人事を尽くして天命を待つ。
今日は、昼間から大きな仕事が入っていた。
午前中、打ち合わせをして大舞台に臨む予定があったのだが、急遽待ち合わせ場所が変更になった。
そこから今日の物語は始まった。
待ち合わせが変更になったため、少し余裕が出たので身支度をゆっくり済ませて最寄りのバス停からバスに乗って出かけた。
バスが駅に到着する時間に、目的地方面の電車が出発することは分かっていた。ただ、いつも乗っているバスはいつも予定時間より早く駅に着く。
今日もそうだろう。そう思ってバスに乗った。
案の定、予定より3分早く着いた。走れば乗りたい時刻の電車に間に合う。
私は走った。電車に間に合った。
午後の大舞台の場所へ移動するために、打ち合わせが出来る時間は1時間30分。最後の確認事項をすり合わせしていると時間はあっという間に過ぎた。
余裕を持って会場に着くための電車まであと5分になった。駅まで歩いたら間に合うかどうか。微妙だった。
私は走った。間に合った。
余裕を持って会場のビルについた。プレゼン開始時間の10分前に待機することになっていた。私は13分前に会場前へ向かった。
「こちらでお待ちください」私は、控え場所に通された。
あと10分後にいよいよプレゼンだ。私は息を整えて、最後のシミュレーションを行おうと深呼吸をした。
…その時、担当者さんからこう話しかけられた。
「少し早く始めます」
えっ。
ギリギリに行動して間に合った今日。ここに来て早めに始まる!?
頭の中が一瞬にして真っ白になった。
「どうぞ中へお入りください」
演台に通されるも、今から私は本当にプレゼンをするのだろうか。そんな気持ちだった。まったくもって現実味がなかった。
「準備はよろしいでしょうか」
…はい。
無我夢中だった。声が上ずっているのが分かった。
プレゼンに与えられた時間は15分。途中、緊張して息が詰まる。何度か噛み噛みになり頬を叩いて言い直すこともあった。
14分を知らせるベルが鳴った。
まずい。スライドはあと5枚ほど残っていた。
終わらないかも。
スライドで1枚、用意していたアピールポイントを飛ばした。
しかし、最後の「取り込みにおける熱い思い」は絶対に伝えたい。
勝ち取るために、伝える必要があった。
なんとか、その思いを伝え終えることができた。もう汗だくだった。
「ありがとうございました」と頭を下げて私のプレゼンは終わった。
15分のベルは鳴らなかった。
終わった…。なんとかやり遂げた。
その後、10分間の質疑応答タイムにすぐに移った。この時間は自分が常日頃、思っていること。その場で思いついたことを率直に答えた。
出来ることはすべて出し切った。
最後もう一度深々とお辞儀をして会場を出た。
ライバルがそこに次のプレゼンのために待っていた。私は会釈してその場を通り過ぎた。
相手は会釈していたかな。していなかったような気がする。これからプレゼンですものね。緊張していたのでしょう。
私は、もう大仕事を終えたので清々しい気持ちで「がんばってください」と思いながら会場を出た。
自己評価は100点中70点。あとは結果を待ち、受け入れるのみ。
それでは、今回はここまで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?