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なぜ、日本に女性の総理大臣が誕生しないのか

はじめに

タイトル通り、日本には一度も女性の総理大臣が登場したことはありません。
もう歴代で100代の総理大臣が就任されているというのに、男性ばかりです。

このnoteでは、なぜ女性の総理大臣が誕生しないのかについて考えてみたいと思います。

男性優位な政治文化の歴史

まず確認しなければいけないのが、1000年以上に渡って政治の世界において男性が優位な存在であったことが、現代にも尾を引いていると思います。

弥生時代の卑弥呼をはじめ、古墳時代などにはスピリチュアルな指導者として、女性はリーダーシップを発揮していました。

実際に女性が埋葬された古墳も見つかっています。

それが、徐々に男性が政治の中枢を担うようになり、飛鳥・奈良時代には天皇を筆頭に男性の貴族が政治を執り行っています。

戸籍制度もこの頃から始まりましたが、この制度をもとに男女の数を把握し、男性と女性で別々の仕事を割り振るようになりました。

主に女性には家の中でもできるような絹織物などを作ることに従事させ、男性には防人のような武士の先駆けとなるような仕事が与えられました。

平安時代に進んでも、女性は家内で過ごし、男性が政治や武力の行使を行うという図式は変わりません。

一部、紫式部や清少納言などの女性貴族が活躍したこともありましたが、あくまでも文化的な側面が強く、政治を動かしたという記録はありません。

天皇が男系で継承されていき、その天皇を男性の貴族や武士たちが守っていく。

そして、鎌倉時代以降、江戸時代まで武士が政治のトップに君臨し、家父長制の文化を根強く残しました。

この「家父長制」というものが実にやっかいで、簡単に言えば"家族"というひとつの単位の中で、最も責任があり、リーダーとなるのはその家族の「父」であり、「父」が金銭的に家族を養ったり、様々な決定を下したり、妻や子どもに要求を通したりするものです。

現代でも、結婚をすると夫の方の名字に変える妻の方が多いですが、それは「夫の家に嫁ぐ」という「家父長制」の名残から来ています。

明治維新、戦後を経てもこの「家父長制」は根強く残ったので、女性が社会進出する機会も多くありませんでした。

政治家に求められる「男性的リーダーシップ」

また、政治家、特に総理大臣のような「リーダー」に求められるのは、いかに「男性的」であるかどうかだと思います。

長年の歴史から、企業や団体、政治の先頭に立つには「男性的」な強い意志や決断力、そして大きな責任といった「男性的なリーダーシップ」が必要になってくるのです。

いまだに「“女”社長」という言葉が使われるように、社長であっても女性というだけで珍しがられてしまいますし、大抵の「女社長」は「男性的」に働いていると思います。

つまり、社会の構造が男性に沿って作られているので、その社会の中で活躍するためには、いかに女性であることから離れて「男性的」に振る舞えるかが重要になってくるのだと思います。

個人的な経験の話になってはしまいますが、僕の働く会社でも、女性はある一定程度の役職までしか昇進できておらず、取締役などは全て男性で固められています。
女性、特に子どもを持つ女性には、昇格のチャンスが少なく、なかなかキャリアアップできないのが現状です。

「男性的」な活躍を報じるメディア

他にも、女性の活躍を阻む要素があると思います。

それは、メディアの偏向報道です。
基本的にメディアで取り上げられるのは「男性的」な強くたくましい活躍と、重い責任や困難に打ち勝ったようなサクセスストーリーです。

女性の活躍が報じられる機会は、男性に比べると少ないように感じます。
報じられるとしても、先ほど触れた「“女”社長」のように「女性でありながら男性的な活躍」をした場合に限るのではないでしょうか。

メディアとは少し異なるかもしれませんが、歴史や現代社会の教科書でも「女性の偉人」はかなり少なかったように思います。

授業で習うのはいつも「男性の偉人」ばかり。
ニュースで見かけるのはいつも「男性の政治家」「男性の起業家」ばかり。

これでは、世の中に「男性的」なイメージが定着してしまってもおかしくありません。

政治家に女性が増えるとどう社会が変わるのか?

では、もし日本に女性の政治家が増えたら、女性の総理大臣が誕生したらどのように社会が変化するのでしょうか?

実際に、日本も少しずつではありますが女性の議員が増えており、その影響もあって幾つかの法律ができました。
例えば「DV防止法」や「刑法の性犯罪に関する規定の大幅な改正」などは女性の多数の意見をもとに立法・改正がなされました。

また、女性ならではの視点や、女性を含めた「マイノリティ」に関する政策が通りやすくなることが諸外国の実績からも分かっています。

特に、スウェーデンは女性の議員比率が46.1%(2022年)であり、日本の9.7%と大きく異なります。
その分、多様な意見や提言が国会内で発せられ、結果としてジェンダーギャップの解消にも繋がっているのだと思います。

同じように、日本も女性議員の比率が高まれば、男性だけでは見えてこなかった問題に向き合う機会ができたり、「女性でも政治の世界で活躍できる!」というポジティブなイメージを世の中に浸透させることもできるかもしれません。

その際には女性政治家の「産休・育休」なども取れるようになっていると、政治の世界もかなりクリーンになると思います。

まとめ

ここまで、日本に女性の総理大臣が誕生しない理由や、女性議員が増えたらどうなるのかについて書いてきました。

女性の総理大臣が誕生すれば「リーダーシップ=男性的」という今までの強い常識を打ち破れると思います。

そこに希望を見出し、世の中の空気も変わっていき、女性の社会進出やジェンダーギャップの解消に繋がっていくと思います。

案外、ジェンダーギャップを解消したり、働く女性を増やすのには、男性が考えた政策を実行するのも大切ですが、それ以上に、実際に企業や政治で活躍している女性を世の中に広めていく方が、意識も制度も変わっていくような気がします。

まずは、女性議員の比率を高めるところから始め、近い将来のうちに女性の総理大臣が誕生することを願っています。

自分の生み出したもので生きていきたい。幼い頃からそう想って今も生きています。これからも創ることが喜びでいられるように、いただいたお金を使おうと思います。