人間は二度死ぬんですの。


”死”についてよく考える。
”在る”についてよく考える。

わたしのなかで、”在る”か否かということは、死ぬまで脳味噌にこびりついて離れない、永遠のテーマなんだろうと思う。

よく、依存していると言われた。特に、まったく知らない人から言われることが多い。

NNNドキュメントが放送された頃からかだろうか。雑誌連載を読んでくれていた人も、同じように思っているかも知れない。

わたしは、一年に一回くらい、自分検索をしまくる。パソコンで、とても、徹底的に。

普段は自分のことより他人のスキャンダルにウキャウキャする下衆人間で、そんなのばっかり見てるんだけど、時々、年末の大掃除みたいに、隅から隅まで自分検索する。すると、だいたい出てくるのは、2ちゃんねる。

心臓バクバク鳴って、ならば見なければ良いものを、隅から隅まで突つき見まくる。

するとNNN後にできたスレッドとかあって、それ見てたらいっぱい書かれてたなあと思いだす。

「男がいなくなったら生きていけないから入院するんだってwww」
「じゃあ、死ねばイイじゃんw」
「ウザwwwwww」
「結局男かよw 情けねーーーwww」
「完全に依存だな、彼氏大変だろうな、俺ならムリwww」

完全に嘲笑されてるんだけど、でもね、返す言葉がない。その頃は本当にそうだったから。

「薬止めないなら別れる」

そう、彼氏に言われたことが、入院の一番大きなキッカケだったと思う。まあ、このままだと心臓が破れるやらなんちゃらとか、それが痛いかなコワいよーってのもあったけど、基本、大元のところは、彼氏と別れたくないってことが背中を押した。

なので、嘲笑されてもなあ。だって、それはその通り、自分でも完全な依存だと思っていたから、彼氏依存に対する反論とかまったくないんだもの。

「そうなんすよねえ…、治らないんすよねえ、困ったなあ……」て激しく同意して頷くなあ。「ムキーッ!」とはなれないし、ならない。本当のことだもん、当たってるもん。

「共依存」って笑われたこともあるけれど、それは、現在の彼氏さんとわたしとの間柄で言えば「違う」と思う。

お互いがお互い、足を引っ張り合うようなことはない。ただ、わたしが一方的に依存してるんだと思う。

その、存在だけで、安心できるんです。
それだけで、何とか頑張れると思うんです。

うーん、すごく説明が難しい……。
例えるならば、わたしが大好きな”卯月妙子”さんという漫画家の女性がいるんだけど、卯月さんの描いてらした、なんてタイトルだっただろう。家族なんちゃらって感じだったと思うんだけど。

ノンフイクションの漫画なんだけど、そのなかで卯月さんには、籍だけをいれてる状態の旦那さんがいるんだけど。その旦那さんとは、5年のなかで一週間会ってるぐらい。

それだけ。

んで、卯月さんがその幽霊みたいな旦那さんに、ずっとお金を送っているんです。それだけなんです。

わたし、なんか、ボロボロ涙がこぼれて。わたしの勘違いかも知れないけれど、物凄く、それが分かった。

漫画のなかで、くだんの旦那さんが言う。

「い〜いじゃないの、だって会う必要がないんだもの。トキコ(卯月さん)はねえ、僕がただ生きていればそれでいいのよ」
「トキコが自分で自分を決められるんなら、
僕はここにこうやって居ないよ」
「根が内向的なヒトと、拠り所のないヒトじゃあ、全っ然違うじゃない」「こうーーーーーーーーーーー、何ていうかさ、生きてく出力みたいなヤツがさあ」

あーーー、これ、わたしやあって、心がヒリヒリした。んーと…、拠り所、なんです。拠り所が欲しいんです。

旦那はどこかで生きている。具体的な行為としてお金を送ることで、自分が”在る”ことを確認する。

それで、手に入れるんです。安心感安堵感自分旦那の存在を。”在る”になるんです。

置かれた状況は違うけれど、要するにわたしはそれなんです。そういうことでしか、自分の存在を確認できないんです。

けれど、以前は、もっと、ダメでした。自分では、判断がつかないのですが、以前はアレでした。エロ仕事、ヤッてた時。

あれねえ、はじめは本当、エロ方向に進む気はなかったんだけど、自分の好きなジャンルが裏モノ的なもんばかりで。そんで、自分が好んで読んでた本や雑誌に当然営業をかけるワケなんですが、そしたら、エロ、でしか需要がなかったんです。

それに加え、婚約破棄になった後だったので、「捨てるものは何もないし自分を汚したい堕ちぶれたい底まで堕ちたいそのほうがラクだから」

きっかけって、ホント、それだけ。
タイミングです。

あと、これもまた馬鹿じゃねえかって、我ながら思うんだけど。

はじめはエロでサブカル系の業界に入ってもね、ずっと仕事を持続することで、”瀧本容子”を確立できれば、本来、自分がやりたかった仕事にありつけないだろうかって。いや、きっとなれる、頑張れば!  って。

これね、滅茶苦茶恥ずかしい勘違いです。

んとね、そんで今から書くこと、決してAV女優さんや風俗嬢さんを、下に見ていると捕らえないでほしいのですが。

絶対に。

そういう業界で頑張ってはるかたは、わたし、本当、尊敬する部分が多々あって。

男で言えばね、ガテンですよ、土方仕事ですよ。

身体的にもめちゃめちゃしんどいと思うし、精神的にもめちゃめちゃ虚無感感じると思うし、スゴい仕事ですよ。国境なき医師団だと思います、わたしは。

えと、また、話しがそれてしまったのですが、わたしと彼女たちに通づるところがあるから、感情移入したりもが激しいと思うのですが、その通づるところとは、自分が”在る”ことへの渇望だと思います。

そして、これは人によりますが、わたしの場合は大きな勘違い、です。
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はじめはエロでサブカル系の業界に入ってもね、持続することで”瀧本容子”を確立できれば、本来、自分がやりたかった仕事に、ありつけないだろうか。
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この部分です、わたしが、勘違いしたのはこの部分。

これ、AV嬢さんで例えるとすれば、女優になりたい、そのためのステップとしてアダルトビデオに出る。そして、単体になれでもしたなら、ボイストレーニングに通い出す。

こんな感じだと思います。
安直なんです。

持続は力なりって本当だと思うし、頑張っていれば、それなりに何かがついてくるとは思う。

けれど、違う道から違う道へと、進路方向を変えて成功するとか、それって、もう、不可能に近い。

成功できた人もいると思います。だから、わたしも、夢、持っちゃったりするんでしょうけど。

成功する人は、元々、素質を持っているのであって、それは、ほんの一握り。

”天才”なんです。
”才”の上に、”運”も持っているんです。

そして、わたしにはそれがありません。努力して手に入れられる類いのものでもないと思います。

わたしと彼女たちとに通づるところは、”在る”ことへの渇望。
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そして、やっと本題に戻るのですが、わたしの永遠のテーマでもあるコレです。

わたしね、エロ業界にはいって、物凄く嬉しかったことがあります。

それは、少しでも自分が他人のなかに”在る”と感じたりしたことです。

それは、もう、例えようがない嬉しさで、それは、わたしのなかで、とても大きな出来事でした。

だから、わたしは、エロ業界で生きていこうかとも思った。

実際は、賞味期限が早いので、居続けることはできないんですけどね。

わたし、
それまでも、
SEXすることでしか、
自分が”在る”ということを、
感じることができなかった。
けれど逆にかえせば、
SEXすることで、
わたしは”在る”ということを、
感じる事ができた。

その一瞬だけでも、
必要としてくれたんだよね?
ねえ、ねえ、そうなんだよね?
そうだよね?
きっと、そうだよね?
ね? ね? ね?

で、エロ業界で働くようになって、それを、「タッキー、”在る”よ?」って。

お仕事が来る=わたしは”在る”
お仕事でSEXする=わたしは”在る”
原稿を書く=わたしは”在る”
読者ページのなかにわたしの名を見つける=わたしは”在る”
ファンレターやプレゼントが届く=わたしは”在る”
ネットのなかでわたしを見つける=わたしは”在る”

ネットでは誹謗中傷が多くを占めるけれど、嫌われるのも、見てくれたからで、そこにわたしは”在る”。

たくさんの”在る”をもらえて、わたしは、飛んでもなく嬉しかった。

本当に嬉しかった。
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”死”についてよく考えます。
冒頭に書いたこの”死”は、”在る”ことと、とても深い関係にあります。

わたし、人間が死ぬってなんだろうって。

体が死ぬのは心臓が止まって、呼吸も脳も停止して動かなくなって。そういう死はあまりコワくないんです。

死んで、寂しいとか感じる脳も死ぬんだからどうでもいい。

だから、それは、全然怖くない。
痛い苦しいはイヤですが。

そんな、体の死はどうでもよくって、わたしが一番怖いことは、人に忘れられることでの”死”です。

生きながらにして、感情を持ちながらにして、ココに、わたしが、肉体や感情が、存在していながらの”死”。

誰からも忘れられる。
ココにいるのに。

誰からも必要とされない、
生きながらの“死“なんて耐えられない。

それは、“在る“じゃなく、”無い”と一緒のことなんです。

それが、物凄く、コワくて、恐ろしくてたまらない。

必要とされず、誰の心からも消え、忘れ去られる。

それ、死んでるんですよ。
生きている意味ないですよ。
それなら、さっさと死んだほうが、
何百倍、何千倍、救われる。

生きながら死ぬなんて、もう、本当、そんなのって……。

エロ仕事で、知らない男の人とかとSEXしまくって、編集者から「肉便器」とか、「SEXピザのデリバリー」とか、色々付けられたけど、それって肉便器だろうが何だろうが、わたしを一瞬でも必要としてくれたんでしょ?

じゃあ、肉便器万歳ですよ。忘れられたら、肉便器にもなれない。と、いうことで、何のこっちゃになってしまいましたが、

わたしには、今、彼氏さんがいて、彼氏さんのなかに存在しているから、”在る”から、生きていると思う。

”在る”を感じたいから依存します。
”在る”ために、お金を送るんだと思うし。
”在る”ために、SEXするんだと思うし。

人のためではない、自分のためですよ。
それって、”滑稽”なことなんですかね。

滑稽、上等ですよ。
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わたしの物凄く大好きな詩です。
娼婦ってあたたかい。
わたしが娼婦になったら、
”在る”自分を探すのではなく、
”在る”を誰かにあたえる人になりたい。
優しく、なりたいなあ。

「私が娼婦になったら」

私が娼婦になったら いちばん最初のお客は おかもとたろうだ
私が娼婦になったら 私が今まで買いためた本をみんな古本屋に売りはらって 世界でいちばん香りのよい石鹸を買おう
私が娼婦になったら 悲しみをいっぱい背負ってきた人には翼をあげよう
私が娼婦になったら たろうのにおいの残ったプライベートルームは いつも綺麗に掃除して悪いけれど誰も入れない
私が娼婦になったら 太陽の下で汗を流しながらお洗濯をしよう
私が娼婦になったら アンドロメダを腕輪にする呪文を覚えよう
私が娼婦になったら 誰にも犯サレナイ少女になろう
私が娼婦になったら 悲しみを乗り越えた慈悲深いマリアになろう
私が娼婦になったら 黒人(アポロ)に五月の風を教えよう
私が娼婦になったら 黒人(アポロ)からJAZZを教えてもらおう
淋しい時にはベッドにはいって たろうのにおいをかぎ
嬉しい時は窓に向かって静かに 次に起こることを待ち
誰かにむしょうに会いたくなったらベッドにもぐって
息を殺して遠い星の声を聞こう

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