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問題意識の共有が先、の難しさについて。

昨日、わたしと同じくASDのHOTASさん @HOTAS10001 とスペースを行いました。ひさしぶりですね、とかいいつつ実は3ヶ月ぶりくらいの気分でいたんですけど、半年以上ぶりだったみたいですね。たのしかったです。

人権とニューロダイバーシティというテーマで話をするにあたり、一部の人につらい思いをさせたらしい、ということに、あとで気がつきました。ご指摘くださったかたがた、ありがとうございます。

人権って、すごく強い言葉で、それを持ち出した瞬間に、相手は防御態勢に入るよね、という話をしていました。誰がどう見ても正しい言葉は、人権だけじゃなく、そういう強さがあります。ポリコレ棒とかいうじゃないですか。政治的正しさ。強い。強いから、攻撃の道具になってしまう。叩かれた側は、上手に言い返すのが難しい。うまく反撃できないからこそ、ガス抜きができず、反感がたまってしまう。

せっかく攻撃するんだったら、強い武器を使わなきゃって、それはそうなんですけど、でも、勝ち負けじゃなくて、対等な交渉をスタートさせたいときに、いきなり武器を持ち出してしまうとお互いが臨戦態勢。交渉をかえって遠ざけてしまいかねない。わたしもHOTASさんも、そうやって「すぐに最終兵器を持ち出してくる人たち」を目にする機会が多々あり、「いやそのまえに、情報を共有したり、実績を積んだりして、問題意識を共有したほうが話は早いですよね」と言いたかったわけです。

これ自体は、わたしは今でもそう思っています。少なくとも、100%間違っているとかではないはずです。

しかし、です。この件がじつは、すでに、「問題意識の共有」の難しさと、それに失敗したときの残念な結果を同時に証明しているんですよね。というのも、この「いやそのまえに、情報を共有したり、実績を積んだりして、問題意識を共有したほうが話は早いですよね」というのは、ある程度余裕がある人の発言なのでした。

わたしもHOTASさんも、ASDはありつつも、自分の能力を活かして仕事をして、少なくともある程度は周りに認められ、実績を積んでいて、その実績をもとに配慮も交渉すればあるていど引き出せる状態にあります。ASD由来の苦労はあるんですよ。努力もしている。苦労してるし努力もしてるんだけど、そうはいっても、すでに、ある程度の結果は出している。

わたしとHOTASさんの得意不得意はかなり真逆で、情報処理の方法もかなり違います。同じASDといいつつ、いろいろなところに違いがあるからこそ、話していていろいろ発見があるのですね。

違いはあるんです。しかし、違いに注目してそこを楽しむあまり、共通点をすっかり忘れていました。ASDが共通点、であるだけではなく、「ASDがありつつ、職業生活を成り立たせていて、パートナーもいて、社会人としての実績を積んでいる」。努力はしてきました。そうはいっても、たぶん、生きてきた時代を含め、単にラッキーだったところもあるでしょう。いろいろとんでもない目にも遭ってますけれど、そうはいっても、努力にせよ運にせよ、いまそれらを(すべてではないにせよ)乗り越えた状態であることは間違いない。その実績に対して誇りもある。あっていいと思います。あっていいんだけど、とにかく、ある。

周りを説得できるだけの材料/実績があるから余裕があるわけです。それどころじゃない時代もあったのはそうなんだけど、都合の悪いことはつい忘れますし、思い出したとしても「あれじゃあ伝わらなかったよね」などの「いまだからわかる」反省を伴ってしまうので、やっぱり、なかなか、今困っている! 状態に自分を引き戻すのは難しい。現時点で困りごとがゼロってわけじゃないから、ついつい、「わたしも困ってるし!」とか思ったりもします。いや、困ってるけど。でもそこじゃない。

見ている景色が違うと、伝わるものも伝わらない。同じ景色を見ているつもりで、ぜんぜん違う景色が見えていたりする。もっと難しいのは、同じ位置まで移動して景色を共有したつもりになっていても、身長や視力で、やっぱり見えるものが違ったりする、ということかもしれません。

その反省を踏まえて。

人権などの「強い武器」は、いまなんとかしてもらわないと絶対困る! ときに使うためにあるんだろうなと、思ったりしました。余裕がある人はやっぱり、地ならしから始めたほうが早いんだと思います。そのうえで、余裕がないときには、伝家の宝刀をえいっと抜く、というのがよいのではないでしょうか。余裕がある人があちこちで伝家の宝刀を振り回すと、伝家の宝刀が伝家の宝刀として働かなくなってしまいますものね。

情報処理についてもいろいろ発見があったのですが(キーワード:ホワイトボード上のサボテンマグネットと圧縮された動画ファイル)、それはまた後日。


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