見出し画像

認知症の祖母に久しぶりに会えた話。

僕の父方の祖母は6〜7年前から認知症になり、今は施設に入っています。

施設に入る前は1人暮らしをしていて、薬を飲み忘れたり、ぼーっとテレビを見て1日を過ごしていたので、刺激が少なく、どんどん認知症が悪化してしまっていました。

流石に家族で世話をしきれないといくことになり、近所の施設に入ってもらうことに。

施設に入ってからは、おばあさんの友人ができたり、好きだった歌を歌ったりするようになり、薬もケアマネージャーが飲ませてくれるので、認知症の進みも遅くなりました。

定期的に家族で会いにいき、団欒するスペースで祖母と一緒に喋ったりおやつを食べたりして、最後には写真を撮ったりして、「バイバイ」「またね」と言って帰ることが多かったです。

しかし、悲劇は突然やってくるもので、世の中はコロナ禍になってしまいました。

面会は中止。
いつ再開できるかもわからない状態に。

その時点で87歳だったので、縁起が悪いですが、もしも会えないうちに倒れてしまったらどうしようと考えてしまいました。

それからは、祖母に会えないという悶々とした気持ちを抱えながら、毎日を過ごしていました。

それほど祖母のことが好きなのだと、実感しました。

まだ、感染が多い時期には施設の配慮でZOOMを使ってのリモート面会をさせてもらいましたが、入れ歯が増えたせいか、認知症が進んでしまったせいか、あまりうまく話せないようでした。

それでも、僕や兄弟、父、母のことはまだしっかりと認識してくれていて安心しました。

父の祖母も認知症だったらしく、最期の頃には「あなた誰?」と言われてショックだったらしいので、いつか自分のことも忘れらてしまうのではないかと不安を感じています。

会えない状況が何年も続くからこそ、その不安が募るようになり、「早く会いたい」「会って手を取りたい」と思うようになりました。

今年、やっと新型コロナが5類に移行しました。

なので、ビニール越しではありますが、やっと直接面会ができるようになりました。

ちょうど休みの時だったので、妻を連れて会いにいき、祖母に結婚報告をしました。

最初こそはあまり状況を理解していない感じでしたが、徐々に状況を飲み込んでくれたようで、妻とも話をしてくれました。

祖母が声楽が好きで、妻はピアノが好きなので、音楽の話をすることができたので、多分祖母も嬉しかったんだろうなと思います。

そして、祖母は珍しく自分の近況や思っていることをたくさん話してくれて、いつもなら疲れて5分も会話すれば終わってしまうところを15分ほど話してくれました。

それだけでも嬉しかったです。

僕のことだけではなく、兄弟や父、母のことも覚えていてくれて、「みんなによろしくね」と言ってくれました。

「入れ歯のせいで、意思はあるのに上手く話せないのよ」と言っており、意識ははっきりしているようでした。

本当に良かった。
この数年の間、ずっと心配していたので、安心しました。

最後には、特別に父と握手をして、その日の面会は終わりとなりました。

祖母は6月6日に91歳になりました。
いつまでも元気に生きてほしいですし、最期まで自分たちのことを覚えていてほしいと思う限りです。

もっと規制が緩和されたら、今度は僕も祖母の手をとり、触れ合いたいと思います。

認知症は本人はもちろん、家族にとっても悲しい病です。
どうか、少しでも進行が遅くなってほしいものです。

早く直接、祖母に会えますように。


自分の生み出したもので生きていきたい。幼い頃からそう想って今も生きています。これからも創ることが喜びでいられるように、いただいたお金を使おうと思います。