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#Day066 日々の生きづらさ〜美大コンプレックス〜

僕は美大に行きたかったんだと、最近『ブルーピリオド』という漫画を読み返していて思った。

高校生の頃、特に2年生の時には文理選択や志望校を決めていく重要な時期だった。

その時、かなり悩んでいたのを覚えている。

本音としては美大や藝大に行きたかったけれど、学費がものすごく高いことや、合格のために予備校に通わなければいけない(これも学費が高い)ことが引っかかって、なかなか親に言えずにいた。

普通の勉強の予備校すら、お金を払ってもらうのが申し訳なくて「通ってみたい」とは言い出せなかったくらいなので、数十万、数百万単位のお金をお願いしたり、そんな額の奨学金を借りたりするのも怖かった。

正直、それなりに勉強ができたし、無駄に「お利口」で自分の気持ちに素直ではなかったので、一般大の道で頑張るか、と高2の夏に決めた。

しかし、心の中で少しモヤモヤしていたものがあったので、高2の秋冬頃の放課後に美術の先生に頼んで、デッサンの練習を何回かさせてもらったこともあった。

やっぱり、心はそっちの方向に向いていたのかもしれない。

そんな中、あまり絵を描いていなかったクラスの友人が美大受験を決めて、予備校に通いだし、メキメキと実力をつけていった。

僕はそんな様子を横目に見ながら、一度決心した「一般大の受験」、特に「東大受験」に向けて気持ちを切り替えてひたすらに勉強した。

結局、結果は振るわなかったので、第2志望に進学することになった。

友人は多摩美術大学に合格した。

自分は自分で、決心した「勉強」をやり切ったので、それなりに達成感があったが、同時に自分の気持ちに嘘をついているような気もした。

大学受験から8年。

大学時代もイラストを描いて、イベントに出たり、合同展を主催したりと絵を描くことを続けていた。

しかし、つくづく自分は「絵が下手だなぁ」と痛感する日々だった。

そんな中、『ブルーピリオド』を読み返した。

主人公は成績優秀で、空気を読んでは自分の本音を隠したり、波風立てずに求められている「答え」を出したりしていくような高校生だった。

「あ、これって高2の頃の自分じゃん」と思ってしまった。

主人公は、初めて「絵を描くこと」で自分が認められた気持ちになり、のめり込んでいく。

僕も初めは、母に絵を褒められたり、学校で絵を褒められたり、そんな体験から絵を描くことが好きになったはずだ。

なのに、いつの間にか「勉強ができるお利口さん」に自分を閉じ込めてしまっていた。

自分で敷いたレールなのに、どこか行き先が違うような感覚。

それに気が付くのに、高校卒業から数えて8年かかった。

つい最近、「じゃあ、美大に行けなかった分、今の自分に何ができる?」と考えて、まずは基礎の基礎にあたるデッサンから始めてみようと思い、描いてみている。

仕事をしながらなので、1日に少しずつだけれど、それを積み重ねて、イラストに活かせたらなと思っている。
もしくは、今まで描いていなかったような作品を作るようになるかもしれない。

とにかく、自分の気持ちに、衝動に素直に向き合ってみている今が、楽しい。

デッサンは8〜9年ぶりなので、難しいけれど、それでも鉛筆を握って試行錯誤している時間が心地良い。

決して、自分の選択や大学生活が間違っていたとは思わないが、自分で殻を作ってしまっていたのは事実だ。

今はようやくその殻を破ろうとしている。

「絵」についての生きづらさから少しずつ自分を解き放っている最中だ。

今度こそ「お利口」にはならずに、もっと「自由」に。
楽しめるものは楽しまないと、人生はすぐに過ぎ去っていく。

でも、やっぱり時々思ってしまう。

「あぁ、もっとわがままになって、美術の道に没頭してみたかった…!」と。

中3の頃に「シブサンは藝大に行くもんな〜!」と言われた言葉が反芻することがある。

今は描く。
「いいね」とか関係なく、自分が楽しく描ける絵を、1枚1枚。

それでは、今回はこの辺で。

自分の生み出したもので生きていきたい。幼い頃からそう想って今も生きています。これからも創ることが喜びでいられるように、いただいたお金を使おうと思います。