うちあそび”に向かっている。著名なアーティストが無料でライブ映像を流したりする中、一般層にもクリエイティブの波は確実に起こっている。

コロナの恐怖が増すにつれて、クリエイティブの活性化が進んでいるのが現状ではないかと僕は日々感じています。

確かに、世界規模で甚大な被害を与えている未曾有の危機かもしれないが、そういったマイナス面だけでなく、人々がより創造的になり、言語や文化などを越えて繋がるプラスの転換点であるという見方もできると思うのだ。

そこに、クリエイティブが大きく寄与しているはずである。

先に述べたように、”うちあそび”をする人が増えたことで「クリエイター」人口も増えていると思う。

今、世界規模でクリエイティブになっていっているのだ。

けれど、僕には少しばかりの懸念もある。

コロナ禍でのクリエイティブへの懸念

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SNSを中心に数多くのハッシュタグが流行する中、様々な作品が発表され、人々を元気付けている。

しかし、それは同時に、「大量のコンテンツが無料で消費されている」ということを意味するものでもあるのではないか。

しかもこの「無料」は誰かがそのコストを肩代わりした結果の「無料」ではなく、純粋な意味での「無料」なのだ。

「コロナ禍の人々を元気付けるもの」という「大義」の下、無数のハイクオリティなコンテンツが「無料」で消費されていってしまう世の中に移行しつつあるのではないかという懸念を僕は持っている。

もちろん、善意で作ったモノを発信し、それがひとりでも多くの人に届いて一瞬でも気持ちが和らぐのなら嬉しいし、僕もそういう気持ちでTwitterやInstagramにイラストを投稿している。

そのような善意を悪用したり、「慈善」としてのクリエイティブと「仕事」としてのクリエイティブの棲み分けを守らないと、善意でやっていたことが、結果的にクリエイティブ業界全体の価値の低下にも繋がるのではないだろうか。

例えば、本来は有料だったコンテンツを手当たり次第に無料開放し、公開することで、今は多くの人に喜ばれ元気付けられるかもしれないが、「無料」が「当たり前」になることでコンテンツ自体の価値が低下する未来を作ってしまっているのかもしれない。

そうすると、クリエイティブは「人々を元気付ける」という意味では大きなリスペクトを獲得し、評価されるかもしれないが、同時に「”趣味”の延長として無料または格安で提供される娯楽」というイメージがつくかもしれない。

現段階である程度の知名度のあるクリエイターにはさほど影響はないかもしれないが、クリエイター志望の者にとっては苦い世界ではないだろうか。

また、有名クリエイターが作品を無料公開していくことがクリエイティブの価値にもたらす影響も大きいと思う。

クリエイターは完全なるボアランティア活動家ではない、ということを線引きしておかなければならない。というのが僕の考えだ。

クリエイティブの力を再確認できる転換点だと思うだけに、ここが懸念だ。

それでも僕はアフターコロナにクリエイティブの夢をみる。

アフターコロナの世の中は?

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コロナ禍のなかで僕たちは「オンライン慣れ」したと思う。
実際、僕自身も社会人になってすぐにリモートワークによる新人研修という思ってもみなかった経験をした。

ビデオ会議用のアプリは瞬く間に広まり、オンライン飲み会なども行われるようになったし、テレビではオンラインで別室から芸能人が参加しているのが現状だ。

すっかりオンラインは当たり前になった。

文字や写真を通してのオンライン上のコミュニケーションは今までも当たり前だったが、リアルでのコミュニケーションを代替するものではなかった。

それが、今は不完全にしろ、ビデオ通話などが用いられることで対面の代替として機能していること。

社会のオンライン化が一気に進んだのではないか、と思う。
そして、そこに「5G」の流れが重なる。

僕は、この「オンライン慣れ」と5Gの流れの相乗効果で、想定されていたよりもずっと大きな度合いでオンラインとオフラインの境界が曖昧になると思う。

具体的には、VRやARが発達して現実と仮想現実が繋がり、ヒトとモノの”物理的な移動”が大きく減少した世界がやってくるのではないか。
「デジタルクリエイティブ」が力を持つ時代の到来だと思う。

現時点でリモートワークの導入が進み、コロナの影響で人との接触がタブー視される中で、アフターコロナではオフィスを持たない企業も出てくるのではないか。

そして、人は家やカフェなどで仕事をしつつ、オフラインのコミュニティ、オンラインのコミュニティを持ち、それらが同列の存在となる。

そこでは様々なバックグラウンドやキャリア、思想を持つ人が交差してコラボレーションが頻発する。

このコラボレーションこそ、「クリエイティブ」の生まれるところだと思う。

クリエイティブを行う媒体はよりデジタルに依存し、その手段も多岐にわたると思うので、活躍するシーンもそれに応じて増えるだろう。

今、この状況でクリエイティブの力が再評価されている流れのまま、この時代がくれば、リスペクトから価値も上昇し、クリエイティブに参入しやすくなるのではないかと期待している。

つまり、人々の多くがクリエイティブに従事する。
多くの国の基本産業が広義の「クリエイティブ」になっていく世の中を夢見ることができる、と信じている。

このような世の中で、プロのクリエイターがひとりでも多く増えていくことを願いたい、というのが「アフターコロナにクリエイティブの夢をみる」と題した意図である。

少なくともコロナ禍でクリエイティブの力は再認識された。
いつまで続くか分からない不透明な今だからこそ、クリエイティブの力を多くの人が発揮できる世の中になる転換点となることを夢見たい。

【参考図書】


自分の生み出したもので生きていきたい。幼い頃からそう想って今も生きています。これからも創ることが喜びでいられるように、いただいたお金を使おうと思います。