兄貴あるいは瀧本純についてですの。

兄貴との接点はほぼない。
それは私が兄貴から目を逸らしていたのかも知れないし、
兄貴も兄貴で心のバリヤーを巡らせていたのかも知れない。

そんな無関心な兄妹関係だったが、
本や音楽や漫画など兄貴に影響を受けたものは大きい。

瀧本純、嗚呼、瀧本純。
勉強の頭はとても良いが、社会生活という意味での頭はすこぶる悪い。
わたしの兄貴との強い思い出は、
唐突に「俺は大阪で終わる男やない!!!」の一言から始まる。
まず兄貴がオカンの隠し財産を100万相当をひったくり、
そんな「大阪で終わる男やない!」でお馴染みの純くんは、
ラジカセを忘れるならまあ分からないでもないが、
最も忘れてはいけないであろうギター本体を忘れて行ったのだ。
そして約20年間もの間、東京へ失踪することになるのだが、
わたくしが最寄り駅まで迎えに行ったその際兄貴は、
電車の入場券を買うのが精一杯の懐事情だったのであろう。
改札から足りない料金を手渡した際は、
妹ながら情けなくて仕方なかった。

「早く新しい家探して出て行ってや」
その頃、今より随分働いていたから貯金はあった。
そういうつもりで渡した30万円だった。
その日、渡した30万円で兄貴はまず何をしたかと言うと、
鯛の刺身を買ってきたのだ。
鯛の刺身をである。
入場券しか買えなかったオッサンが、
小金が入った途端、鯛の刺身なのである。

あなたが私にくれたもの♪
生で食べれる新鮮鯛刺身
あなたが私にくれたもの♪
メゾネット階段に置かれた自作のファンシー漫画
あなたが私にくれたもの♪
海物語を打った残玉の海物語飴
あなたが私にくれたもの♪
誕生日にパソコンキーボード(ワシの金で)
あなたが私にくれたもの♪
両手じゃあおさまらないロリエロイラスト集(発見)

本当に「泥棒」と一つ屋根の下暮らすのは大変で、
シャワーを浴びる時はジップロックに入れて風呂場に持ち込み、
眠る時ももちろん金目のものは抱いて眠った。

嗚呼兄貴、私とオカンから合計500〜600万円の金を盗んでる。
嗚呼兄貴、オカンのガン手術3日前に泥棒して家出ぶちかます。
嗚呼兄貴、葬式の4日後に香典や金目のものを盗んで再び失踪。
嗚呼兄貴、妹から行方不明届をだされた男がそう兄貴。
そんなこんなを人生の中で数回繰り返した男それが瀧本純。
オカンが初給料で買った指輪や記念品まで質に入れ、
「大した金にならんかったで?」とかました男。

酔っ払い癖も悪く酒が入るとよく殴られた。
次の日、わたくしにできてるアザを見て、
「ヨーコちゃんこれどしたの?」と驚く兄貴、
秒で「お前ぢゃ!!!」と叫ぶ妹の瀧本容子。

兄貴のイメージではこんな結末ではなかったのだろう。
団地の3階からジャンプ傘を持って飛び降り、
メリーポピンズのようにフワフワ地面に落ちるのをイメージした純は、
傘の骨が真っ逆さまに折れて見事一直線に地面落ちし骨折した。 

こんなものは氷山の一角であって、
純ネタは一冊にしてもまとまりきらないほど多々ありすぎる。
いつか純を漫画化して皆様にお届けしたく思うなりよん☆

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